700円で歌舞伎が観られる!? 歌舞伎座の一幕見席ってスゴイ

「歌舞伎座の料金は高い」漠然とそんなイメージを持っている人は多いのではないでしょうか?実は歌舞伎座で歌舞伎を700円で観る方法があります。そのうえ予約は前日でOK。それが一幕見席です。

今までは当日券を買うために開演前に並ぶ必要があったのですが、なんと6月からオンライン予約ができるようになり、さらにお手軽になっていました。

歌舞伎座の一幕見席は初心者におすすめ

歌舞伎は昼の部と夜の部の2部制で、それぞれ3時間とか4時間とかあります。長い。初心者にはキツイ。そんな時におすすめなのが一幕見席です。

一幕見席は、舞台から最も遠くに位置する4階にあります。昔でいう立ち見席なのですが、演目ごとにチケットが買えるという魔法のチケットでもあるんです。短い演目だと15分ほどのものもあります。「仕事終わりにちょっと観に行こうかな」とか「テレビドラマで市川團十郎のファンになったから生でちょっと観てみたいな」とか、そういうフレキシブルかつお気楽な使い方ができるんです。

歌舞伎のチケットですが、1等席は18,000円、1階桟敷席は2万円します。純粋に高い。手が出ません。そんな時におすすめなのが一幕見席です。

料金が演目の長さによって変化するので、短い時間だと安いし、長い時間だと高い。「六月大歌舞伎」昼の部の「扇獅子」は上演時間が約16分なので税込700円、夜の部の「義経千本桜<すし屋>」は上演時間が約95分なので税込1500円という感じ。オンライン予約した場合は、これにプラスしてシステム利用料が1枚あたり110円かかります。

つまり一幕見席は短い時間で楽しめて、しかも安い、初心者におすすめの席なんです。

実は歌舞伎座はのキャパは2000弱と意外と小さいため、4階といえどもそこそこ舞台に近いのも魅力。筆者の体感では、東京ドームのアリーナ席で、前から3区画目ぐらいの高位置です。歌舞伎ではマイクを使わないのですが、4階席でもはっきりと歌舞伎俳優の肉声を聞き取れますよ。

インディーズバンドのライブでも3000円ぐらいするのに、綺麗な劇場でフカフカの椅子に座って(若干狭めですが)、テレビや映画で主役級だったり、人間国宝が出演している演目でも1000円前後で観られるのってすごいことだなぁ。

初心者におすすめなのは舞踊と世話物

筆者は市川中車(香川照之)と市川團子(香川の息子)が出演する「傾城反魂香<土佐将監閑居>」という上演時間90分の演目を観に行ったので、税込1610円でした。

主役の市川中車は素人である当方でもわかるほどの演技力の持ち主なのですが、四十路を過ぎてから歌舞伎役者を兼業するようになったので、発声もイントネーションもどうも歌舞伎的ではないんですよね。コアな歌舞伎ファンの人がどう評価しているのか気になるところです。

市川團子は予想以上にすばらしかったです。お父さんよりも堂々たる歌舞伎役者っぷりでした。朝露がたっぷりついた青々と茂る草原みたいなフレッシュさ。4階から観ても若さが爆発してました。ハリのある高い声も涼やかでよく通り、立ち振る舞いも美しくて良かったです。

もともとは市川猿之助が中車の女房役だったのですが、てんやわんやありまして、代役を中村壱太郎が演じていました。中村壱太郎32歳、市川團子19歳、中盤で舞を披露した中村歌昇は34歳、市川中車は57歳だけど歌舞伎役者としてはまだ10年ほどと、ピチピチした役者が多く出演していて、新鮮味があり楽しめました。

「歌舞伎は何を言っているかわからないし、観てもちんぷんかんぷんかも」と不安な場合は、舞踊もしくは、世話物と呼ばれる演目がおすすめです。舞踊は短時間かつ衣装も豪華で、踊りを観ていたらあっという間に終わります。宝塚のレビューみたいなものもあり、視覚的に大いに楽しめます。

世話物は江戸時代が舞台で、セリフまわしも現代的とまではいかなくても、けっこう近代的なため、だいたい何を言っているかわかります。予習なしで観ても初心者でもほぼ内容が把握できますし、上演前にスマホで軽くあらすじをチェックしておけばさらにバッチリです(今回筆者が観た「傾城反魂香」も世話物でした)。私は一度も使用したことがないのですが、歌舞伎座の入り口ではイヤホンガイドのレンタルもあります。

歌舞伎に敷居の高さを感じていたのなら、ひとまず一幕見席デビューして、フットワークも軽やかに敷居を飛び越えてみてはいかがでしょうか?

【おまけ】名物おみやげは歌舞伎座のあんぱん200円

歌舞伎座の地下には土産店が並んだフロアがあり、その一角には「歌舞伎座のパン」ブースがあります。名物は「隈取こしあんぱん」。薄焼きのあんぱんで、税込200円とお手頃価格なのでおやつにぴったりです。

【おまけ】大都会のオアシス屋上庭園

5階には誰でも無料で利用できる芝生が敷き詰められた屋上庭園もあります。大都会のオアシスのような場所で、休憩するのは極上の贅沢です。歌舞伎座の大屋根を見下ろすこともできますよ。

【参考リンク】
一幕見席について(松竹ホームページへ外部リンク)
歌舞伎座ホームページ

(執筆者: 大木奈ハル子)

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