ヨン・ウジン× イ・ジウン(IU)が贈る癒しの物語『夜明けの詩』キム・ジョングァン監督インタビュー
ヨン・ウジン「39 歳」 × イ・ジウン/IU『ベイビー・ブローカー』 他豪華キャストが共演。韓国版『ジョゼと虎と魚たち』のキム・ジョングァン監督による『夜明けの詩』が現在公開中です。
まだ冬が残るソウル。小説家のチャンソク(ヨン・ウジン)は、7 年ぶりにイギリスからソウルに帰国する。喫茶店で時間を失くした女(イ・ジウン/IU)と出会う場面から、ストーリーが紡がれていく。そして、想い出を燃やす編集者、希望を探す写真家、記憶を買うバーテンダーといった、心に深い葛藤を抱えながらも人生を歩み続ける、4人との出会いを経て、チ ャンソク自らも心に閉ざしてきた記憶と向き合い始めた―。
先日、映画のプロモーションのために来日したキム・ジョングァン監督にお話を伺いました。
――本作楽しく拝見させていただきました。『夜明けの詩』を作ることになったきっかけや着想を教えてください。
以前から「対話劇」に興味を持って取り組んできました。本作は1人が4人と出会って起こる内面の変化を描きたかったんです。彼自身、そして僕自身の想像につながることが出来ればと思い作りました。今回は対話とは言っても「聞く側」を描いたのがこの映画です。
――監督が「対話劇」に興味を持つ様になったきっかけはどんなことですか?
僕はもともと短編をよく撮っていて、そのシチュエーションが「2人で話している姿」というものでした。ただ2人が話しているだけでも、いくらでもシチュエーションがあるんですね。プラス会話が加われば、無尽蔵にパターンが生まれます。前作の『窓辺のテーブル 彼女たちの選択』(2016)という映画も会話劇という形式を持っているのですが、同じ様なテーマで長編を作りたいと思い手がけました。
――本作は1シーン、1シーンがとても美しく、印象的な映像となっていますね。映像面でのこだわりを教えてください。
「光と影」ということがテーマにあります。影の部分をはっきり見せない、形態がないようにすることで、「ここには何かがあるのだな」と観客の皆さんに探していただきたいという思いがありました。日常の光景が普段と違う見え方をしたらどうだろう、例えば「人がたくさん歩いている街並みが夜明けになったらどの様に見えるのだろう?」という視点を与えたかったこともあります。
――奇しくもコロナ禍に公開されたことで、「生と死」ということについてら考えさせれる物語になったと思います。
コロナウィルスというものは、世界中の人、そして多くのアーティストに多大なる影響を及ぼしました。僕も次回作以降では、コロナウィルスが人々に与えた傷ということを題材に映画を作っていくと思います。人が生きていくうえで本当に大事なこととは何だろう?ということを改めて考えていくつもりです。
――イ・ジウンさんはアーティストIUとして、日本でもとても人気のある方です。本作でご一緒していかがでしたか?
以前『ペルソナ -仮面の下の素顔-』という短編の中でイ・ジウンさんとご一緒しました。その作品も死や夢を扱った作品で、僕の作品は全て少しずつつながりを持っています。イ・ジウンさんには僕からオファーをしましたが、そういった物語のつながりを感じて、本作にも参加してくれたのではないかと思います。彼女しか持っていない表情、彼女にしかない“言語”を持っているので、撮影はとても楽しかったです。
――ヨン・ウジンさんと何度かご一緒していると思います。本作での撮影はいかがでしたでしょうか?
ヨン・ウジンさんは俳優としてとても信頼の出来る方です。対話劇というのは自分から発するセリフだけではなくて、相手の言葉に対するリアクションが大事になってくるので、ウジンさんの持つ柔らかい特性がぴったりだと思いました。彼は本当に優しいし、とても良い方なんですね。今回は4人の俳優さんたちと対話して、水の様に変化出来る人という点でこれ以上無い適任でした。
――ありがとうございます。監督にとって、映画を作り続ける楽しみ、モチベーションとはどんなところにありますか?
映画を作る過程が好きなのだと思います。作品を作って、フィードバックをして、自分自身でも人生について、人間の感情についてよく考える。その繰り返しをしていく過程でまた新しい物語の着想を得る。そのことが僕のモチベーションになっているのだと思います。また、私は犬童一心監督の『ジョゼと虎と魚たち』をリメイクしていますが、ああいった素晴らしい作品に出会えて、携わることが出来ることも喜びの一つです。
――今日は素敵なお話をありがとうございました!
『夜明けの詩』
【ストーリー】
出会いと別れ、そして深く胸に刻まれた記憶。観る者すべてに寄り添うヒーリングストーリー
まだ冬が残るソウル。
小説家のチャンソクは、イギリスから7年ぶりに帰ってくる。
時間を失くした女、想い出を燃やす編集者、希望を探す写真家、記憶を買うバーテンダー。
心に深い葛藤を抱えながらも、人生を歩み続ける4人との出会いを経て、
チャンソク自らも、心に閉ざしてきた記憶と向き合う時がきたー。
【スタッフ・キャスト・作品情報】
監督:キム・ジョングァン『ジョゼと虎と魚たち』
出演:ヨン・ウジン「39歳」『愛に奉仕せよ』/イ・ジウン(IU)『ベイビー・ブローカー』「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」/キム・サンホ『ビ
ューティー・インサイド』/イ・ジュヨン『サムジンカンパニー1995』/ユン・ヘリ『ジョゼと虎と魚たち』
2021年/韓国/韓国語/82分/カラー/シネスコ/5.1ch/原題:아무도 없는곳/英題:SHADES OF THE HEART/字幕翻訳:深田あゆ
み/配給:シンカ/(c) 2019 Vol Media co. ltd., All Rights Reserved
公式HP:https://synca.jp/yoakenouta/ Twitter:@SYNCA_asia Instagram:@synca_creations
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