映画『耳をすませば』中川翼インタビュー「天沢聖司の中学生時代を演じて」先輩・松坂桃李に「ずるい!」と思ったシーンとは?
清野菜名さん、松坂桃李さんがW主演を務め 映画『耳をすませば』が10月14日(金)より公開中です。
1989年に少女まんが雑誌『りぼん』で連載された不朽の名作『耳をすませば』 。読書が大好きな中学生の女の子・月島雫が、夢に向かって生きる男の子・天沢聖司に想いを寄せていく健気な 姿が共感を呼び、1995年にはアニメーション映画が公開され、大ヒットを記録。その後地上波でも度々放送され、今なお色褪せない⻘春漫画の金字塔として、歴史に刻まれています。
映画『耳をすませば』で、松坂桃李さん演じる25歳になった天沢聖司。その中学生時代を演じているのが、俳優の中川翼さんです。映画『僕だけがいない街』『浅田家!』『Arc アーク』など、話題作に次々と出演する中川さんに、本作への想いを伺いました。
――長年愛されている『耳をすませば』という作品ですが、これまでにご覧になっていましたか?
アニメ映画は「金曜ロードショー」の放送などで観たことがあり、今回の出演が決まってから原作を読みました。アニメ版はバイオリンの音色や「カントリーロード」など、音楽の印象がすごく強かったんですが、原作は中学生の恋愛や青春を理解出来たというか。こんなにキュンキュンする物語なんだ!(笑)と思いました。
――天沢聖司役に決定した時はどの様なお気持ちでしたか?
率直に嬉しかったです。でも、天沢聖司はみんなの王子様なのですごくプレッシャーを感じました。監督からも、雫役の安原(琉那)さんと僕に、「この映画は君たちにかかっているから」と直接言われて。撮影が始まってからは、全力でやってやろう!という意気込みだったのですが、それまでは本当に緊張でいっぱいでした。
――そんな天沢聖司役を演じる上で工夫したことはありますが? 監督から言われたことなどを教えてください。
平川監督とは何度かご一緒させていただいていて、『僕だけがいない街』(2016)で、藤原竜也さんの幼少期を演じた時には、とにかく「藤原竜也になれ!」と指導をしていただきました。でも、今回は「松坂桃李になれ!」ではなく、「天沢聖司だったらどうすると思う?」といった感じに、とにかく天沢聖司というキャラクターを軸にアドバイスをもらっていました。後は『花より男子』の松本潤さんのお芝居と、木村拓哉さんのかっこいい佇まいを参考にして欲しいと言われたので、本番までに作品をたくさん観て挑ませていただきました。
(天沢聖司)ツンデレで、努力を表には見せない部分が魅力的なキャラクターだなと思いますし、あの堂々とした感じが僕には無い部分なので良いなと思って演じていました。
――チェロのシーンも素敵でした。
指の動きが本当に難しかったです。ちょうど緊急事態宣言中だったということもあり、5ヶ月間ほどチェロを練習する時間がありました。クランクインが練習をはじめて1ヶ月くらいの頃だったのですが、隣の松坂桃李さんがめちゃくちゃ上手で。感激しながら、1つでも真似しようと思って、松坂さんの手元を盗み見ていました(笑)
もともと、平井大さんのライブに感動した事をきっかけにウクレレを弾くことはあったのですが、今回チェロの指の動きを練習したことで音楽がもっと好きになったというか、学校の音楽の授業にも興味が湧いてきました。
――素敵なきっかけですね。松坂桃李さんのお芝居で刺激を受けた部分はありますか?
イタリアのシーンで、雫と会話しながらチェロを弾くシーンがあるのですが、あれはアドリブらしいんです。それを観た時は「ずるい!」と思いました(笑)。「そんなことまで出来ちゃうなんてカッコ良すぎる」と。
僕は原作や台本を忠実に再現することを意識していました。中学生時代の4人で集まって、何度も何度もリハーサルをして。とにかく忠実に再現したいと頑張っていました。
――カッコいい先輩はもちろん、中川さんのお芝居も、皆さんのお芝居も本当に素敵でした。
ありがとうございます。現場では、本当に緊張していたのですが、休憩時間に松坂さんが「清野(菜名)さんがゲームめっちゃ上手いから、あとで一緒にやろうよ!」と気さくに声をかけてくださって、本当に優しかったです。
――作品の中で印象に残っていたり、好きなシーン・セリフはありますか?
聖司君でいうと、最初に雫と出会うシーンで、本のネタバレをする意地悪なシーンです。本当は雫のことが好きなのにそれを隠して…という所がキュンキュンします(笑)。
その他では、大人になった杉村が言う「自分の選択があるから、今ここにいる」といったセリフが印象に残っています。僕もちょうどそういう事を考えていたというか、これまで運良く色々なお仕事を経験させてもらって、「あの時、あのお仕事をしていなかったら、今ここにいないんだろうな」って最近思っていたので。そのセリフとマッチした気持ちでした。
――子役から長年活躍されている中川さんらしい視点ですね。これからも中川さんが演じる色々な役柄を観てみたいのですが、どんな俳優さんになっていきたいですか?
中川翼だから出来たよね、と言われる様な、僕にしか出せない“味”を見つけていきたいと思います。松坂桃李さんもそうですが、人の心を奪える様な俳優を目指したいです。その為にはより多くの経験をしたいと思っているので、高校も芸能クラスではなくて、一般の学校に通っています。今しか得られない経験、今しか感じられない瞬間によって生まれた感情を自分の中に持っていきたいと思っています。
――ありがとうございます。最後に本作は“物語”がキーになっている作品ですが、中川さんが好きな物語、好きな作品はありますか?
映画『イエスマン “YES”は人生のパスワード』(2009)がすごく好きで、連続で5,6回観てしまうほどハマっていました。1回ハマると何度も観るタイプなのですが、『イエスマン “YES”は人生のパスワード』は声を出して笑えますし、ストーリーが本当に素晴らしいなと思います。海外の映画ではありますが、コメディで楽しいお芝居は参考になりますし、刺激になります。
撮影:オサダコウジ
『耳をすませば』
◆出演:清野菜名 松坂桃李
山田裕貴 内田理央 / 安原琉那 中川翼 荒木飛羽 住友沙来
音尾琢真 松本まりか 中田圭祐 小林隆 森口瑤子 / 田中圭
近藤正臣
◆原作:柊あおい「耳をすませば」(集英社文庫<コミック版>刊)
◆監督・脚本:平川雄一朗
◆音楽:髙見優
◆主題歌:「翼をください」杏(ソニー・ミュージックレーベルズ)
◆配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/松竹
(C)柊あおい/集英社 (C)2022『耳をすませば』製作委員会
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