「この気持ちをこれ以上抑えられない。このひとに恋をするんだ」Interview with Lauv




BTS、トロイ・シヴァン、アン・マリーら6組のアーティストとのコラボレーション曲を含んだ1stアルバム『~how i’m feeling~』から約2年。L.A.を拠点に活動を続けるシンガー・ソングライター/プロデューサーであるラウヴの動きが活発化してきた。まず、今年1月に久々のニューシングル「26」をリリース。26歳になった自分を見つめ、率直な思いを歌にした。


「「26」は夏にリリースする新しいアルバムのプレリュードみたいなものだと思っている。自分が26歳になって考えたことや問い直したことを歌っているんだ。傍から見たら僕は恵まれた生き方をしていて幸せそうかもしれないけど、でも実際はしばらくの間、苦しみを抱えていた。“こんなふうにしか感じられないのなら、なんのための成功なんだ?!”って自問している状態が続いていたんだよ。そんなときに、仲のいい友達が瞑想の仕方を教えてくれてね。もっと人生を大切にして、前向きだった自分に戻ろうと思った。それが新しいアルバムを作るにあたっての、ひとつの指針になったんだ。その第一歩が「26」というわけさ」





振り返れば、確かに『~how i’m feeling~』は1stアルバムであったにも関わらず、ハッピーな曲よりも心の痛みだったり孤独だったりを赤裸々に表現した曲がやけに多かった。


「実はあのアルバムの制作前に診断未確定の強迫性障害を患っていたんだ。不安に苛まれ、自分の人生と音楽キャリアにきちんと向き合うことができずにいた。でも、そうしたネガティブな要素も含めて自分のなかにあるいろんな感情をあのアルバムで表現できたのはよかったと思っている。あれがあったから、今は前向きになれた。今度のアルバムはありのままの自分を見せているけど、前作ほどがむしゃらじゃなく、もっと素の自分も見せているんだ」





彼の言う「今度のアルバム」とは、既に完成している2ndアルバム『ALL 4 Nothing』のこと。8月5日にリリースが予定されている。そしてそれに先駆け、4月上旬にリリースされたのが、「26」に続くシングル「All 4 Nothing(I’m So In Love)」。ラウヴにとっては久しぶりに昂揚感のあるロマンティックなメロディの曲で、春から夏に向かうこの時期にもぴったりだ。


「この曲は次のアルバムの明るい面を象徴している。今つきあっている彼女と出会って、ドキドキしているときに書いたんだ。“この気持ちをこれ以上抑えられない。このひとに恋をするんだ”って、そう思っていたらサビのメロディが降りてきた。さっき話したように、前のアルバムを作っていたときは不安に苛まれて、自分を大切にすることができなくなっていたんだけど、彼女といると幸福な気持ちになれたし、おかげで前向きな自分を取り戻すことができた。“この恋を手放したらダメだ、そうしたら全て意味がなくなってしまう”。オール・フォー・ナッシングというフレーズにそういう思いを込めたんだ」


「All 4 Nothing(I’m So In Love)」はMVも公開されている。監督はアリアナ・グランデ「thank u, next」、アヴリル・ラヴィーン「Bite Me」、アレッソ&ケイティ・ペリー「When I’m Gone」などを手掛けたHannah Lux Davisで、海に浮かぶラウヴ、そして彼女と愛の時間を過ごしている幸福そうなラウヴの姿が印象的だ。


「僕がこの楽曲のMVで表現したいと考えていたことを、Hannahは遥かに超えるものにしてくれた。目から鱗の経験だったよ」





COVID19のパンデミックでツアーができなくなり、閉じこもった生活になり始めた頃は「髪は伸び放題、髭も生えっぱなしで、酷い状態」だったそうだが、現在は髪を短く切って、鮮やかなグリーンに。


「次のアルバムの全ての曲を録り終えたときに、“よし、切るぞ! グリーンに染めるぞ!”って思い立って、そうしたんだ。精神的にナチュラルな状態になれたから、ナチュラル・グリーン。いいと思わない?(笑)」


text Junichi Uchimoto



Lauv
『ALL 4 Nothing』
2022.8.5OUT



Lauv
1994年8月8日生まれ。LAを拠点に活動するシンガー・ソングライター/プロデューサー。ギターを弾き始めた10歳の頃はグリーン・デイ等のポップ・パンクを聴き、その後はジョン・メイヤーなど幅広いアーティストに影響を受け、そのうちケイティ・ペリーなどのヒット曲の分析までするようになっていた。2015年にアーティストとしてのキャリアを始動し、NY大学在籍時に発売したシングル「The Other」がバイラルヒットした後、シングル「I Like Me Better」はSpotifyのみで10億回再生を記録。『I met you when I was 18.』のプレイリストを発表した2018年には、エド・シーランのツアーのサポートアクトも務め、2019年にはトロイ・シヴァンを迎えたシングル「i’m so tired…」、アン・マリーとの「fuck, I’m lonely」を発表。2020年にはLANYやBTS等とのコラボ曲も収録した待望のデビュー・アルバム『~ハウ・アイム・フィーリング~』をリリースし、全米Top20入りを果たしている。

https://www.virginmusic.jp/lauv/

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