少子化に直面する部活動の救世主が登場!? 近畿日本ツーリストが「オンライン部活」のサービスを開始

2月1日(水)、近畿日本ツーリストが東京都内にて、2023年度から開始する「部活動サポートサービス」についての説明会を行なった。

旅行業の大手企業である近畿日本ツーリストは「未来創造」と銘打ち、新規事業・サービスの開発に取り組んでいる。その中には旅行以外の事業もあり、PTA業務のアウトソーシングサービスといった学校サポート事業も手がけているのだ。

もともと近畿日本ツーリストは、修学旅行などを通じて教育現場との深いつながりがあった。学校サポート事業の第1弾としてPTA業務のアウトソーシングサービスを手がけていたが、その第2弾となるのが部活動サポートサービスだ。コロナ禍で修学旅行が難しい状況を受けて、旅行以外で教育現場に貢献できないかと模索して部活動サポートサービスの提供に至ったという。

現在、公立中学校の部活動に関して、「地域移行」という改革が行なわれている。学校の先生に代わって、地域のスポーツクラブなどが生徒を指導する取り組みで、2023年度から段階的に移行していく。この改革の背景には、教員の負担を減らす働き方改革や、少子化で部活動運営が難しくなっていることなどの影響がある。だが、近畿日本ツーリストが教育委員会にヒアリングしたところ、部活動の地域移行には「指導者の確保」「活動場所の確保」「生徒のニーズに合わせた受け皿の確保」という大きな課題があることがわかった。

そうした問題を解決するために近畿日本ツーリストが提案しているのが、同社の部活動サポートサービスだ。サービスは、「オンライン部活」と「部活動運営事務局」で構成される。オンライン部活は、その名前のとおり、オンラインで生徒への指導を行なうというもの。生徒がどこに住んでいても、専門的な指導が受けられるというメリットがある。

部活動運営事務局では、学校に代わって近畿日本ツーリストが指導者・場所・参加者の手配や管理を担当する。これまで近畿日本ツーリスト行なってきたワクチン接種業務などのノウハウが大いに活きるという。

オンライン部活に関しては、2022年11月19日(土)~2023年2月4日(土)の期間で、沖縄県渡嘉敷村の中学生を対象にトライアルを実施した。

オンライン部活は、eスポーツ部、ダンス部、ドローン部、ヨガ部というラインアップでスタートする予定だが、この中のeスポーツ部とダンス部の活動が渡嘉敷小中学校の中学生12名を対象に行なわれた。

オンライン部活は、その部活ごとに企業と協業する。eスポーツ部はNTTe-Sports、ダンス部はエイベックス・マネジメントが近畿日本ツーリストとタッグを組む。渡嘉敷村の中学生にも、NTTe-Sportsとエイベックス・マネジメントが生徒たちを指導した。

今回の説明会には、NTTe-Sportsとエイベックス・マネジメントの担当者も登壇して、近畿日本ツーリストの担当者とトークセッションを行なった。

オンライン部活での協業で近畿日本ツーリストからの依頼があったことについて、「大人世代も巻き込んでの普及効果も含めて、部活動はやるべきと考えていたが、自社だけでは難しいところがあった」(NTTe-Sports)、「スポーツと違って、エンタメの指導者は地方に残らない傾向があるので、地方の子どもたちにダンスの楽しさを伝えたいと考えていた」(エイベックス・マネジメント)と、両社とも強い意気込みを語り、両社が持っていたニーズと近畿日本ツーリストのニーズが合致したことを説明。

渡嘉敷村でのトライアルには、「生徒の意欲、前向きな姿勢に助けられてトライアルが盛り上がった」(NTTe-Sports)、「生徒たちの積極性がレッスンの中で見えた」(エイベックス・マネジメント)と手応えを感じたという。

オンライン部活の今後だが、「リアル部活の代替手段ではなく、新しい学びの手段になると感じた」(NTTe-Sports)、「指導者は地方にいないが、子どもたちは指導を受けたい。この格差こそチャンスではないか」(エイベックス・マネジメント)と可能性を強く感じたそうで、近畿日本ツーリストもトライアルの成果を受けて「オンライン部活を全国に提供したい」と熱意をアピールした。

部活動サポートサービスは、まずは自治体や学校を対象としてサービスを提供するが、将来的には学校や自治体を通さずに生徒個人が参加するような形も想定しているという。ラインナップもeスポーツ部、ダンス部、ドローン部、ヨガ部だけでなく、随時拡充していく予定とのことだ。

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