「唯一無二のスペクタクルな感動体験」「大画面大音響で味わってこそ、熱量を味わえる」インド映画『RRR』レビュー

映画史上空前の大ヒット作『バーフバリ』シリーズを生み出したS.S.ラージャマウリ監督が贈る待望の最新作『RRR』(読み方:アールアールアール)が10月21日(金)より公開中! 今秋もっともアツすぎる本作のレビューをお届けします。

監督・脚本を手がけた『バーフバリ 伝説誕生』『バーフバリ 王の凱旋』というバーフバリ2部作が数々の賞を受賞し、世界興収は2計で3万7000万ドルをあげた。『~王の凱旋』の公開から5年。S.S.ラージャマウリ監督の新作が『RRR』である。

主人公はA.ラーマ・ラージュとコムラム・ビーム。どちらもインドの独立運動の英雄として知られる実在の人物であるが、実際にこの2人は出会うことはなく、もし2人が出会ったとしたら?という着想から物語の構想は始まったという。

舞台は1920年のイギリス植民地時代のインド。イギリス人のインド人の人権を無視した政策に、反英運動が各地で起こる中、大英帝国インド総督スコット・バクストンが狩猟で訪れた南インドのアディラーバードでヘナアートの才能を持つ幼い娘マッリをわずかなコインで買おうとし、拒む両親や村人に暴行を加え、マッリを強引に連れ去る。マッリを奪還するため、ゴーンド族のリーダーであるビームはデリーで総督の襲撃の機会を狙う。ラーマは父である伝説の闘士ヴェンカタ・ラーマ・ラージュの願いにより警察官になり、大義を胸に秘め、立場を隠した上でデリーの反英活動家集会に潜入する。2人は幼い少年が事故に巻き込まれる現場に偶然居合わせ、協力し少年の命を救ったことで友達になる。ビームはラーマが敵である立場の警察官であるとは露知らず、日に日に信頼を寄せていく。

本来敵対する立場であるビームとラーマは、やがて激しくぶつかることとなる。インド独立運動の最中の2人の友情と闘いを描いた約3時間。『バーフバリ』と同じく、その演出や展開はひたすら過剰で目を疑うようなシーンが次々と現れるが、1シーン1シーンに込められた熱量がとにかく凄まじい。いつの間にか一瞬もテンションが落ちない程に引き込まれ、ビームとラーマの苦悩と友情の熱さにも後押しされ、唯一無二のスペクタクルな感動体験に没入していく。

パンデミックや主演ふたりの撮影の怪我による撮影スケジュールの延長もあり、制作費は当初の4970万ドルから7200万ドルに増大し、インド映画史上最高の製作費が費やされた。そのスケール感に納得の超エンターテインメント大作。大画面大音響で味わってこそ、派手な演出や美術、キャストの表情の細部にまで込められた熱量を余すことなく味わえるだろう。

【書いた人:小松香里】
編集者。音楽・映画・アート等。ご連絡はDMまたは komkaori@gmail~ まで
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【ストーリー】
舞台は1920年、英国植民地時代のインド。
英国軍にさらわれた幼い少女を救うため、立ち上がるビーム。大義のため英国政府の警察となるラーマ。
熱い思いを胸に秘めた男たちが運命に導かれて出会い、唯一無二の親友となる。しかし、ある事件をきっかけに究極の選択を迫られることに。彼らが選ぶのは、
友情か?使命か?

監督・脚本:S.S.ラージャマウリ 
原案:V.ヴィジャエーンドラ・プラサード 
音楽:M.M.キーラヴァーニ 
出演:NTR Jr./ラーム・チャラン
原題:RRR/2021年/インド/テルグ語、英語ほか/179分/シネスコ/5.1ch/
日本語字幕:藤井美佳/字幕監修:山田桂子 応援:インド大使館 配給:ツイン

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