俳優として申し分のない藤原竜也がクズを演じるのを見たかった『鳩の撃退法』タカハタ秀太監督インタビュー

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俳優として申し分のない藤原竜也がクズを演じるのを見たかった『鳩の撃退法』タカハタ秀太監督インタビュー

藤原竜也主演『鳩の撃退法』が8月27日(金)に公開されます。実写化は不可能と言われた原作小説を虚構と現実、過去と現在を交錯させ、目まぐるしく転換する“観客参加型謎解きエンター<転>メント”に生まれ変わらせたタカハタ秀太監督に、脚本化の苦労からキャスティング、ラストのこだわりまでお話をうかがいました。

<作品概要>
原作は『月の満ち欠け』で第157回直木賞を受賞した作家・佐藤正午の同名小説。累計発行部数は20万部を突破し、第6回山田風太郎賞を受賞している。
主演は映画『22年目の告白-私が殺人犯です-』(17)、『Diner ダイナー』(19)、『カイジ ファイナルゲーム』(20)など数々の話題作に出演してきた藤原竜也。謎めいた元直木賞作家・津田伸一を演じる。
津田に翻弄される担当編集者・鳥飼なほみを土屋太鳳 、突然家族と共に姿を消したバーのマスター・幸地秀吉を風間俊介、津田の行きつけのコーヒーショップ店員・沼本(ぬもと)を西野七瀬、彼らが暮らす地方都市の裏社会を仕切る男・倉田健次郎を豊川悦司が演じている。
監督はドラマ「赤めだか」(15)でギャラクシー賞ほかドラマ界の賞を総なめするなど、映画だけではなくテレビドラマ・バラエティ、ミュージックビデオとジャンルを問わず、マルチに活躍するタカハタ秀太。

<あらすじ>
かつては直木賞も受賞した天才作家の津田伸一(藤原竜也)。
津田はとあるバーで担当編集者の鳥飼なほみ(土屋太鳳)に、執筆途中の新作小説を読ませていた。
富山の小さな街で経験した“ある出来事”を元に書かれた津田の新作に心を躍らせる鳥飼だったが、話を聞けば聞くほど、どうにも小説の中だけの話とは思えない。
神隠しにあったとされる家族、津田の元に舞い込んだ大量のニセ札、囲いを出た鳩の行方、津田の命を狙う裏社会のドン、そして多くの人の 運命を狂わせた あの雪の一夜の邂逅…。
彼の話は嘘?本当? 鳥飼は津田の話を頼りに小説が本当にフィクションなのか【検証】を始めるが、そこには【驚愕の真実】が待ち受けていた―。

膨大な分量の原作をもとに脚本づくりは50稿に達した

――監督を引き受けたきっかけからお聞かせください。
プロデューサーから原作小説を勧められて読みました。ずっと読んでいたい、読み終えたくないくらい面白かったですね。

――原作はかなりのボリュームがありますね。登場人物が多く、エピソードを整理して、映画としてわかりやすく見せるのは大変だったのではありませんか。
原作は膨大ですよね。原作のどこを取れば2時間のエンターテインメント作品になるか、どういう入口にすると全体像が見えるのか、どういうフィニッシュにすればいいのか。プロデューサーと何度も話し合いました。脚本は50稿ほど書き直しています。

俳優として申し分のない藤原竜也がクズを演じるのを見たかった『鳩の撃退法』タカハタ秀太監督インタビュー

©2021「鳩の撃退法」製作委員会 ©佐藤正午/小学館

――脚本は監督と藤井清美さんで書かれていますが、どのような役割分担があったのでしょうか。
原作は面白いけれど難解だったので、まずは僕がそのまま脚本のスタイルに書き起こしました。配給が松竹さんに決まったのはその頃です。メジャー作品としてエンタメ要素が必要だということになり、さらに何度も書き直し、原作にないカーチェイスといった派手な要素を持ってきたりもしました。しかし、それでは原作から離れ過ぎてしまう。原作ファンには面白くないのではないかといった話になり、もう一回原作に近いものに戻すことにしました。
いろいろ考えてみるのだけれど、もう1つ何かが足りないと感じていたときに、プロデューサーから藤井さんを紹介されました。藤井さんが入ってくれたことで、ちょっとファンタジーも入った今の形に落ち着きました。

