デイサービスの送迎が変わる!?福祉型MaaSに寄せる期待と不安

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デイサービスの送迎が変わる!?福祉型MaaSに寄せる期待と不安

【科目】介護✕在宅介護  【テーマ】介護における送迎を大きく変える「福祉型MaaS」の現状

【目次】
福祉型MaaSが介護業界にもたらす変化日本で進まない理由導入しやすい法整備が必要

株式会社てづくり介護代表取締役の高木亨です。

2019年度に国土交通省と経済産業省が、新しいモビリティサービスの社会実装を目指すプロジェクト「スマートモビリティチャレンジ」事業を開始しました。選定された各自治体で実証が進められ、2020年度の対象地域は52に広がっています。

福祉型MaaS(Mobility as a Service)に取り組む自治体や福祉事業者、それを支援・協力する民間企業が増えているのも、スマートモビリティチャレンジ事業の延長線上にあるのでしょう。

今回は福祉型MaaSが介護業界に、どのような影響を与えるのかを考えます。

福祉型MaaSが介護業界にもたらす変化

MaaS(Mobility as a Service)とは、「移動のサービス化」などとされ、一人ひとりの移動ニーズに対応して、複数の公共交通やその他の移動サービスを連携。最適化して検索・予約・決済などを一括で行うサービスを指します。

これまでの移動サービスは、それぞれの移動手段が統一されていませんでした。そのため、さまざまな交通インフラが渋滞を起こしている首都圏では、効率化することで移動コストの縮小が期待できます。

一方で、人手や交通インフラの不足に苦しむ地方では、タクシーやバスなど、多様な交通手段を組み合わせることで、地域課題の解決につながるとされています。

高齢者や要介護者、障がい者など、日常の移動手段の確保が困難な移動制約者向けに、オンデマンドの移動サービス提供を目指して、福祉・介護型MaaSの実証実験が進められてきました。

例えば、通所介護の送迎計画はこれまで人が作成していましたが、これを自動で行えるシステムが開発されています。また、送迎計画表に沿って運行する福祉車両と、移動を希望する要介護者とのマッチングを行う仕組みも実現に向けて進んでいます。

手作業で行われていた送迎計画が自動化される

現段階での福祉・介護型MaaSの取り組みは実験・実証段階であり、まだ始まったばかりですが、今後の課題も明確になってきます。将来的には、今まで人によって行われていた業務の時間短縮や効率化が進むことが期待できます。

日本で進まない理由

街中で福祉送迎車両を見ない日はありません。各福祉・介護事業者が各々の利用者を送迎している現状は、MaaSの取り組みからすれば非効率だといえます。こうした送迎を効率化・最適化するだけでも、大幅な人員削減・CO2削減・交通渋滞の緩和・コストの低減などの効果が期待できます。

MaaSは高齢化と人口減少が進んでいる日本でこそ急がれるべきですが、実際には世界的にみて大幅に後れを取っているのが現状です。MaaSの推進を妨げている課題がいくつかあります。

もっとも大きな障壁とされているのが、細かく制定されている各種法律です。例えば、道路運送法第78条、いわゆる「白タク行為の禁止」が挙げられます。

実際、福祉や介護車両による送迎においても多くの制約がありました。近年になって、ようやく通院立ち寄りなどの柔軟な対応が認められるようになったばかりです。

次に、MaaSには情報とサービスの結合が不可欠です。しかし、日本において情報結合に対する警戒感や抵抗感はいまだ大きいのが実情です。取り扱う情報のセキュリティ精度を高めるとともに、万が一の補償体制や制度を確立して、信用を高めておく必要があるでしょう。

また、地方ではMaaSに変換できるモビリティや移動インフラ手段自体がすでに不足しており、結合の前にそもそも移動サービスがないケースも出てきています。

日本ではMaasを導入する態勢が整っていない

導入しやすい法整備が必要

福祉・介護型MaaSとなると制度上のハードルがさらに高くなる傾向にあります。

例えば、単純に送迎業務を民間委託した場合、その分、何かしらの委託料を別途支払うことになります。また、運行上の車両事故に対する保障の他、乗り込みまでの介護事故についての保障を如何に担保するのか。そうした諸費用が負担となる可能性もあります。

福祉・介護型MaaSが進めば、大きな視点で見れば合理的かつ効率的ですが、提供されるべきサービス母体が運営できなくなれば本末転倒です。「人手解消と効率化」と「費用増大」どちらが合理的かを十分に見極める必要がありそうです。

また、先にも触れましたが送迎を含む福祉サービスの場合、玄関から玄関までの移動の間もサービス責任があるとされています。将来的に自動運転・自動送迎が可能となっても、その間の転倒事故などの責任の所在などをどのようにするのか、新たな法整備や法解釈も必要になります。

情報統合に至っては、福祉・介護で扱われている個人情報は、特に周囲に知られたくないデリケートな内容を数多く含みます。そのうえ個人が特定されやすく、ほかのMaaSと比較しても難航するのは間違いありません。

MaaSはこれから先の未来に必須となる取り組みであることは明白です。乗り越えていかなければならない課題が多いものの、福祉・介護型MaaSの推進も避けては通れません。

今後を見据えて実証実験や議論を重ねつつ、できるところから準備を進めていく前向きな姿勢が求められると考えます。

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