真打津軽はフェチの塊!? アニメ『アンデッドガール・マーダーファルス』「際どいものってエロい」輪堂鴉夜役:黒沢ともよインタビュー
2023年7月5日よりフジテレビ「+Ultra」ほかにて毎週水曜24:55~放送がスタートしたTVアニメ『アンデッドガール・マーダーファルス』より、輪堂鴉夜役の黒沢ともよさんのインタビューをお届けします。
本作は、第22回鮎川哲也賞でデビューし、活躍を続ける青崎有吾先生原作による同名原作のアニメ化。首から下がない不老不死の美少女探偵・輪堂鴉夜(りんどうあや)が、“鬼殺し”の異名を持つ半人半鬼の真打津軽(しんうちつがる)と、彼女に付き従うメイドの馳井静句(はせいしずく)と共に、怪物専門の探偵“鳥籠使い”として数々の事件を解決しながら、鴉夜の奪われた体を探してヨーロッパを巡る、謎に満ちたロードムービー。
アニメーション制作は『さらざんまい』『劇場版 輪るピングドラム』などのラパントラックが担当。また『かぐや様は告らせたい?〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』シリーズや『昭和元禄落語心中』など確かな演出力で話題作を担当してきた畠山守氏が監督を、『キングダム』や『ゴールデンカムイ』などヒット作を多数手掛けてきた高木登氏がシリーズ構成を務めます。
19世紀末。吸血鬼・人造人間・人狼など、異形な存在がまだ暮らしていた世界。怪物専門探偵<鳥籠使い>が、体を取り戻すためヨーロッパを巡る笑劇<ファルス>が開幕します!
輪堂鴉夜(りんどうあや)を演じた黒沢ともよさんに、本作の見どころと魅力をお伺いしました!
――オフィシャルコメントで、原作を読んだ感想として「高揚感や背徳感を感じた」とおっしゃっていましたね。
黒沢:すごく細かく生々しく書かれていて。とても文章が読みやすいので、より映像で思い浮かんで、一昔前のサーカスを観ているような、“自分から観に行っているけれど高揚してしまうことに背徳感を感じる”みたいな……、耳の奥がジュクッとなる感じを楽しんでしまう自分への恐怖感。それを軽快に書かれている作品だなと思いました。
――こういった世界観はお好きですか?
黒沢:背徳感のある作品は、それを好きと思ってしまうことへの倫理観的なものや、恐怖心みたいなものだったり、気持ちが行ったり来たりするなと思うけれど、読む手が止まらなくて。エンタメの源流ってきっとこういうところなんだろうな、嫌だな、怖いな~(笑)、と思いました。原罪的というか、逃れられないところで弄ばれている感じがあるな、と。
原作は一気に読んでしまいました。文章はとても軽やかに書かれているのでサクサク読めてしまう怖さがあります(笑)。しかも、リズムがいいので読み切るのに時間もそんなにかからないんですよね。楽しかったです。
――演じられる輪堂鴉夜の魅力を教えてください。
黒沢:一番私達にとって反対側である“死ぬことができない”というところが、作品においての絶望であり救いだな、と思っていて、そこが魅力なのかな、と。
――生首キャラということに関して演じる意識の違いはありましたか?
黒沢:生首であることで、余白が増えて、声を当てる側としては面白そうだなと思いました。でも、やっぱり“死ぬことができない”というのがとても強かったですね。生首になったことによって、死ねない上に自分の意志で動けない、という枷が多いのは、演じる俳優にとっては魅力的な存在だなと感じました。
――とても長台詞が多くて大変だったとコメントでもおっしゃっていましたが、実際の収録はいかがでしたか?
黒沢:大変でした~(笑)!!! 今日久しぶりに台本を見返したんですけど、ビックリするくらい台詞が多くて、「こんなに喋ってたんだ!」と思ったくらい、よく喋りましたね(笑)。でも、原作の台詞がほとんどなので文章自体はとても軽快でリズムがよく、読むのに苦労はないんですけど、実際に音として監督に提供すると考えた時に、自分のエゴと戦ったりするのも大変で(笑)。粋も作品のテーマにあるんですけど、“粋な抜き加減”が迷子になる分量でした(笑)。
――その自分のエゴとは?
黒沢:やっぱり長台詞だと画(え)に頼らずに耳で聴いてわかるように喋りたくなるんですけど、監督がとても素敵な作画をされることはわかっていたので監督に委ねる部分と、あとそれが現場でお渡ししたときに怠けているように感じられても良くないですし。結果的にすごく平坦に聞こえていても画と合わさるとちょうど良かったりすることがあるな、と思っているので、「ここはどれくらい声に色をつけていいですか?」と、引きすぎるエゴと足しすぎるエゴで戦っていました(笑)。
――キャラクターの掛け合いが魅力的な作品ですが、八代拓さんの演じた真打津軽(しんうちつがる)はいかがでしたか?