これまでの作品で見たことがない土屋太鳳を見せたい

――主人公の小説家・津田伸一を藤原竜也さんが演じています。キャスティングの決め手をお聞かせください。
主人公の津田はクズなんです。俳優として申し分のない藤原竜也さんがそんなクズを演じたらどうなるのか。それを見てみたくてお願いしました。

俳優として申し分のない藤原竜也がクズを演じるのを見たかった『鳩の撃退法』タカハタ秀太監督インタビュー

©2021「鳩の撃退法」製作委員会 ©佐藤正午/小学館

――藤原さんにはどのような演出をされましたか。
他の俳優さんに対してもそうですが、こちらから何か言うことはほとんどありませんでした。ただ、竜也さんから「監督がおっしゃったようにやります」と言われたので、「タッチとして、ちょっと早口な津田伸一はどうですか」と提案したのです。竜也さんも気に入ってくれて、プランを練って現場に臨んでくれました。

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©2021「鳩の撃退法」製作委員会 ©佐藤正午/小学館

――担当編集者・鳥飼なほみを演じた土屋太鳳さんはいかがですか。
竜也さんに限らず、土屋太鳳さんもこれまでにたくさんの作品に出演されています。ただ、よくある元気はつらつな太鳳さんではなくて、これまで他の作品で見たことがない太鳳さんを少しでも出したい。何か違う要素を入れられないかと考えて、終盤の津田との掛け合いにため口を入れてみたり、セリフの語尾を直したりしました。

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©2021「鳩の撃退法」製作委員会 ©佐藤正午/小学館

――裏社会を仕切る倉田健次郎を演じた豊川悦司さんですが、大人のカッコよさや色気がたまりませんでした。
僕自身がかねてからご一緒したいと思っていた俳優さんで、倉田健次郎にはどんぴしゃではないかと思って、僕が直接、豊川さんの事務所に電話してお願いしました。
実際に会ってみると、もちろんオーラはあるのですが、緊張を感じさせるものではなく、ウェルカムなオーラで、いい先輩といった感じでしたね。
衣装合わせが終わって豊川さんがお帰りになるときに、「何か見ておいた方がいい作品はありますか?」と聞かれたのです。しかし、豊川さんはそのままがいいと思ったので、具体的な作品名は出しませんでした。それでも豊川さんは思った通りの静かで悪そうな倉田を作り上げてくださいました。
豊川さんは撮影初日からすでに倉田そのもので、モニターを見ていて、カットを掛けるのを忘れて、「カッコいいなあ」とつぶやいていました。大人のカッコよさや色気にしびれますよね。お願いしてよかったと思っています。

意外なキャスティングとして風間俊介を起用した理由

――監督のお気持ち、わかります。そのまま見ていたくなりますよね。ところで、失踪したバーのマスター・幸地秀吉との関係が原作よりも親密な印象を受けました。
風間さんが秀吉をやってくれることに決まってから脚本を直しました。原作では「秀坊」「健兄」と呼び合うことはありませんが、豊川さんと風間さんのビジュアルを見て、そういう呼び方をするのがいいかなと思ったのです。

俳優として申し分のない藤原竜也がクズを演じるのを見たかった『鳩の撃退法』タカハタ秀太監督インタビュー

©2021「鳩の撃退法」製作委員会 ©佐藤正午/小学館

――作品では描かれていない、幼い頃の関係を彷彿させますね。
孤児院という言葉は出していませんが、そういうことなんだろうなと思ってもらえると考えました。

俳優として申し分のない藤原竜也がクズを演じるのを見たかった『鳩の撃退法』タカハタ秀太監督インタビュー

©2021「鳩の撃退法」製作委員会 ©佐藤正午/小学館

――冒頭のコーヒーショップのシーンで、風間俊介さんがこれまでのイメージとは違っていて、「こういう役もやるんだ」と驚きました。幸地秀吉を風間俊介さんにお願いしたのはなぜですか。
原作を読んで秀吉に風間さんを思い浮かべる人はあまりいないでしょう。でも、ベビーフェイスの風間さんが「出会ったときに妻は妊娠していた」とか、「それは僕の子供じゃない」とか発することで、秀吉に原作とは違った変化が現れる気がしたのです。それで風間さんに秀吉をやってほしいとお願いしました。

