パナソニックは2月17日、単身世帯をターゲットにした食洗機「SOLOTA(ソロタ)」を発売した。発売に先駆け2月15日、メディア向け発表会が開催。同製品の魅力や開発秘話が明かされた。
冒頭では、食洗機の市場背景が解説された。共働き世帯の増加などにより、近年では食洗機の普及率が高まっている。食洗機に皿やコップをセットする時間を約5分、1日2回365日使用すると年間で約180時間を創出することが可能だ(1回の手洗い時間を約20分とした場合)。時間のみならず、家事負担の軽減にもつながる。
2021年における食洗機の総需要は約90万台、国内普及率は29%であった。住居形態別に見ると持家(戸建)は35.2%、賃貸住宅は5.8%、年代・世帯構成別では2人以上世帯が24.2%、単身世帯が19.2%であった。これらの背景をもとに、同社では賃貸マンション向けの食洗機にも注力。本体奥行約22.5cmと設置性を追求した「NP-TML1」の発売やサブスクリブションサービスなどを通じ、需要を拡大した。
今回発売となる「SOLOTA(ソロタ)」は賃貸住宅の中でも、一人暮らしをターゲットとした食洗機だ。企画開発に携わった、キッチン空間事業部 冷蔵庫・食洗機BU 食洗機技術部 楠健吾氏は「当社の食洗機のラインアップにSOLOTAが加わったことで、ライフステージの変化に合わせた商品の提供が可能となった。今後の食洗機普及率の向上にも努めていきたい」と意気込んだ。
同社が20~30代(未婚)に「嫌いな家事」についてのインターネット調査を行ったところ、1位が「トイレ掃除」、2位が「食後の食器洗いや後片付け」となった。さらに「食器洗いをやりたくない理由」としては「仕事疲れで面倒」「食後ゆっくりしたい」「水を触りたくない」という回答が目立った。さらに「食洗機」に関する調査では、「食洗機は家族用という認識しかない」「食洗機は大きくて邪魔」「高いイメージで遠い存在」という意見が寄せられた。
「SOLOTA」の設置面積は同社現行最小モデル「プチ食洗」の約半分と、1人暮らしのコンパクトなキッチンでも場所を取りにくい。ご飯茶碗、大皿or中皿、汁椀、深中鉢、小皿、マグカップと、一人暮らしの人が多用する食器6点が収納可能だ。単身世帯が使う食器数はルーティン化していること、冷凍食品やテイクアウト、弁当など中食の活用が多いことを想定しているという。さらに前面・後面ともに大きなクリア窓を採用。これにより抜け感が生じ、狭いキッチンでの物量感を軽減させる。
コンパクトながら高い洗浄力と節水性も実現した。約60~80℃という高い水温により、油汚れもしっかり落とし、さらに強力な水流により食器のすみずみまで洗浄する。さらに食洗機専用の洗剤の酵素・漂白成分が汚れを速やかに分解。分岐水栓の取り付け不要な着脱タンク式のため工事は要らず、買ったその日から使用可能だ。
後半は、企画開発に携わったメンバーによるトークセッションが行われた。SOLOTAの開発に費やされた期間はおよそ2年半。一人暮らしの食事風景や生活スタイル、価値観などを徹底的に調査、分析したという。
「庫内サイズの縮小化にあたり、全ての部品を小型化させることが大きな課題だった。特にノズルは小型化と洗浄性を両立させるのに苦労した」(楠氏)
「食洗機を初めて使う人を想定し、操作部分は限りなくシンプルにすることにこだわった。また物量感を感じないよう、オープンシェルフのエッセンスを落とし込み、軽やかさを出した」(くらしプロダクトイノベーション本部 デザインセンター 松本優子氏)
SOLOTAの店頭販売価格は3万8000円(税込)前後を想定。サブスクリプションでの利用も可能で、月額1,290円(税込)で提供している。これから進学や就職で新生活を始める人、一人暮らしをする予定のある人はぜひチェックしてみてはいかがだろうか。