ベンチャー企業の7つの仕事の流儀 みんなの銀行頭取インタビュー

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デジタルバンク「みんなの銀行」CXOオフィスの市原です。東京・八重洲オフィスに勤務しPR領域を担当しています。

みんなの銀行は、ふくおかフィナンシャルグループ傘下のiBankマーケティング(以下、iBank)とゼロバンク・デザインファクトリー(以下、ゼロバンク)とともに、頭文字をとって「iMZ(イムズ)3兄弟」として自己紹介する機会が多いのですが、iMZ3兄弟では、「INSIGHT」と呼ぶ“7つの仕事の流儀”を掲げています。このINSIGHTの浸透を目的とした、3社横断のオフィシャルな組織「INSIGHT部会(推進役)」も存在します。

■ iMZ3兄弟
i→ iBankマーケティング株式会社
M→ 株式会社みんなの銀行
Z→ ゼロバンク・デザインファクトリー 株式会社

でも、このINSIGHT、なぜ必要なのでしょう?

そもそも、どんな目的で、どのように作られたのでしょうか? INSIGHT浸透による、社員と会社にとってのベネフィットは何でしょう?

INSIGHT生みの親であるみんなの銀行 永吉頭取にインタビューしたので、誕生の背景やそこに込められた想いも合わせてご紹介します。

iMZの「INSIGHT」って、そもそも何?

I→ Into the Customer
N→ Nothing is Impossible
S→ Stand United with Compassion
I→ Inclusion & Diversity
G→ Give Many “Likes”
H→ High Heat!
T→ Take the Lead

まず最初に、私たちiMZ3兄弟のINSIGHTについてお話します。iMZの3社共通のINSIGHTは、「行動指針」と捉えていただくとイメージしやすいかと思います。この行動指針、企業によっては「クレド」や「スピリット」、「プリンシプル」とも呼ばれたりしますが、iMZでは「仕事の流儀」と呼んでいます。

INSIGHTって、どうやって生まれたの?

――それでは永吉さんにお話を伺っていきましょう! INSIGHTはどのように生まれ、どんな経緯を経て現在のカタチとなったのでしょうか? お話は2016年に遡ります。

永吉さん:当時、iBank(2016年4月設立)は、同じふくおかフィナンシャルグループ傘下である福岡銀行からの出向者3名でスタートして、少しずつ仲間が増え始めているところでした。とは言いつつも、まだ少人数で、最初の頃は銀行からの出向者が大半を占めていたこともあり、特にステートメントや指針的なものがなくても「以心伝心」でお互いの考えていることが理解できました。

その後、ゼロバンク(2019年5月設立)とみんなの銀行(2019年8月設立)のデジタルバンク構想が始まり、キャリア採用を急拡大していく中で、データサイエンティスト、マーケター、デザイナー、エンジニアといった仲間が、様々な業界から続々と参画してくれるようになりました。

銀行の外から参画したメンバーは、これまでの銀行にはなかった職種ですし、育ってきた背景や共通言語も違えば、仕事の進め方も違います。しかし、この多様性を強みに変え、スピード感を持ってiMZプロジェクトを推進していくためには、「仕事への取組み方」や「仲間への関わり方」、「会社としてあるべき姿」について、みんなで意識や想いを共有していくことが極めて重要です。そのような中で組織カルチャー醸成の取組みの1つとして、「色々なことを明文化して、iMZみんなで共有してこう」と考えるようになりました。

そんなことを考えていたタイミングで、とあるSNSの投稿に目が留まったんです。ベンチャー企業はどのような場所なのか、という切り口でCEOが実態を赤裸々に語っている内容なのですが、その時の自分達の状況と相通ずるものを感じて。そこからヒントを得て、まずはiBank用にカスタマイズして使っていました。それを更にブラッシュアップして、煎じ詰めたものが、現在のINSIGHTになります。

ふくおかフィナンシャルグループの経営戦略のキーメッセージに「顧客起点」というワードがあるのですが、iMZでもお客さまを見てサービスを作っていく、お客さまの潜在的なニーズ(INSIGHT) をカタチにしていくという顧客起点の考え方がすべてのベースにあります。ここから私たちの行動指針的なものを、7つの仕事の流儀として「INSIGHT」と呼んでいくことにしました。

その後は、INSIGHTのアルファベットを頭文字にして、コンセプトに合う7個のフレーズを捻り出していったわけですが、これが大変で。英語な堪能な横田さん(みんなの銀行 会長)からは「これ、英語としておかしくない?」と言われながらも(笑)、「ネイティブに伝わるかどうかは別として、想いが伝われば……」と、なんとか現在のカタチに辿り着きました。

INSIGHT浸透には、何が必要?

