介護福祉士養成校への日本人入学者数8年ぶりに増加!いまだ残る課題、高離職率の解決急務

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介護福祉士養成校への日本人入学者数8年ぶりに増加!いまだ残る課題、高離職率の解決急務

介護福祉士になりたい日本人が増えた理由

介護福祉士の養成校の入学者数が増加

日本介護福祉士養成施設協会の調査によると、2021年度の介護福祉士養成施設への入学者数は7,183人で、前年度より135人の増加がみられました。過去3年連続での増加となりましたが、今年度は、2013年度以来、8年ぶりに日本人の入学者数が増えたことが大きな特徴です。


出典:『令和3年度介護福祉士養成施設の入学定員充足度状況等に関する調査』(日本介護福祉士養成施設協会)を基に作成 2021年12月03日更新

これまで国の政策によって外国労働者の受け入れが積極的に進められていたこともあり、外国人留学生は年々増加する一方で、日本人入学者は減少傾向にありました。

しかし今年度は、日本人入学者数が前年よりも341人多かったことだけでなく、入学定員に対する実際の入学者数の割合を示す定員充足率も55.1%となっており、前年度より3.5ポイント上昇していることが示されています。人員不足が叫ばれる介護業界にあって、明るいニュースとなりました。

介護職員の処遇改善策の実施などが影響か

日本人入学者数が増加した理由に一つに、介護職員の待遇改善が考えられます。国は介護職の人材確保を目的に、2012年度から「介護職員処遇改善加算」を導入しました。その後、同加算は数度の改定によって改善が図られ、その効果が徐々に出始めているようです。

厚生労働省の『令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果』によると、平成30年度の給与水準からさらに「給与などを引き上げた」と回答した割合は、全体の66.1%に達しています。「1年以内に引き上げる予定」と回答した17.3%と合わせると、その割合は8割を超えます。

待遇改善に官民一体となって取り組んでいることが、追い風となったと推測できます。 しかし、その動きが活発になっていながらも、現状の給与水準が全産業の平均に達していないことが指摘されています。

いまだに厳しさが残る介護福祉士の待遇と職場環境

介護福祉士の給与は全産業平均より10万円も低い

日本介護福祉士会が2019年に公表した『介護福祉士の就労実態と専門性の意識に関する調査』によると、介護福祉士の1ヵ月の給与は25万円未満が71.1%を占めています。


出典:『介護福祉士の就労実態と専門性の意識に関する調査』(日本介護福祉士会)を基に作成 2021年12月03日更新

この数値を全産業と比較すると10万円以上低くなっており、処遇改善が進んだ今も、ほかの産業と比べると給与水準が低いことがわかります。

給与面と同様に、環境の改善も求められる介護現場

介護職だけに言えることではありませんが、よりよい職場環境を用意することもまた急務であると考えられます。日本介護福祉士会の同調査によると、転職を経験した介護福祉士が転職理由に挙げたのは「職場の人間関係」が34.9%で最多。次いで「職場の運営方針・考え方などの違い」(33.3%)、「給料が低い」(29.8%)と続いています。

職場環境の重要性を裏付けるデータもあります。社会福祉振興・試験センターは、介護福祉士の資格を持ちながら、現在介護などの分野で勤めていない人へのアンケート調査を実施。介護分野などの職場を辞めた最も大きな理由として「心身の健康状態の不調」(19.3%)に次いで、「職場の雰囲気や人間関係に問題があった」(12.5%)が挙げられています。

また、関西大学でも、介護職員が離職する原因をレポートにまとめて公表しています。それによると、介護職員が介護職を継続しようという意思決定には、賃金よりも、職場内の円滑なコミュニケーションがより大きな影響力を持つと結論付けられています。

介護職の魅力を高めて若い人材を確保する取り組み

国や自治体で進められる人材確保の取り組み

介護福祉士を増やすための取り組みとして、厚生労働省では「介護に関する入門的研修」に力を入れています。

これは、介護に関心を持つ介護未経験者に対して、介護の業務に携わるうえでの不安を払拭するため、あらかじめ基本的な知識を身に着けるための研修です。研修期間は1日で終わる簡単なものから、6日程度を要する研修などさまざまです。入門的研修を受けていると、介護福祉士になるための各種研修の課程を一部免除できるというメリットもあります。

また、各自治体では、介護職への魅力を高めるため、小中高生に対する啓発活動も行っています。例えば、千葉県では、県内の介護事業所に勤める20~40代の若手職員を中心に、「介護の未来案内人」というチームを結成。県内の高校や日本語学校に直接出向いて、「なぜ介護職を選んだのか、そのやりがいとは何か」などを説いたり、SNSを用いて実際の職場の雰囲気や職員の日常生活を発信したりと、「介護のイメージアップ」のために精力的に活動しています。

介護職の賃上げに注目が集まる今こそ職場環境の整備を!

岸田新政権では、介護職の賃上げが目玉政策のひとつとなっており、介護職などの収入を2021年2月から月額3%程度(9000円)引き上げることが閣議決定されました。前回でも詳述しましたが、さまざまな議論はあるものの、これから介護職を目指す人にとって朗報であることに間違いはありません。

学生などが目指したい職業として介護職が注目されるためには、より安定した職であることを強調することも大切ではないでしょうか。介護労働安定センターの『介護労働実態調査』で、介護職員が職場に感じている満足度を尋ねたところ、「雇用の安定性」を挙げた割合は40.8%と3番目に多いことがわかっています。


出典:『令和2年度介護労働実態調査』(介護労働安定センター)を基に作成 2021年12月03日更新

高齢化が進むことによって、介護サービスの需要は高まり、介護業界はますます人手が必要になります。また、決してなくなることのない業種業界であるため、介護福祉士などの有資格者は、より貴重な人材として重宝されるでしょう。

今年度の入学者数が増えた要因も、コロナ禍で高まった職に対する不安から、学生世代が安定した職業として介護業界を選んだ可能性も否定できません。

こうした若い世代の志望者が、実際に就職して人間関係に悩んで離職することのないよう、国や自治体から職場環境の改善を働きかけていくことが大切です。賃金アップなどで注目を浴びる今だからこそ、明らかになっている課題を解決するべきではないでしょうか。


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