ファン・ジョンミンが“本人役”で魅せるサスぺンス・アクション『人質 韓国トップスター誘拐事件』監督に聞く「参考にした日本の映画」
ファン・ジョンミン主演作『人質 韓国トップスター誘拐事件』が現在公開中です。『哭声/コクソン』、『アシュラ』など出演作ごとに全く違う顔を見せ、強烈なインパクトを残してきた俳優ファン・ジョンミン。本作では、そんな彼が誘拐されるという衝撃的な展開からはじまる、極限の監禁状態からの脱出劇を描いた、リアル・サスぺンス・アクションです。
本作を手がけたピル・カムソン監督に作品作りのこだわりについて、お話を伺いました!
――本作楽しく拝見させていただきました。まず、ファン・ジョンミンさんがご本人役で出演しているという設定がすごく個性的ですよね。
シナリオ段階からファン・ジョンミンにお願いすることを考えて書いていました。最初にシナリオを見せた時はとても緊張しました。ファン・ジョンミンさんに「いや、これは僕じゃない、出来ません」と言われたら最初から書かなければならないので大変なことになってしまいますよね。でも幸いにもすごく楽しんでくれました。
――どういった理由からファン・ジョンミンさんにお願いしたいと思ったのですか?
まずはスターでは無いと成立しないので、素晴らしいスターであるとうこと。そして本作の主役はずっと縛られたまま演技をしなければなりません。その状態で恐怖や強さを見せ、幅広い感情を一番うまく表現できる俳優といえば……私にとってはファン・ジョンミンさんが第1候補でした。
2つ目の理由は、アクション演技がうまいからです。映画の後半にアクションシーンがあります。劇中では、ファン・ジョンミンさんは俳優でもありますが、一般人でもあるので、アクションシーンがうますぎてはいけません。アクション俳優のようには見えないけれども、ある程度、アクションがうまくなければいけない。そんな俳優が必要だったのです。その点でもファン・ジョンミンさんが適役でした。
3つ目の理由は、監督としてファン・ジョンミンさんの新しい姿を引き出したいという欲があったからです。これまでファン・ジョンミンさんはヤクザや検事や警察など“マッチョな役”が多かったのですが、私が知る限り、誘拐事件の被害者のような弱いキャラクターはあまり演じたことがなかったと思います。そのような新しい姿を引き出したいと思いました。
――ファン・ジョンミンさんの熱演もあって、本当にハラハラしながら映画を楽しませていただきました…!
後半にいくに連れてどうなるのか予測できない展開にするというのが私にとってとても大切なポイントでした。予測を裏切るような形で物語を展開させながら、でも一方ではみんなが期待しているような地点を目指していきたいと考えました遊園地でジェットコースターに乗って、スリルを味わいながらも楽しいという、そんな気分になってほしいと思ったので、それと似たような気持ちを観客に味わってもらいたいと思っています。
――本作には、「イカゲーム」で注目をあつめたイ・ユミさん、「梨泰院クラス」で人気となったリュ・ギョンスさんが出演されていますが、元々は「ファン・ジョンミンさん以外は、実力はあるが知られていない俳優をキャスティングする」という意図があったそうですね。
ファン・ジョンミンさんがファン・ジョンミン役で登場するため、他の有名な俳優が出ていると演出がブレるという理由からです。他の有名な俳優が出てしまうと「なぜファン・ジョンミンだけが本人役で、他の俳優はそうではないのか」という疑問が生じてしまいます。
有名人が誘拐されるというモチーフは、それほど新しくはありませんよね。しかし、ファン・ジョンミンさんが本人役で登場するというのは新鮮です。実は私だけでなく、ファン・ジョンミンさんにも、これまで見たことのない、実力のある新人俳優を見つけようという意欲がありました。そうはいっても、私だけが希望してできることではありません。幸いなことに、製作会社がそのアイデアを気に入ってくださって、ファン・ジョンミンさんも積極的に賛成してくれたことで実現することができました。
――監督が今おっしゃった様にこれまでも誘拐をテーマにした名作は色々とあります。本作を作る上で意識した作品、影響を受けた作品を教えてください。
マーティン・スコセッシ監督やコーエン兄弟の作品が好きで、日本映画も好きです。今村昌平監督の作品が好きで、今回の映画のシナリオを書く時もよく観ていました。『復讐するは我にあり』を参考にしながらシナリオを書いた部分があります。それから俳優さんたちにも、『復讐するは我にあり』一緒に観ようと声をかけて、この映画の俳優の演技について討論しました。
――『復讐するは我にあり』が参考の一つとなっているとのこと、嬉しいです!今日は素敵なお話をありがとうございました。
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