国民的なヒットになるための課題とは?! 櫻坂46「五月雨よ」
2022年4月13日公開分のBillboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”では、櫻坂46のニュー・シングル「五月雨よ」がダントツの首位を獲得した(【表1】)。CDデビューから6年、欅坂46時代から数えると12作目となるCDシングルだが、これまでのCDシングルはすべて1位を記録している。これだけの人気をキープし続けるのはさすがとしかいいようがない。まさに向かうところ敵なしといっていいだろう。
ただ、彼女たちにもまだまだ課題は多い。フィジカルのCD売上数に関しては初回盤仕様などの様々な施策が功を奏してまったく問題がないのだが、配信はいつも伸び悩んでいる。先行配信されたタイミングでの初チャートである前週4月6日公開分のJAPAN HOT 100では、ダウンロードが6位と健闘しているが、ストリーミングでは46位にとどまっている。今週にいたっては、ダウンロードが19位と一気に下がり、ストリーミングは少し上昇したがそれでもまだ27位だ。さらにいえば、ミュージック・ビデオの動画再生数が、3月10日に公開されたタイミングの3月16日公開のJAPAN HOT 100の動画再生数は42位とまずまずではあったが、その後は思ったように伸びず、今週は発売週なのに圏外までダウンしてしまった。300万回近くの再生回数があるにも関わらず、チャート上では結果に至っていないのがもったいない。
この状況からは、フィジカルのCDを購入するコア・ファン対策はしっかりとできているが、グレー・ユーザーの取り込みに苦戦していることが見えてくる。ラジオのオンエア状況も悪くないことを考えると、宣伝施策もそれなりに力が入っているのだろうが、一般層へアピールするまでにはいたっていないというところだろうか。
ただ、櫻坂46のポテンシャルは高いままであることは確かなので、今後はいかに世の中に広まる楽曲を送り出すかが重要だ。コア・ファンだけでなく、幅広い層に広まる名曲を生み出すのが理想だが、社会的に話題になったりSNSで拡散しやすかったり、今の時代はヒットの形式も個々に違う。彼女たちの資質を崩すことなく、いかに広がりのあるヒットを作りあげるのか。それこそが、櫻坂46をさらなる最強グループにするための課題といえるだろう。
Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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