「ジョン・カーペンター レトロスペクティブ2022」開催記念! 『ザ・フォッグ』の名シーン再現してみた
ジョン・カーペンター監督の特集上映「ジョン・カーペンター レトロスペクティブ2022」が、2022年1/7 (金)から1/27(木)の3週間限定で、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺にて開催。
SF・ホラー作品でカルト的な人気を誇る《ホラー映画の帝王》ジョン・カーペンター監督。『遊星からの物体X』(82)、『クリスティーン』(83)など数々の名作を生み出し、多くの映画ファンに愛される名匠の一人。40年以上にわたってシリーズが続く、伝説のホラー映画『ハロウィン』の最新作『ハロウィンKILLS』(21)では、音楽を手掛け、ミュージシャンとしても活躍している。そんなカーペンターの熱狂的ファンであることを公言するのは、J・J・エイブラムス、クエンティン・タランティーノ、ロバート・ロドリゲス、エドガー・ライト、ここ日本では、黒沢清監督、大ヒットゲーム「メタルギア」シリーズのゲームデザイナー・小島秀夫と鬼才のビッグネーム揃いです。
100年前の怨みを晴らすため、霧とともに現れた亡霊たちが次々と住民を惨殺していくという斬新なストーリーで、隠れた名作ホラーと名高い『ザ・フォッグ』。低予算ながらも、霧の立ち込める不気味な演出が話題となり、2005年にはリメイクが製作され、全米のオープニングでは1位を獲得するなど今でも熱狂的なファンが多い作品です。
低予算で映画を作ることへのリスペクトを込め、ジョン・カーペンター組の一員になった気持ちで、『ザ・フォッグ』の名シーンを再現! 2種類のカラースモークを使用し、どちらのカラースモークがより『ザ・フォッグ』の名シーンに近づけるか、「レトロスペクティブ2022」宣伝チームが体当たりで実験を行いました。
実施内容:再現したいシーンは、映画『ザ・フォッグ』マローン神父が黄金の十字架を亡霊に手渡すシーン
実験方法:以下、2種類のカラースモークボールを用いて実験
◆エントリーNO.1 カラースモークボール
緑、オレンジ、ピンク、黄色の4種類からなるカラースモークボール。球の色と同じスモークが出る。
球には導火線がついており、そこに火を灯すと発火。火は導火線をたどり、球の中へ。するともくもくと煙が出てくるシステム。
◆エントリーNO.2 スモークゴルフボール緑
その名の通り、ゴルフ大会の始球式で使用されることが多い。ゴルフドライバーで打つとその打撃によって煙が噴射する仕掛けになっているため、ゴルフ大会以外の使用の際は、相当の打撃が必要となる。
12月17日(金)18時より、ホラー映画感満載の都内某公園にて撮影が始まった。天気は雨が上がり曇り空が広がっているが特に不満はない。風も全く吹いておらず、満月が綺麗な夜。絶好の実験日和だ。
レトロスペクティブ2022宣伝支部より4名が実験に挑む。大役マローン神父を任されたのは御年35歳となる宣伝マンA。立ち姿からは心なしかやる気がないように見える。
まずはロケーション探し。『ザ・フォッグ』の世界観を表現するため、暗い場所で且つ、木が鬱蒼と生い茂っている場所が良いと意見が一致。一行は公園を散策。良い場所が見つかった。
エントリーNO.1のカラースモークボールから実験を開始。
4つ球があるため、『ザ・フォッグ』の場面写真と同じ、緑色は最後に残し黄色い球から実験を始めたが…。ここで第1ハプニング。まさかの煙に色がついていない。焦る宣伝チーム。懐中電灯で照らすと…ほんのり薄く色がついていた。こんなにスモークの色が薄いと思っていなかった一行は驚く。だが、そこは臨機応変に対応。緑色に光るブレスレッドのライトを照らすなどして、より『ザ・フォッグ』に近づけるため試行錯誤を行う。
