長編アニメ『永遠の831』興津和幸がインタビューで明かす、唯一無二の世界観の魅力「831とはどういう意味なのか、是非皆さんに考えてみてほしい」
WOWOW開局30周年記念作品として、2022年1月に放送・配信予定の長編オリジナルアニメ『永遠の831』。本作は『攻殻機動隊 S.A.C』シリーズ、『東のエデン』シリーズなどを手掛け、国内外問わず注目を集める神山健治監督が、脚本・監督を務める待望の新作です。本作でしか見ることのできないユニークな世界観やキャラクターに加え、数々の人気アニメ作品の主題歌を担当するangelaさんによる主題歌や、作品を彩る豪華なキャスト陣にも注目が集まっています。
今回は、作中に登場する重要人物のひとり・亜川芹(あがわせり)を演じる興津和幸さんのインタビューをお届けします。重厚なメッセージが込められた本作の魅力や、ご自身が演じられたキャラクターについて、収録の雰囲気など、さまざまなお話を伺いました。
「ファンタジーさと、リアリティさが交錯する塩梅が絶妙」
――『永遠の831』の台本をお読みになった際の、率直なご感想をお聞かせ下さい。
興津和幸さん(以下、興津):ファーストインパクトで「これは映画だ!」と思いました。というのも、神山監督の展開するユニークな世界観に加えて、監督の想いやメッセージがたっぷり詰まった作品というのが、演じているときにも感じたからですね。
主人公の浅野スズシロウ(あさのすずしろう)と、橋本なずな(はしもとなずな)は、時間を止める力がある、いわゆる超能力者のような存在です。この設定はファンタジーのようなんですが、彼らを取り囲む環境というのが、非常にリアリティに溢れているんです。その設定のファンタジーさと、現実のリアリティさが交錯する塩梅がとても絶妙ですね。
――そんな世界観を感じられるのは、どのようなシーンなのでしょうか?
興津:主人公であるスズシロウが、新聞料金を滞納している人のところに集金に行くというシーンがあるんです。パッと聞いただけだと、そこまで深い場面のようには聞こえないと思うんですが、ここが意外と面白いんですよ。
日常のなかで、スズシロウがどういう風に生きてきたか、人とどういう風に接してきたかというのが読み取れるシーンになっているんです。設定が紹介されているメインキャラクター以外にも、生活している人物たちの振る舞いが妙にリアルに感じられて、すごく面白いんですね。僕は「本当にこういう人いるのかな。いやでも、実はいそうだな」と思いながら見ていました。
――スズシロウにも密接にかかわる、興津さんが演じられた亜川芹(あがわせり)は、どのようなキャラクターなのでしょうか?
興津:俗にいう半グレ集団である“831戦線”のリーダーで、見た目もかっこいいという、ちょっと憧れちゃうような男です。831戦線はかなり悪いこともしちゃっている集団なんですけど、それを取り仕切っている人物ですから、相当なワルですね(笑)。
831戦線の構成員には、見るからに闇を抱えてそうなクセの強いメンバーがたくさんいるんですけど、彼らのような人たちは、信念の強い人物がトップじゃないとついていかないはずなんですね。そんな組織を率いているわけですから、人を惹きつけるカリスマ性を備えているんだと思います。たぶん、作品の中で1番かっこいいですよ(笑)。
――亜川芹以外にも、このキャラクターの活躍に注目してほしいという人物はいらっしゃいますか?
興津:すべてのキャラクターに見せ場がありますから、全員に注目することになるかもしれません。個人的には、スズシロウが働いている新聞販売店のキレイな店長・アキナと、ベテラン番頭の室戸(むろと)ですね。キャストも、アキナは日笠陽子さん、室戸は大塚明夫さんと豪華メンバーなんですが、実はアドリブでやったのかもしれないシーンが結構あったみたいで、どんな風に仕上がったのか僕も気になってます(笑)。
――それは気になりますね! ちなみに、収録時の雰囲気はどのような感じだったのですか?
興津:僕はスズシロウ役の斉藤壮馬くんと、なずな役のM・A・Oさんとの3人での収録だったんですが、とてもまじめな雰囲気でしたね。それぞれ重たい背景を背負っているキャラクターたちのシーンですから、シリアス担当として頑張りました。
壮馬くんが前日に収録した時には、アキナ役の日笠さんと、室戸役の大塚さんの3人だったらしいんですが、当日いない人の分のセリフを大塚さんが全部言ってくれていたそうで、「すごく楽しかったんですよ!」と教えてくれました。そんな現場なかなかないですから、めちゃめちゃうらやましいです(笑)。
「831とはどのような意味なのか。作品を見て、是非みなさんに考えていただきたい」
――キャラクターたちのなかで、興津さんと似ている人物などはいらっしゃいますか?
興津:似ている人物はあまりいないかもしれないですが、双六さんというキャラクターには、なぜか憧れます。新聞奨学生を12年続けているベテランという、ギリギリまで大学にいるタイプみたいな感じの雰囲気なんですが、こういう人には、なにか惹かれるものがありますね。
――ちなみに、スズシロウとなずなのふたりのように、ご自身が学生の頃に欲しかった能力はありますか?
興津:今だとちょっと危ないことになるので言えません……というのは冗談として(笑)。寝なくても動き続けることのできる能力ですかね。ずーっと遊びたかったです。部活で勉強する体力まで残ってなかったので、こんな能力があればよかったな。
――最後に、『永遠の831』を心待ちにしている皆さんへ向けて、メッセージをお願いします。
興津:『永遠の831』という、一見するとさわやかそうなタイトルなんですが、亜川芹の率いる半グレ集団・831戦線の名前にも、この「831」が入っています。これがいったい何を表しているのか、どのような意味なのか。この作品を見て、是非みなさんに考えていただきたいなと思います。
――ありがとうございました!
■作品情報
永遠の831
“未曾有の大災厄”により世界中が混迷を極める現代。
東京で新聞奨学生として暮らす青年・スズシロウは、誰にも言えない秘密を抱えていた。
高校三年の夏に起こったある事件をきっかけとして、自分の意志とは無関係に周囲の時間を止められるようになってしまったのだ。
そんなある日、スズシロウは初めてその秘密を分かち合える相手と出会う。
自分と同じく、心に傷を負い、時間が止められるようになってしまった少女・なずな。
彼女が異母兄の芹によって犯罪に利用されていることを知ったスズシロウは、衝動的に手を差し伸べる。
「君、ここから一緒に逃げよう!」
止まってしまった時間を、二人は再び動かすことができるのか。
【放送時期】2022年1月30日(日)20:00~ WOWOWプライム/ WOWOWオンデマンド
※WOWOWオンデマンドでは無料トライアル実施中
公式サイト:https://eienno831.com
公式Twitter:@eienno831
【キャスト】
浅野スズシロウ:斉藤壮馬
橋本なずな:M・A・O
亜川芹:興津和幸
アキナ:日笠陽子
室戸:大塚明夫
双六:粟津貴嗣
坂田兄弟(兄):近藤孝行
坂田兄弟(弟):岩崎諒太
ドンキ:山下誠一郎
各務恭子:五十嵐麗
【スタッフ】
監督・脚本:神山健治
キャラクターデザイン:河野紘一郎
CGディレクター:松浦宏樹
テクニカルディレクター:田尻真輝
美術監督:滝口比呂志
音楽:椎名豪
音楽制作:キングレコード
アニメーション制作:CRAFTAR
製作著作:WOWOW
(執筆者: sasuke_in)
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