ハマ・オカモト「BE@RBRICK WORLD WIDE TOUR 3」Behind The Scenes
メディコム・トイが、BE@RBRICK誕生20周年を記念して『BE@RBRICK WORLD WIDE TOUR 3』を開催。『BE@RBRICK WORLD WIDE TOUR』(以下、BWWT)は、全高約70cmの1000% BE@RBRICKをキャンバスに、世界中のトップクリエイターたちが創造性あふれる発想でデザインを手がけた作品の数々を一挙に展示するイベント。初開催となったBWWTでは、2004年から2007年にかけて世界6都市(7会場)を巡り、 2011年から行われた BWWT2では、アジア4都市の人々を魅了した。今回のBWWT3には、約100名の高感度なアーティストによる作品が集結。各会場でエキシビションテーマを設けながら、世界中の都市を周回していく予定。
そのうちの一人として、長年のBE@RBRICK LOVERであるハマ・オカモトが参加。彼はどのようにして自身の理想のBE@RBRICKを作り上げたのか。アイデア段階から制作、完成までを追った。
*ハマ・オカモトによるBE@RBRICK 偏愛の歴史はこちらをチェック→ https://www.neol.jp/culture/106563/
*本イベントのチケット抽選販売は終了しております。
自分らしいBE@RBRICKってどんなもの?
『BE@RBRICK WORLD WIDE TOUR 3』への参加が決まった某日。どんなBE@RBRICKを作りたいのか、どんなことができるのか、そもそものボディの仕組みはどうなっているのかーーアイデア出しの前段階となる大枠を知るため、ハマ・オカモトはメディコム・トイにて歴代のBE@RBRICKを見学させてもらい、ボディの成り立ちや解体方法などを詳しく聞くことから今回のプロジェクトをスタートさせた。
はやい段階で彼の頭にあったのは「スケルトン」と「楽器」。
BE@RBRICK にハマるきっかけとなった「BE@RBRICK SERIES 4 HORROR」はスケルトンタイプのBE@RBRICKで、その後のハマ・オカモトのアクリル好きにも連なっていくルーツでもある。そのため、彼の中で「スケルトン」は必然だった。
ただし、スケルトンのBE@RBRICKは既に数多く登場している。その特性を活かし、ボディにアイテムを詰めて透かして見せる作品も頻出。なんと言ってもBE@RBRICKというベースをもとにアーティストが自由に閃きや工夫を競うBWWTは「大喜利」なのだから、そんじょそこらのアイデアでは個性を出せない。長年の間、自分ならどんなBE@RBRICKを作りたいかと漠然と考えていたというハマだが、「スケルトン」という種をもとに、いざ具体的に検討を始めると、これもあれも出ていると数多のアーカイヴスを見て頭を抱えることになった。
しかし、自身のアイデンティティである「音楽」を活かし、「楽器」を体現しようと浮かんでからは急速に物事が進んだ。BE@RBRICKをスケルトンの「エレキベース」に見立てることが決定。以前、ベースが好きな人に中身がどうなっているかも見せたいと、バラバラな状態の楽器を組んで音を出すという企画を行ったことがあるハマならではの着想だ。
弦の揺れを感じてもらうためには?
アイデアが固まったところで、具体的な作業の詰めに移る。ハマが引いてきた手描きの図案をもとにメディコム・トイで実現可能か詳細を精査。
頭からボディにかけて弦4本を通す。弦の振動を電気に変える「ピックアップ」と呼ばれるパーツはエレキベースに必須。弦を巻きつけるための「ペグ」もできれば付けたい。 今では無用と出荷段階で付いていないことも多いが、50年代に重宝されていた指を固定させるための「フィンガーレスト」もあってほしい。ヴィンテージでよく見られる「ブリッジカバー」や、ネックとボディの後ろにある「プレート」も同様。その他、三次元曲面に部品を埋め込むための技術について、どこまで本物に近づけ、どこまで見せるものとして割り切るかなど、課題を一つ一つ潰していくも、ほぼ図案通りに進められるとお墨付きを得た。次は、実際に試作に入ることに。
「楽器は生きていて、弦を揺らす。その弦の揺れを見る人に感じてもらえたら」というハマの思いが具象化していく。
ハマ・オカモトによる解説
試作を終え、本番も8割ほど出来上がった段階で本人から作品を解説してもらった。
「現段階で写真に写ってるもので言うと、胸のところにある黒い2つは『ピックアップ』と呼ばれる弦の音を拾うマイクとカバーです。実際に本物が入っていて、マイクのボリュームを上げ下げしたり、マイクで拾った音の輪郭のようなものをくっきりさせたり、ぼやかせたりする『ヴォリューム』と『トーン』のノブに繋がっている状態です。上がヴォリュームで下がトーンですね。ベースにも色々種類があるんですけど、これはプレシジョンベースというタイプのベースに付いているものを用いていて、普段から僕が使っているものと一緒です。アンプに繋げばマイクがオンになって実際に音が出せるので、せっかくだったら音が出るようにしたいという欲が出て、アンプに繋げたくなっています。
これからの作業として、頭部から腹部にかけて弦を張るんですけど、通常は楽器のお尻の部分にあるポールエンドを弦の両端に付けて固定してるんですね。ポップな4色の部分が頭部にくるのもいいなと思っています。ブリッジはお腹につけることに決定したから、それに伴って弦を通すための穴の位置もほぼ決定。ここまでで大まかな見た目は決まるので、今はそれ以外の装飾を考えています。ゴテゴテしすぎるとスケルトンの良さがなくなるので、バランスを見て足し引きできれば。
制作で一番の難関は、ピックアップを埋め込むための穴を開ける作業。ぴったりの大きさにしないといけないのだけど、腹部の傾斜があるので平面での作業と違ってとても難しい。日頃お世話になってる方に手作業でやってもらって完璧な埋め込みができました。
ポイントは、楽器に精通しているからこそのパーツの距離感です。ただ機能すればいいということではなく、楽器ではないけれど楽器をモチーフにした作品だからなるべくリアリティがあった方がいいという意識が知らず知らず働いて配置にこだわっていました。
弦間も短すぎるのは違うなとか、プラグもSというストレートのタイプとL字になってるものと2種類ある中で Lの方が映えるとか、刺さってる具合が見えた方がいいという感じで作っていて。楽器ではないにしろ、楽器のバランスが崩れてないから、楽器好きの人がもし展示を観に来た時にグッときたらいいですね。
ミュージシャンとしての参加という意義があるものができたと思います」
photography Shuya Nakano
text Ryoko Kuwahara
「BE@RBRICK WORLD WIDE TOUR 3」
主催: 株式会社メディコム・トイ
期間: 2021年12月4日(土)~2021年12月9日(木) ※会期中無休
開場時間: 11:00~21:00 (12月5日(日) は20:00まで) ※新型コロナウイルス感染拡大の状況により、営業時間帯等が変更となる場合がございます。
詳細は、事前に表参道ヒルズHP等をご確認ください。
https://www.omotesandohills.com/
会場: スペース オー[表参道ヒルズ 本館地下3F] 東京都渋谷区神宮前4-12-10
入場料: 200円(税込)
お問合せ先:[展示会・販売商品・入場制限について]
メディコム・トイ ユーザーサポート (平日11:00~18:00) TEL: 03-3460-7555
[会場について] ※会期中のみ 表参道ヒルズイベント会場連絡先 TEL: 03-3497-0360
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