――津田の行きつけのコーヒーショップ店員・沼本(ぬもと)は津田に対して強気な態度ばかり取ってしまいますが、実は好意を持っている。そんな沼本を西野七瀬さんがチャーミングに演じていましたね。
強気なようで、ちょっと健気な感じも見えましたよね。西野さんって普段はおとなしくて控え目な方なんですよ。でもカフェの沼本はどこか津田に対して強気で、上から目線のところがある。そこを出すためにイマドキではない感じにパーマをかけたヘアスタイルにして、あえて方言を使ってもらいました。津田の顔の傷を見るときにそんなに近づかなくてもいいのに、すごく近寄って見るなど、細かなところで具体的に演出しています。

俳優として申し分のない藤原竜也がクズを演じるのを見たかった『鳩の撃退法』タカハタ秀太監督インタビュー

©2021「鳩の撃退法」製作委員会 ©佐藤正午/小学館

インタビューの続きは公開後に!

 

津田に翻弄される担当編集者・鳥飼なほみを演じた土屋太鳳さんにもインタビューしています。
作品への思い、共演した藤原竜也さんのことなどを語ってくださいました。
記事はこちらからご覧いただけます。

熱を帯びた藤原竜也さんとのラリーを続けるような掛け合いで 『鳩の撃退法』土屋太鳳インタビュー | 映画board

(取材・文:ほりきみき)

<プロフィール>

俳優として申し分のない藤原竜也がクズを演じるのを見たかった『鳩の撃退法』タカハタ秀太監督インタビュー

©2021「鳩の撃退法」製作委員会 ©佐藤正午/小学館

監督・脚本:タカハタ秀太

1962年生まれ、富山県出身。演出家・映画監督。「ASAYAN」(TX)「SMAP×SMAP特別編」(KTV,CX)など様々なバラエティ番組・ドラマを演出。映画デビュー作『ホテルビーナス』(04)でモスクワ国際映画祭コンペティション・パースペクティブ最優秀賞を受賞。ドラマ 「赤めだか」(15/TBS)で、第42回放送文化基金賞・テレビドラマ部門最優秀賞、東京ドラマアウォード 2016・作品賞(単発ドラマ部門)グランプリを受賞し、高い評価を受ける。また、モーニング娘。「LOVEマシーン」、SMAP「弾丸ファイター」、LOVE PSYCHEDELICO「Everybody needs somebody」をはじめ多くのミュージックビデオを手掛けるなど、幅広いジャンルで活躍。

『鳩の撃退法』

俳優として申し分のない藤原竜也がクズを演じるのを見たかった『鳩の撃退法』タカハタ秀太監督インタビュー

©2021「鳩の撃退法」製作委員会 ©佐藤正午/小学館

監督:タカハタ秀太
脚本:藤井清美 タカハタ秀太
原作:佐藤正午「鳩の撃退法」(小学館刊)
出演:藤原竜也、土屋太鳳/風間俊介、西野七瀬、佐津川愛美、桜井ユキ、柿澤勇人、駿河太郎、浜野謙太、岩松了/村上淳、坂井真紀、濱田岳、ミッキー・カーチス/リリー・フランキー、       豊川悦司
音楽:堀込高樹(KIRINJI)
主題歌:「爆ぜる心臓」KIRINJI feat. Awich (ユニバーサル ミュージック)
©2021「鳩の撃退法」製作委員会 ©佐藤正午/小学館
2021年8月27日(金)全国ロードショー

映画『鳩の撃退法』公式サイト | 2021年8月27日(金)全国公開


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