BIGBOSS率いる北海道日本ハムファイターズは開幕から1カ月を終えて最下位に沈んでいる。開幕前から戦力が不安視され、下馬評も低かったため覚悟はしていたが、やはりファンとしては少し寂しい気持ちだ。
なかなか勝ちきれない今シーズンでも明るい話題もいくつかある。
そのうちのひとつが、2019年ドラフト1位、吉田輝星投手のリリーフでの躍動だろう。
5月5日終了時点の成績は登板13(先発1回)で防御率2.41、1ホールド(勝敗なし)。奪三振は10個(自身最多は2019年の13個)、投球回は18回2/3(自己最多は2020年の20回1/3)。リリーフで9試合連続無失点を記録するなど安定感もあり、順調に行けば2022年が吉田投手の現時点でのキャリアハイのシーズンになることは確実である。
このようにリリーフで結果が出始めると、このままリリーフで投げていくのか、先発に戻るのかがファンとして気になるところだ。背番号18を背負う吉田投手が先発のマウンドに戻る姿を見たいファンは多いだろうが、ストレートを武器にここ数年安定しないファイターズの守護神として絶対的な存在になって欲しいと願っているファンも増えているだろう。火の玉ストレートを武器に活躍した藤川球児さんのような抑え投手として活躍する姿もとてもロマンがある。
さて、これまでの球界の歴史を振り返ってみると、ドラフト1位入団で先発として期待されながらもリリーフで起用され結果を出し、抑え投手として大活躍した投手は多い。1998年阪神タイガースドラフト1位の藤川球児さんも入団当初は先発投手として起用されていたが、当時監督だった岡田彰布さんにリリーフ適性を見出されると入団6年目の2005年にセットアッパーとして大ブレイク。2007年からは抑えに転向し、日米通算811試合登板245セーブという大記録を残した。
2022年4月26日に日米通算200セーブを達成したオリックス・バファローズの平野佳寿投手(2005年大学・社会人ドラフト希望枠)も先発投手としてプロのキャリアをスタートさせた。1年目の2006年からローテーションに定着し、7勝13敗、10完投(完封4)という新人離れした投球内容で活躍した。2007年も先発として起用されたが、故障があり先発として役割を果たせなくなると、2010年にリリーフへの配置転換された。見事63試合登板39ホールド、防御率1.67と見事に復活を果たした。その後はクローザーとして活躍。メジャーリーグ挑戦を経て再びオリックスの守護神として活躍を続けている。
また経緯などは異なってくるが、藤川さんと同じ1998年ドラフト1位で巨人に入団した上原浩治さんも2007年はチーム事情もあって抑えに転向。当時のチーム記録となる32セーブを挙げて史上2人目の20勝・30セーブ経験者となった。その後先発に戻るもメジャーリーグに活躍の舞台を移してからは再びリリーフに転向し、レッドソックスの守護神として君臨。2013年にはワールドシリーズ制覇に大きく貢献し、胴上げ投手にもなった。
そのレッドソックスに2021年から所属している澤村拓一投手は、2010年に巨人にドラフト1位で入団し、当初は先発として起用されていた。2015年にリリーフに転向し、36セーブ、37セーブと2年連続30セーブを達成。トレード移籍でロッテを経てメジャーリーグ挑戦を果たした。
吉田投手の活躍はもちろん、先発としてなのか、絶対的リリーバーとしてなのか、新庄BIGBOSSが吉田投手の今後をどのように描いているのかも注目しながら今年のファイターズを追いかけたいと思う。
(Written by 大井川鉄朗)