黒沢:津軽は本当にズルいな、と思って。私からすると結構ツボをピンポイントで押さえられていて、フェチの塊みたいな(笑)。ゴツゴツして細く長い手と、ちょっと猫背で大柄なのに華奢な体、高い身体能力と、飄々としているけれど闇が垣間見え続けるところとか。あと、口調はとても軽やかで軽快なのにトーンがずっと曇りガラスのような感じがあって、血生臭さも漂うし、血が滴って色気も出る(笑)。自分としてはすごくプロポーションの良い女の子にメイド服を着せる気持ちと似ているというか(笑)。フェチの要素がこんなに集まっていいのか!?というくらいの、フェチの塊の役だったなと感じています。
キャラクターとしては、血生臭さと色気と茶目っ気のバランスが何とも堪らないなと思っておりましたし、八代さん御本人にお喋りが好きな感じと優しさと孤独感がある感じがするなと思っていたので、それがすごく津軽に滲んでいて、「声が当てられてまたエロくなった……津軽がどんどんエロくなる……(笑)」と感じていました(笑)。
なかなか主人公として出る感じのキャラクターじゃないじゃないですか。でも、ずっと見ていたいキャラではあると思うので、「こんなの欲しかったでしょ?」という感じですよね(笑)。
――では、鴉夜に付き従うメイドの馳井静句(はせいしずく)の印象は?
黒沢:これまたとてもエロくて(笑)。寡黙で強い女に着せるメイド服も好みが刺さる人には刺さると思うので、私もよだれが止まらない感じではありました。静句は選ぶ言葉がシャープなので、それも相まって、強くて優しくてメイド服なんか着ちゃって、という中に、ずーっとある不穏感みたいなものが、私達に不幸を忘れさせてくれない存在というか。
静句自身が傀儡であることが一族の喜びだという、枷の中に居る発言をするんですけど、彼女の存在が鴉夜と津軽の二人にとって枷のような、現実を忘れられなくさせてくる存在だなと、じんわり骨身に染みるキャラクターだと思っていました。
――鴉夜から見て、津軽と静句はどんな存在だと思いますか?
黒沢:津軽は救いかな、と思います。自分が死ねる唯一の手段で、希望に近いんですけど、希望の言葉は同じだけど、オファーをした段階で見ていた希望と、最終話段階で鴉夜が津軽に見ている希望の色形が随分と変わっていくような気がしていて。一貫して希望なんだけど、そのグラデーションが変わっていったキャラクターだなという印象です。
静句に関しては、もちろん鴉夜にとって一番安心して身を委ねられる存在であることに変わりないと思うんですけど、同時に過去から絶対に逃してくれない存在だとも思うので、そういう意味で2つの面がある。静句の顔を見ると安心する日もあれば、静句の顔を見てしんどくなる日もあるだろうな、というところで、鴉夜にとって両側面のあるキャラクターだなと思っています。
――原作がとてもリズムが良いとおっしゃいましたが、映像をご覧になった印象をお聞かせください。
黒沢:監督すごいですよね! 1話の後半とか、街も変わっていなければ時間もほぼ実速で進んでいて、場所も最後の方は変わらないんですけど、回想のキャッチーなモチーフが出てきたり、言葉のテキスト的なことを視覚でちゃんと感じられるところにフォーカスが当たっていたり、2倍情報量があるところがものすごいと思いました。
――これから楽しみなシーン、早く観たいシーンは?
黒沢:自分が出ていないシーンで、収録当初から出演者の中でずっとざわついていたのが、後半に出てくる静句のセクシーシーン。媚毒を武器に使う敵キャラクターが登場するんですけど、その子と静句のシーンが媚毒を使うので、とってもエロいんじゃないか!?と楽しみです(笑)。
あと、前半だとやはり最初の事件は王道のミステリーなので、ミステリーパートの謎解きシーンの他のキャラクターの表情や仕草を含めた全体像は早く色がついた完成映像を観たいです。
――先程から「エロい」という感想が度々出ていますが(笑)、全体的にセクシーさや妖艶さというところが今作の魅力ですか?