――INSIGHT誕生の背景がよく理解できました。今後、組織全体に浸透させていくために、何が必要となると思いますか?

永吉さん:INSIGHTを策定してから1年間は、まだ空で言える人は少なかったと思います。2021年、社内にINSIGHT部会を発足させてからは、ワークショップを開催したり、みんなの目が留まる場所に掲示したり、オリジナルのシールや組飴、うちわを配布したりして、少しずつですが、みんなの中に浸透しきているのではと思います。

さすがに今では「INSIGHTって何?」と言うメンバーはいないと思いますので、「認知」レベルではある程度浸透したのかなと感じています。次の「理解」「共感」「行動」レベルに向けて、INSIGHTを自分で実践したり、他のメンバーに推奨したり……今後はもっと意識して日常業務の中に落とし込んでいく必要があります。

現在、新しい人事制度の策定を進めていますが、INSIGHTに基づいた評価の仕組みも盛り込もうとしています。業績の評価、能力の評価、専門スキルの評価等と同様に、「INSIGHTに対する理解・行動に基づいて仕事をしているか」という評価も項目の中に入ってきます。さらに360度評価として、自分、上司の他に、仕事で関係する周囲のメンバーからもフィードバックをもらえるような制度にします。そうすることで、誰もがINSIGHTを常に意識し、お互い高めあっていけるようにしたいと思っています。

INSIGHT部会を「オーナー(iMZ経営陣)直轄の体制」にした理由は?

――2021年、iMZ社内にINSIGHT部会が発足しました。経営会議、部長会等と同様に会社の重要な会議体に位置づけされています。この部会を、役員直轄の体制とした理由は何でしょうか?

永吉さん:INSIGHT部会の発足は、部会オーナーであるiMZ経営陣で決めました。ただ体制を用意したのみなので、活動については自発的に手を挙げたメンバーが中心となってINSIGHTを広める活動をしてもらっています。部会オーナーは、「みんなで共感しながら、やっていってくださいね」というスタンス。それゆえ「各グループから1名ずつ選出してください」といった、トップダウンのようなことはしません。

もちろん現場では、部会への参加を誘ったりすることもあるとは思いますが、それも「仲間を巻き込んで」というコミュニケーションの1つ。ぜひ現場でワイワイしながら考えて、ボトムアップ型で活動の輪を広げていって欲しいと思います。

INSIGHT部会をオーナー直轄の体制にしたのは、部会がやりたいと考えることに対して、「オーナーもコミットしています。」ということの表明です。INSIGHTの浸透は、組織カルチャーづくりの肝になるところ。オーナー全員、INSIGHT部会の活動を応援する立場でいます。

「Mission・Vision・Value」と「INSIGHT」の関係は?

――iMZには、iとMZそれぞれにMission・Visionが掲げられており、ValueとINSIGHTは共通ですが、この関係性はどう考えるとよいでしょうか?

永吉さん:iMZの「Mission・Vision・Value」と「INSIGHT」の関係性は、上の図の通りです。iとMZは事業が異なるので、山が2つに分かれていますが、今後新しい事業が生まれれば、山が3つになる可能性だってあります。

INSIGHT(とValue)は、まさにこの大きな山を支える“土台”となるところ。私たちが目指すゴールであり、世の中で実現していかなければならないのは、この2つの山の頂きにあるMission・Visionなんです。目指すべきはINSIGHTの順守ではなく、その先にあるもの。そのためにもINSIGHTに即した行動と、それによって醸成される組織カルチャーが非常に重要になってくる訳です。

INSIGHTの浸透に向けては、これまで壁に掲示したり、グッズを配布したりしていますが、例えば、スマホをかざしたら私たちが浮かび上がって、Mission・Vision・ValueとINSIGHTに込められた想いを話してくれるとか(笑)。まぁ手法についてはARでもなんでも良いと思っています。Mission・Visionの実現に向けて、ぜひ楽しみながらINSIGHTのアクションを実践していきたいですね。

※写真左から、INSIGHT部会の鎌田さん、市原、INSIGHT事務局の関谷さん、頭取の永吉さん

(執筆者: みんなの銀行)

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