新型宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」主鏡の展開作業も無事成功!

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新型宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」主鏡の展開作業も無事成功!

【▲ 観測を行う宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」を描いた想像図(Credit: NASA GSFC/CIL/Adriana Manrique Gutierrez)】

アメリカ航空宇宙局(NASA)は現地時間1月8日、新型宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」主鏡を展開する運用チームの作業が完了したと発表しました。主鏡やサンシールド(日除け)などを折り畳んだ状態で打ち上げられたウェッブ宇宙望遠鏡各部の展開作業は、これですべて完了したことになります。宇宙望遠鏡として史上最大となる直径6.5mの主鏡を備えたジェイムズ・ウェッブは、およそ半年後に予定されている観測開始へ大きく近づきました。

■折り畳んで打ち上げられたウェッブ宇宙望遠鏡が真の姿を現す

2021年12月25日21時20分(日本時間、以下特記なき限り同様)に欧州の「アリアン5」ロケットで打ち上げられたジェイムズ・ウェッブは、初期宇宙で誕生した宇宙最初の世代の星(初期星、ファーストスター)や最初の世代の銀河太陽系外惑星の観測などで活躍することが世界中の研究者から期待されている、アメリカ航空宇宙局(NASA)・欧州宇宙機関(ESA)・カナダ宇宙庁(CSA)の新しい宇宙望遠鏡です。

ウェッブ宇宙望遠鏡は地球と太陽の重力や天体にかかる遠心力が均衡するラグランジュ点のひとつ「L2」(地球からの距離は約150万km)まで1か月ほどかけて移動し、機器の冷却や較正を終えた後(打ち上げから約6か月後)に観測を開始する予定です。

【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の軌道を説明した動画。L2を周回するような軌道を描くことがわかる】
(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center)

135億年以上前の初期宇宙に存在していた天体、その赤外線を捉えることを目指すウェッブ宇宙望遠鏡の主鏡は、表面が金でコーティングされたベリリウム製の六角形セグメント18枚で構成されています。前述のように主鏡の直径は6.5mで、「ハッブル」宇宙望遠鏡の直径2.4mの主鏡より3倍近くも大きく、そのままではアリアン5のフェアリング(※)に収まりません。

※…ロケットの先端にある人工衛星や探査機などを搭載する部分、アリアン5のフェアリングは直径5m

そこで、主鏡や太陽光を遮るサンシールドなどウェッブ宇宙望遠鏡の各部分は、一旦折り畳んだ状態で打ち上げた後に宇宙空間で展開する構造が採用されています。主鏡の展開に先立つ2021年12月29日にはテニスコート並のサイズ(約21m×14m)があるサンシールドの展開作業が始まり、1週間後の2022年1月5日に完了していました。

すべての地上試験を終え、打ち上げのために各部が畳まれたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(Credit: NASA/Chris Gunn)

【▲ すべての地上試験を終え、打ち上げのために各部が畳まれたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(Credit: NASA/Chris Gunn)】

望遠鏡部分の展開作業は3本の支柱(1本の長さ約25フィート)に支えられた副鏡、観測機器用のラジエーター、左右1列ずつが折り畳まれた主鏡の順に進められました。副鏡の展開は1月5日23時52分に始まり、1月6日2時23分に完了を確認。同日夜には主鏡の背後に搭載されているラジエーターも展開されています。最後のステップとなる主鏡両側の展開は左側の列が1月8日4時11分、右側の列が1月9日3時17分にそれぞれ完了したことが確認されました。

NASAによると、打ち上げから半月かけて各部の展開が完了したウェッブ宇宙望遠鏡では、今後数か月かけて光学系の調整が行われます。主鏡を構成する18枚の六角形セグメントや副鏡の裏側にはそれぞれ6つのアクチュエータが備わっており、望遠鏡の焦点を合わせるために鏡を動かせるようになっています(主鏡の六角形セグメントの中央には曲率調整用のアクチュエータも1つずつ備わっています)。また、1月下旬には観測を行うL2周辺の軌道へ入るための3回目の軌道修正噴射も予定されています。

 宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)のオペレーションセンターでウェッブ宇宙望遠鏡の展開作業を見守るエンジニア(Credit: NASA/Bill Ingalls)

【▲ 宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)のオペレーションセンターでウェッブ宇宙望遠鏡の展開作業を見守るエンジニア(Credit: NASA/Bill Ingalls)】

冒頭に掲載した想像図通りの姿をついに現したウェッブ宇宙望遠鏡、観測開始が本当に待ち遠しいです。最後となる3回目の軌道修正噴射も無事成功することを願います。

 

Image Credit: NASA GSFC/CIL/Adriana Manrique Gutierrez
Source: NASA
文/松村武宏


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