黒沢:現代日本の消費社会におけるセクシーとはまたちょっと違う、古典文学的なショッキングなエロというか(笑)。歌舞伎を観てエロいと感じる人がいらっしゃると思うんですけど、ああいったエロさ。日本画とか、歌舞伎とかのエロさが通底してある作品だなと思っていて。
まずこれを放送すると決めて、ここまで映像として落とし込んだことがすごいなと思うんですけど、結構物語の倫理観とか、出てくる登場人物の発言の背景とかに際どいものがとても多いんですよ。際どいものってエロいじゃないですか。その際どさをエロいと感じてもらえるシーンがたくさんある作品だな、という感じです。
――妖怪や怪物、シャーロック・ホームズなどレジェンドキャラクターが登場しますが、今後出てくる注目のキャラや好きなキャラは?
黒沢:人狼村はすごく魅力的なキャラクターが多いです! 他にもファントムやルパンとかみんなが知っているキャッチーなキャラクターはいっぱいいるので、そこのターンは本当に楽しく観ていただけるかなと思っていて。それを越えた先の人狼村のキャラクターたちの、全員が全員1本ずつアニメ映画が作れるくらいの背景を抱えているのが私はすごくグッときました。
今回アニメでは、それがものすごくテンポよく進んでいくので、香らせるというところに留めている描写がとても多くて、それがさらに魅力になっているなと感じるので、人狼村までぜひ皆さん観ていただいて、人狼たちのキャラは楽しみにしてほしいなと思っています。
――では、楽しみにされている方にメッセージをお願いします。
黒沢:フジテレビさんで地上波で流れるということで、ポピュラーな作品ということではあると思うんですけど、大人に向けたというか、結構ギリギリな作品で。1話が見世物小屋のシーンから始まるんですけど、本当に見世物小屋に居るみたいに観てもらえることができる作品だと思うので、ぜひリアルタイムで深夜に暗い部屋の中で観てほしいな、と思っております。夏ですし、毎週肝試しするつもりで、お酒とか飲みながら夜に観て欲しいですね。
――楽しみにしています、ありがとうございました!
・TVアニメ「アンデッドガール・マーダーファルス」メインPV/7月5日より放送開始
https://youtu.be/BIkE0rTOsYk
※Otajoとガジェット通信は姉妹サイトです。
作品情報
アニメ「アンデッドガール・マーダーファルス」
【放送情報】
2023年7月5日よりフジテレビ「+Ultra」ほかにて毎週水曜24:55〜放送
※放送時間は変更の可能性がございます
放送局 放送日時
フジテレビ 7月5日より毎週水曜24:55~
関西テレビ 7月6日より毎週木曜26:25~
東海テレビ 7月8日より毎週土曜25:45~
北海道文化放送 7月9日より毎週日曜25:10~
テレビ西日本 7月5日より毎週水曜25:55~
BSフジ 7月12日より毎週水曜24:00~
AT-X 7月9日より毎週日曜23:00~
※毎週(木)29:00、毎週(日)8:00にリピート放送あり
【配信情報】
2023年7月6日より毎週木曜日正午からdアニメ/U-NEXTで先行配信
2023年7月9日より毎週日曜日正午から各事業者で順次配信開始予定
【スタッフ】
原作:青崎有吾「アンデッドガール・マーダーファルス」(講談社タイガ刊)
監督:畠山 守
シリーズ構成:高木 登
キャラクター原案:岩本ゼロゴ
キャラクターデザイン・総作画監督:伊藤憲子
サブキャラクターデザイン・総作画監督:小園菜穂
美術監督:関口 輝 佐藤理来
撮影監督:塩川智幸
色彩設計:中村千穂
3Dディレクター:菅 友彦
編集:松原理恵
音楽:yuma yamaguchi
音響監督:若林和弘
オープニング・テーマ:CLASS:y 「Crack-Crack-Crackle」
エンディング・テーマ:Anna 「reversal」
アニメーション制作:ラパントラック
【キャスト】
輪堂鴉夜:黒沢ともよ
真打津軽:八代 拓
馳井静句:小市眞琴
アニー・ケルベル:鈴代紗弓
シャーロック・ホームズ:三木眞一郎
ジョン・H・ワトソン:相沢まさき
アルセーヌ・ルパン:宮野真守
ファントム:下野 紘
ジェームズ・モリアーティ:横島 亘
アレイスター・クロウリー:杉田智和
カーミラ:近藤玲奈
ヴィクター:山本 格
ジャック:斉藤壮馬
ノラ:内田真礼
ヴェラ:花守ゆみり
カーヤ:中野さいま
公式HP:https://undeadgirl.jp
公式Twitter:@undeadgirl_PR
【原作情報】
「アンデッドガール・マーダーファルス」(講談社タイガ刊)
≪既刊3巻好評発売中≫
≪最新第4巻2023年7月14日(金)発売予定≫
(C)青崎有吾・講談社/鳥籠使い一行
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。