思ったよりも煙が多すぎて神父の顔が隠れてしまった…。確認できるのは手に持っている黄金の十字架のみ。直で煙を浴びた神父役のAによると、かなり臭かったらしい。咳き込んでいた。
2つ目、3つ目とカラースモークボールを使用していく。次第にコツを掴んできた。
そしていよいよ最後の1つ。緑を使う時がきた…。緊張が走る。カメラの位置を念入りに確認する我々。ようやくベストポジションが見つかった。そして、最後の1つ緑のカラースモークボールを召喚!そそくさと持ち場につく我々。そして…
最高の1枚が撮れた。背景には木の枝が鬱蒼と生い茂り、まさにホラー映画感満載だ。さらに神父の表情、そして手に持つ黄金の十字架が光り輝いている。煙が立ち込め、今にも『ザ・フォッグ』の亡霊が現れそうな写真に仕上がった。
エントリーNO.1カラースモークボールの実験が最後の最後でうまくいき、テンション上がる宣伝チーム。この勢いで、エントリーNO.2のスモークゴルフボールも成功させたい。チームは1つになった。さあ、スモークゴルフボールを片手にいざ…!ゴルフドライバーで打ちつけるような打撃を与えるため、必死にゴルフボールを踏む宣伝チーム最年少のM。「あれ?スモークが出てこない。」ここで第2ハプニング発生。地面が土で柔らかいためか、もしくはMの力が弱いのか。悩む宣伝チーム。
そして、チーム唯一の男性、神父役のAに交代。Aが思いっきりスモークゴルフボールを踏みつけるが…煙は出ない。いっそのこと投げてみるのはどうだろうか。と案が出たため、神父役A、撮影班はスタンバイ。そしてMが思いっきり投げる!と…ここで第3ハプニング発生。宣伝チーム最大のピンチが訪れる。Mが思いっきり投げたボールがバウンドし、消えてしまったのだ。頭を抱えながらも必死に小さなスモークゴルフボールを探す宣伝チーム。葉っぱが山のように溜まった場所を、方向的にもそこにあるのではないかと皆が推理する。血眼になって探すM。すると…「あっ、ありましたー!!」と発見。喜ぶ宣伝チーム。撮影を続行。次は、アスファルトで投げてみることに。すると…投げた先で緑の煙が一斉に吹き出した!
お面で前が見えないAは撮影班に誘導され、煙の場所に…。だが、もう遅い。
煙は既に姿を消していた…。とここで、焦ったAの黄金の十字架に注目いただきたい。左右逆になっている。これは失敗か…と嘆く宣伝チーム。だが大丈夫。あともう1つあるのだ。
最後の1つを前に、念入りに作戦会議を立てる。まずは、力の強いAをスモークゴルフボール投げる役に変更。そして力の弱いMが神父役になる。Aは神父の顔が凹んでいると直す徹底ぶり。神父も疲れてきたのだろうか。撮影班はスタンバイし、いざ最後の撮影へ挑む!!
Aがスモークゴルフボールを力一杯、アスファルトに打ちつける。コロコロと転がった先でスモーク発生!急いで移動する宣伝チーム。そして…
ご覧いただきたい。緑の煙に神父の表情、黄金の十字架の角度。
全てがピッタリと合った絶妙のタイミング。まさに、『ザ・フォッグ』の世界がここ都内に再現された瞬間だ。実物と比較してみても、納得の一枚に仕上がった。
我々はこのシーン1つを再現するのに約2時間かかった。この1シーンの撮影で疲労困憊しているが、『ザ・フォッグ』は89分もある。当時本作を監督したジョン・カーペンターは若干32歳。様々なハプニングを乗り越えて、映画を完成させたのだと思うと、図り知れない苦労があったに違いない。改めて、ジョン・カーペンターに敬意を表す。
※公園で実験する際は、注意事項をよく読み、気をつけて行なってくださいね。
『ジョン・カーペンター レトロスペクティブ2022』
1/7(金)―1/27(木)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
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