Craft Curiosity Issue : 奥平正芳「自分のセンスを信じて作り続けることで、他人が個性を決めてくれる」


yoshiokubo 2022 S/S Collection Photography Saki Omi


フィジカルな距離を求められる今、オンラインに没入する時間が増加傾向にある。情報収集や人との繋がりはもちろん大切だが、同時に自身を落ち着いたオフラインの環境に置くこともまた重要だ。自分が求めるものや喜びを感じるものを、己の手を動かして創り上げる時間は、ストレスフルな時代を生き抜くための術でもある。NeoLではハンドメイドのアートで人々を魅了する作家の作品を紹介するとともに、ものづくりの時間へ誘う。
特集第3弾は、ヘア&メイクアップ・アーティストして、またヘッドピース・アーティストとして活躍する奥平正芳が登場。“顔”というデリケートな素材をどのように見せるかを追求する中で生み出した芸術作品のようなヘッドピースを紹介すると共に、創作への姿勢を語ってもらった。



ーーヘッドピースの制作を始めたきっかけを教えてください。

 
奥平「ヘアメイクに憧れた理由もヘッドピースが印象的な作品をいくつか見て純粋にカッコいいと思ったからです」


ーーワイヤーをはじめ、ガジェットなど多様な素材を使用されていますが、素材へのこだわりは?


奥平「とくに何か決まったこだわりはありませんが、その時の自分がピンとくる物を使っています。あとは自分なりに使いやすそうかどうかで決めています」


ーーヘアやヘッド、顔それぞれの魅力をどのように捉えられていますか。


奥平「今までもよく考えたりしますが、よくわかりません。ただ今思うのは、顔が一番重要なんじゃないかなと思います。結局ヘアも顔がどう見えるかを意識してつくりますし、ヘッドピースもそう。
顔はすごくデリケートだと思います。大胆な表現もできるし、繊細な表現もできる。印象的なヘアも顔の作り方次第。逆もそうですが」



yoshiokubo 2022 S/S Collection Photography Saki Omi


ーーヘッドピースを製作するための基礎知識/技術はどのようにして習得されましたか。


奥平「とくに習ったことはないのでいつも感覚で作っています。ただヘアメイクの知識と経験があるのでそれを活かしながらつくっています」


ーー制作のプロセスで一番難しい箇所は?
 

奥平「どのような状況でヘッドピースを付けるのかでも変わってきますが、強度が必要な時や、頭のサイズにきちっと合わせなくてはいけない時が一番難しいです」


ーー頭部を囲むという特性のヘッドピースならではの曲線のバランスや、人物との距離感のバランスが秀逸ですが、ご自身の中でルールや黄金比率のようなものはありますか。


奥平「すべて感覚でやっているので言葉にするのは難しいですが、常にバランスを見ながら作り上げています」



yoshiokubo 2022 S/S Collection Photography Saki Omi


ーーウィッグも制作されていますが、ヘッドピースの要素を取り入れた作品も多くあります。ヘッドピースとウィッグのそれぞれのこだわりの違いや面白い点は?


奥平「ヘッドピースもウィッグも同じ感覚で捉えていますが、ウィッグはヘッドピース的な、素材としての使い方もできるし、自然に被せる時は、いかに不自然さをなくしていくかがポイントになります。逆にヘッドピースは違和感が面白かったりすると思います」


ーーヘッドピース制作をはじめて、ご自身のヘア、メイクアップというお仕事でもイマジネーションの広がりは感じますか。


奥平「感じます。ヘアとメイクだけでは表現しきれないものまでもイメージすることができるので」





ー最初に作った作品はどのようなものでしたか。また今振り返って自身にどのようなアドバイスをしたいですか。


奥平「何が最初だったかははっきり覚えていませんが、今よりは確実にクオリティの低いものだったと思います。ただアイディアは面白いと思うのでもっともっと追求したらよかったのかなと思います」


ーー作品の中にご自身の“核/個性”をどのような形で表現されていますか。


奥平「自分のアイディア、バランス、色、など自分がいいと思うものを作ること」


ーーその“核/個性”を作り上げたプロセスを教えてください。


奥平「自分で自分の個性を決めるというよりは、他人から見た印象だと思うので、自分のセンスを信じて作り続けることで、奥平っぽいみたいな感じに他人が個性を決めてくれるんだと思います」





ーー素材や道具の購入にオススメのメーカー/オンラインショップがあれば教えていただけますでしょうか。


奥平「東急ハンズ、amazon、楽天」


ーー新型コロナウィルス感染症(COVID-19)でクリエイティヴ面にどのような影響が出ていますか。


奥平「打ち合わせがリモートになったりなど家にいる時間が増えたので作業できる時間も増えました」


ーーこの側面で新たに気づいたこと、やってみたいアイデアがあれば教えてください。


奥平「いつか個展をやってみたいと思います」


ーー事態が好転し、COVID-19が収束したらしたら何をしたいですか。


奥平「海外旅行。マスクを外して生活したい」





奥平正芳

hair&makeup artist
headpiece artist

http://masayoshiokudaira.com/
https://www.instagram.com/masayoshiokudaira/
https://www.instagram.com/masayoshiokudairahead/


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NeoL/ネオエル

都市で暮らす女性のためのカルチャーWebマガジン。最新ファッションや映画、音楽、 占いなど、創作を刺激する情報を発信。アーティスト連載も多数。

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