スタートアップの地域格差是正へ! 数十億円規模の地方起業家育成プロジェクトが始動
岸田内閣が2022年を「スタートアップ創出元年」と打ち出し、2022年6月には経済産業省からさまざまな形でのスタートアップ成長支援策が発表。そんな中、スタートアップの現状の課題として東京と地方での地域格差が存在する。
全国の都道府県別人口をもとにした2021年の社長排出率では徳島県が1位となり、山形県と香川県などが続くが、都道府県別ベンチャー企業数では東京都が他の都道府県を圧倒して1位に。スタートアップ企業の東京への一極集中状態となっている。そんな地方格差を是正し、起業家の育成から投資まで一貫して行う地方創生型のベンチャーキャピタル(VC)が誕生することとなった。
有名企業の元経営者など10名以上が投資する数十億円規模のファンドを組成した、“スタートアップ創出元年” 「地域の起業家育成プロジェクト」プレス発表会が、2022年7月4日に行われた。
プレス発表会には、NES株式会社 代表取締役社長の今川信宏氏、同取締役の海老根智仁氏、信金中央金庫 理事長の柴田弘之氏、同副理事長の須藤浩氏、三井住友トラスト・ホールディングス株式会社取締役執行役社長の高倉透氏、三井住友信託銀行株式会社代表取締役副社長の野口謙吾氏が登壇。各企業のプロジェクト参画背景や取り組みについて語られていった。
まずは、本プロジェクトの全景が今川信宏氏より語られる。レジェンド・パートナーズと三井住友信託銀行によって共同設立されたNESは、リミテッド・パートナー(LP)投資家と連携した起業家教育プログラムを提供していくという。
そもそも国内では3年以内に起業する意思や必要な経験・知識を持っている人材が少なく、起業自体が縁遠い存在だ。地域別の調達額割合も東京に集中している状態で、スタートアップ起業家の排出と成長のための資金調達の実現をセットにし、地方で新たな事業のロールモデルを創出して持続可能な地域経済社会を作り出していくという本プロジェクトの根幹が語られた。
参画企業のネットワークや知見を活かしつつ、大学発のスタートアップや地方初のスタートアップへもそれぞれ投資を行い、全国規模の企業を1社ずつ排出して全国へ拡大拡充していくことが目的となる。
続いて、信金中央金庫の説明と参画背景が柴田弘之氏から語られる。全国の信用金庫業界のネットワークを駆使して地域が主役となるスタートアップ創出に向けて、地域ごとの個性や特徴を活かした教育やサポート体制を構築していくとのこと。
最後に、三井住友トラスト・ホールディングスの説明と参画背景について、高倉透氏より信託ならではの役割が語られる。信託を活用した資金循環の経験や地方自治体・機関投資家とのネットワークを駆使して、ダイナミックに資金が循環する社会の実現や地域の課題に向き合い、地域に利益をもたらす起業家を育成していくという。
スタートアップ創出と地方格差という課題を掛け合わせて解決していくことを目指す“スタートアップ創出元年” 「地域の起業家育成プロジェクト」。日本の地方から日本を代表して世界にも羽ばたくようなベンチャー企業が誕生していくのか、注目したい。
NES株式会社HP:
https://nes-vc.com/
ウェブサイト: https://getnews.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。