孫介護者限定の交流会を開催。実体験から考える「3つの提言」

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孫介護者限定の交流会を開催。実体験から考える「3つの提言」

【科目】介護✕在宅介護  【テーマ】「孫介護者」のリアルな声から考える3つの提言

【目次】
提言1:重度認知症の方が通えるデイサービスの増加提言2:病人デイサービスやショートステイの設置提言3:孫シングル・多重介護者の介護サービス点数増加

読者の皆さま、こんにちは。『おばあちゃんは、ぼくが介護します。』の著者であり、「介護作家」「メディア評論家」「よしてよせての会」代表の奥村シンゴです。ヤングケアラー・若者ケアラー・就職氷河期ケアラーの就業支援、国・政治家へ提案型コミュニティー「よしてよせての会」を設立し、フジテレビ、ヤフーニュース、介護専門誌日総研認知症ケア、マネ―現代(現代ビジネス)など多数のメディアにご紹介いただきました。

私は、30歳過ぎから認知症の祖母を在宅介護で6年間、施設介護で3年の計9年間介護中の「孫介護」当事者です。

2017年の就業構造基本調査によれば、15~39歳の家族介護者は54万人で、5年前から約3万5,000人増加しました。その中には、孫介護者が多く含まれていると考えられます。

去る10月17日に「よしてよせての会」で孫介護交流会を開催しました。そこで今回は、その会場で聴いた当事者たちのリアルな声をお伝えいたします。

提言1:重度認知症の方が通えるデイサービスの増加

孫介護交流会に参加したhamoさんは、重度の前頭型側頭型認知症の母親を介護して10年目になりました。

hamoさんは、母親を治療してくれる病院を探し、まず神経内科を受診しましたが、医師から「あんたの母親みたいな症状が治るわけないでしょ、無駄なんだよ」と言われ、絶望の淵に立たされたそうです。

その後、大学病院を訪ねたものの医師から「症状はアルツハイマー型かレビー小体型かわからず、治験の紹介はしてない」と告げられたのです。その後、別の大学病院で血流テストの結果から「前頭型側頭型認知症」が発覚しました。母親の病名がようやく発覚したものの、次に待ちうけた試練は、「施設探し」でした。

hamoさんは、母親の要介護認定を申請しましたが「体が動き、元気で、よく話せる」を理由に要介護度は2でした。特別養護老人ホーム(特養)の入所基準の要介護度3を満たしていません。そして、母親は「小規模多機能施設」「デイケア」「ショートステイ」などに通いました。しかし、「深夜までずっと話をして、ほかの利用者とケンカするので、職員の手がかかる」と言われ、長続きしませんでした。

その後、母親は、病が進行。hamoさんと些細なことで口喧嘩をしては勝手に外へ出て行き、警察に保護されました。さらに、高齢者虐待防止法に基づき、高齢者の生命・身体に重大な影響を及ぼす可能性がある場合に仮入所する「やむを得ない措置」で有料老人ホームに一時入所しました。つまり、hamoさんは母親を虐待しているのではないかと疑われたのです。

こうした騒ぎが続き、ひどい時は1年に200~300回も警察に行ったそうです。1日3回警察と往復した日もあったと言います。現在、母親は週2回朝9時から午後4時まで認知症対応デイサービスに通っているそうです。

「携帯などの連絡先も教えない。収容した施設も教えない。やむを得ない措置も1泊3万円の実費請求。ほかの施設もなく、とりあえず重度認知症の方を対象としたデイサービスを増やしてほしい」と、hamoさんは訴えます。

私も、祖母は重度認知症、母親は身体表現性障がいで精神症状がきつくなり、入院が必要になりました。その際、病院を50軒近く探し、ようやく入院先が見つかりました。精神症状がひどい患者の場合、精神科病院以外に入院可能な受け皿がほとんどありません。重度認知症の家族を持つ介護者のためにも、デイサービスの充実が求められています。

重度認知症の方を受け入れ可能なデイサービスの拡充

提言2:病人デイサービスやショートステイの設置

「1ヵ月の介護サービスの上限をいっぱい使いきる直前で病気やケガで要介護者のケアができなくなる」など、介護者が緊急時の場合に「病人デイサービス」や「病人ショートステイ」があると便利ではないかという意見が聞かれました。

これは、病児保育(保健所に通っている子どもが病気を発症したとき、家庭で面倒をみるのが難しい保護者に代わって保育士・看護師が看護する)の応用バージョンで、大変面白いアイデアだと思いました。

そういえば日本は、要介護者のための介護サービスが主体で、介護者のケアがほとんどありません。これからの少子高齢化に向け、必要なサービスではないかと思います。

例えば、スウェーデンの「コミューン」という自治体では、週4時間無料でヘルパーが派遣される「ホームレスパイト」というサービスがあります。

マンパワー、コスト、ハード面の課題はありますが、介護者が「心身面を気にせず安心して介護できる」環境を整えていくことが大切だと痛感しています。

提言3:孫シングル・多重介護者の介護サービス点数増加

シングル・多重介護者限定で孫介護者の介護サービス点数増加を訴える人がいました。

孫介護者は、10~40代と低年齢だったり、家庭環境が複雑だったりするなど、シングル・多重介護者が多いといった特徴があります。

参加者の中には、30代の若さで祖母を介護していて、母親や親戚からは「そんなおばあちゃんほっといて早く施設に入れなさい」と言われ、家を出て祖母と2人暮らしをしている方がいらっしゃいました。

「おばあちゃんが大好きで在宅介護をしているのですが、ワンオペ介護はきついです。介護サービスの1ヵ月の上限点数が毎月足りなくて、訪問看護を減らして四苦八苦しています。何とか点数を増やしてほしい」

この方の祖母の要介護度は3で「アルツハイマー型認知症」と「心臓の持病」を抱えていて、目が離せません。このように孫介護者は、要介護者の親が病気・疎遠であるなど家庭が複雑、低年齢、経済的に厳しい環境である場合が少なくありません。

かくいう私も、精神疾患の母親と認知症の祖母を介護していましたが、プライベートや仕事の時間はほとんどありませんでした。それでも、「祖母と一日でも長く家で一緒に笑って、ケンカして、食べて、歩いて、出かけたい」と思ったものです。

10~40代の孫介護といえば、「進学」「就職」「結婚」「出産」といった人生の転機を迎える重要な年代でもあります。さらに、ここ10年の報道資料を見ていると、介護殺人を一番引き起こしているのは「シングル・多重介護者」で、ケアレベルが高く、壮絶な実態が伺えます。

孫介護者は家庭事情が複雑なケースが多い

このように、「よしてよせての会」では、国・行政・政治家へ介護者視点の政策を提案しています。また、12月には「コロナ禍で売上苦境の店でヤングケアラーとクリスマスを過ごす会」を開催する予定です。さらに「ケアラーライター」などの就業支援活動を行っています。

こうした孫介護の体験から得た介護のコツやお悩み解決は、近著『おばあちゃんは、ぼくが介護します。』(株式会社法研)に書いています。読売新聞・朝日新聞・共同通信・ヤフーニュース・介護専門誌日総研認知症ケアなど多数で紹介され、ジュンク堂ランキング1位を獲得しました。今、クローズアップされているヤングケアラーなどの若者介護問題とあわせて、ぜひご一読ください。

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