介護の仕事と子育ての両立。施設ができる支援のあり方とは?

access_time create folder政治・経済・社会
介護の仕事と子育ての両立。施設ができる支援のあり方とは?

【科目】介護✕認知症  【テーマ】女性の離職を防ぐ介護職と子育ての両立支援

【目次】
ICT化と並んで必要な離職防止法律で定められた制度制度を正しく運用できる職場づくりが肝心

特別養護老人ホーム裕和園の髙橋秀明です。今回は子育て世代の女性の離職防止を目的とした支援制度をお話いたします。

ICT化と並んで必要な離職防止

介護業界は、人材採用・定着・育成が課題といわれています。国は介護人材不足に対応するために、記録や情報共有など「間接的な業務」でICT化を図り、効率化できると考えます。私の働く施設でも、介護記録などはタブレット端末を活用しています。そのことで情報共有がしやすくなり、業務効率が改善されました。

しかし、ICT化が進んだとしても、機器を使いこなすのは「人」です。そして「直接的な介護」の仕事においては、排泄や入浴、食事などに対応する介護ロボットはありません。

ある研究所が数年前に実施した調査結果によると、介護の仕事は「将来、人工知能やロボット等による代替可能性が低い仕事」に分類されています。そのため、今後も人材採用・定着・育成は欠かせないものでしょう。

そうした中、介護の仕事を志し、介護の仕事に就いたけれど、結婚や妊娠・出産・育児などをきっかけに介護の仕事を離れる人も少なからずいます。家庭の事情により、やむを得ず介護の仕事から離れてしまうことは、本人の選択なので仕方がありません。しかし、結婚や妊娠・出産といった段階でも、働きやすい環境が整っていれば、介護の仕事を辞めずに済んだという方もきっといるのではないでしょうか。

子育て世代の女性が介護の仕事と、子育てを両立するためには事業者による支援が欠かせません。

法律で定められた制度

介護の仕事は、慢性的な人材不足といわれがちです。

厚生労働省の「職業安定業務統計」によると、介護関係職種の有効求人倍率は、約4倍と非常に高い数値が出ています。「人手が不足しているうえに、大変な仕事」など、ネガティブなイメージを持たれている方も一部いますが、反面「介護の仕事に就こう・就きたい」と志している人たちも多くいます。

そのような人材を採用・定着するためには、職員を大事にする組織風土が大切です。例えば、事業所の支援の質が高く、自分の仕事にやりがいや誇りを持てる教育体制の確立、福利厚生の充実も重要だと思います。

人材の定着に必要な3つのポイント

福利厚生の充実の一つは、妊娠・出産・育児と仕事のバランスがとれる職場環境です。

会社には、「子どもを産んでからも今の職場で働き続けたい」と考える方のために、「産休・育休・育児のための所定労働時間の短縮等の措置」があります。

産休:出産予定日の6週間前から、出産翌日の8週間後まで休みを取得できる(労働基準法)産休:子供が1歳になるまでの希望する期間に、育児のための休みを取得できる(育児介護休業法)育児のための所定労働時間の短縮等の措置:3歳未満の子どもを養育する従業員が希望した場合、勤務時間を短縮できる制度。従業員が希望した場合、原則として1日の勤務時間を6時間とする措置を行う必要があります。また、育児短時間勤務の対象者となる従業者には、いくつか条件があります。

制度を正しく運用できる職場づくりが肝心

育児短時間勤務制度は、仕事と育児の両立がしやすい勤務体制といえます。実際に僕が働く職場でも、介護の仕事をしながら育児をしている職員が複数います。また、妊娠・出産・育児を理由とした離職率はほぼありません。

私が職員から聞いたところによると「この制度によって、仕事と育児の両立ができる」という言葉をいただいています。仕事を継続することで、本人にとって「安定した収入の確保」「継続的なキャリア形成」につなげることができます。また、事業所にとっては、「知識・技術・経験値の高い職員を継続雇用できる」という双方にとってメリットがあるのです。以上のような体制を整えることで、貴重な人材の離職防止につなげることができます。

しかし、これらの制度は「正しい運用」「組織への浸透」「活用しやすい組織風土」が肝心です。風通しの良い職場という土台がないと、制度はあっても活用されず、結果離職につながる可能性があるのです。

育児短時間勤務が適用される職員の業務は、フルタイム勤務の職員に引き継がれるかたちになります。コミュニケーションが図れていないと、育児短時間勤務を利用する職員に対して、フルタイム職員が不平不満を持つ可能性があるからです。利用する職員の中には後ろめたさを感じる人もいるかもしれません。

制度を運用するためには風通しの良い職場環境が肝心

人は必ず老いを迎えます。老いを迎えると、「若いときと同じように」とはいかず、それまでできていたことができなくなり、他者のサポートを受けて生活をせざるを得なくなります。

以上をふまえると、介護の仕事に就いている専門職は、国民にとっては必要不可欠な存在ではないでしょうか。私はそれだけ価値ある仕事と思い、この18年間仕事に向き合ってきましたし、これからもその意識で介護の仕事を続けたいと思います。そして、国民生活に絶対必要な存在だからこそ、介護の仕事に就く専門職を大事かつ育んでいく必要があります。子育て世代の方々も介護業界には必要な人材です。だから、子育てしながらでも働き続けられる職場環境や、組織風土にしていくことが大事だと考えます。

「介護✕認知症」記事一覧はこちら

関連記事リンク(外部サイト)

宮田裕章「要介護者を幸せにする伴走型介護。カギになるのはDX推進」|賢人論。|みんなの介護
介護、ゼロからのスタート。
フリーターだった僕は
この世界で目指す道を見つけた

心身を癒してQOLを向上する訪問入浴や訪問理美容のメリット

access_time create folder政治・経済・社会
local_offer
みんなの介護ニュース

みんなの介護ニュース

みんなの介護ニュースは、最新の介護情報、介護に関する話題や時事ニュースを、コラム形式でわかりやすくお届けします。

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

ガジェ通制作ライブ
→ガジェ通制作生放送一覧