『忌怪島/きかいじま』山本美月インタビュー「怨霊よりも人の残酷さが恐ろしい」

『犬鳴村』をはじめとする「恐怖の村」シリーズを生んだ東映と清水崇監督のタッグでおくる新たなホラー映画『忌怪島/きかいじま』が6月16日より公開中です。

2022年4月~5月にかけて奄美大島を中心に撮影が行われ、「島」という閉鎖空間を舞台に 今話題の「VR」の世界を表現。VR研究チーム「シンセカイ」に次々と降りかかる不可解な死と謎、 解き放たれた「赤い女」の怨念、真っ赤に染まる島。現実と仮想という 2つの空間で、今までにない最強の恐怖が待ち受けます。

「なにわ男子」の西畑大吾さん演じる、主人公・片岡友彦に、自身の父親の調査を依頼する園田環を演じた山本美月さんにお話を伺いました。

──本作は「恐怖の村」シリーズを生んだ東映と清水崇監督が再びタッグを組んだ作品となりますが、山本さんは恐怖の村シリーズをご覧になっていますか?

『犬鳴村』と『樹海村』を拝見しました。私は福岡出身なのですが地元では、(福岡県の)「犬鳴村」って有名な心霊スポットなんですよね。子供の頃はその近くを車で通るたびに(怖いな…)と思っていたことを思い出しました。『樹海村』はとても独特な世界観の作品ですが、「コトリバコの呪い」という、私も読んだことある怖いお話が描かれていて、そこにもテンションが上がりました。

──『忌怪島/きかいじま』はメタバースとホラーの世界が融合した新しい作品となっていますが、設定を聞いた時や脚本を読んだ時にどの様な感想を抱かれましたか?

準備稿から読ませていただきましたが、ホラーの怖さだけではない、ドロッとした人間関係がしっかりと描かれているなと感じました。閉ざされた島という場所ならではの恐怖がとても印象的で、私はホラーが好きなのでぜひ参加したいとお伝えしました。島という逃げられない恐怖に、魅力的だけれど怖くもある島独自の文化も加わっていて面白い設定だなと感じました。

──環という役柄をどの様に演じたいと思いましたか?

脚本が決定稿へと進んでいく中で、削られていく部分もありましたが、清水監督が脚本に描かれていない部分の要素を紙に書いて、私にくださいました。それを参考に役作りをしていきました。環とお父さんとの関係性と、環がなぜ1人で島に来ようと思ったのか、これまでどんな人生を歩んできたか、など環の背景についての設定をいただきました。環はどこか幸の薄さを感じる人物で、実際の脚本上ではそういった背景が描かれていないので、役作りをする上でその紙が助かりました。

──清水監督とは他にどの様なお話をしましたか?

監督が心霊スポットに行ったお話とか、奥様のお話とか色々と聞かせていただきました。ホラー作品を撮る方って、怖がりの方と怖がりじゃない方がいると思うのですが、清水監督は全く怖がりじゃないんですよね。その「怖い」という感情が無くても、怖い作品が撮れるのって面白いなと思いました(笑)。

──ホラー作品でありながら、奄美大島の景色がとても美しかったです。

奄美大島は初めて行くことが出来たのですが、すごく気持ちの良い場所でした。「神様が降り立った場所」と言われていますが、それがよく分かるというか。私は霊感も無いですし、パワースポットでパワーを感じることもあまり無いのですが(笑)、そんな私でも奄美大島はとっても気持ちが良くて。今回撮影した場所は人も少なく、歴史を感じる場所なので、ホラー視点で見ると怖いかもしれませんが、そこが魅力的な場所だなと感じました。とても解放感があって。最初に奄美大島での撮影があって、その後に東京と千葉でセット撮影をしたのですが、キャストみんなで「奄美に帰りたい!」と言っていました(笑)。

──みなさん奄美が恋しくなったのですね(笑)。ホラーファンの山本さんからの、本作のオススメポイントを教えてください!

VR、メタバースという要素が入ることによって、今まで観たことの無いホラー作品になっていると思います。私は島の伝説という様なものが結構好きで、そこもワクワクしました。なぜ“赤い女”の怨霊が生まれてしまったのか、人の怖さがすごく描かれていると思います。以前、『貞子vs伽椰子』(2016)に出演させていただきましたが、貞子と伽椰子は私的に言うと“知っている2人”なんです。2人の経験や苦労を知っている。でも、赤い女のことは知らないので、知らない怖さがありますよね。そして、赤い女が生まれた背景には人の残酷さがあって…。怨霊よりもこちらの方が怖いという方が多いかもしれません。

──おっしゃるとおり、島の人々の恐ろしさが凄かったです…。ちなみに、山本さんがホラーを好きになったきっかけはどんなことですか?

昔から、妖精や魔法など非科学的なものが好きで、ホラーもその延長線上かもしれません。オカルトや不思議なもの、雑誌『ムー』も読んでいました。実際にいたら怖いけれど、幽霊がいるならば魔法があるかもしれない、もっと他の非科学的なものが存在するかもしれないと、可能性を考えるのが楽しくて好きなんです。

──確かにロマンがあるというか、想像の余地がありますよね!今日は素敵なお話をどうもありがとうございました。

撮影:オサダコウジ

『忌怪島/きかいじま』公開中

【出演】 ⻄畑大吾(なにわ男子)
生駒里奈 平岡祐太 水石亜飛夢 川添野愛
大場泰正 祷キララ 吉田妙子 大谷凜香 ・ 笹野高史
當真あみ なだぎ武 伊藤歩 / 山本美月
監督:清水崇
脚本:いながききよたか 清水崇 音楽:山下康介
製作:柳迫成彦 與田尚志 藤島ジュリーK.丸橋哲彦 牟田口新一郎 後藤明信 吉村和文 宮田昌広 檜原麻希
企画:紀伊宗之 企画・プロデュース:小杉宝
撮影:伊集守忠 美術:都築雄二 照明:酒井隆英 録音:田中博信
編集:鈴木理 装飾:松田光畝 スタイリスト:城宝昭子 ヘアメイク:小出みさ
特殊デザイン:百武朋 VFX スーパーバイザー:鹿角剛 音響効果:赤澤勇二
キャスティング:杉野剛 助監督:毛利安孝 ホラー担当:川松尚良 制作担当:伊藤栄
配給:東映
【上映時間】 109分
(C)2023「忌怪島/きかいじま」製作委員会

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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