【7月16日から】「ウエストエクスプレス銀河」紀南コースで夜行のときめきに満ちた旅を

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【7月16日から】「ウエストエクスプレス銀河」紀南コースで夜行のときめきに満ちた旅を
串本駅に停車中の「WEST EXPRESS 銀河」

本日2021年7月16日より、JR西日本「WEST EXPRESS 銀河」紀南コースの運行が始まります。

2020年秋のデビュー以来、京阪神〜山陰、山陽と二つのルートを辿ってきた「WEST EXPRESS 銀河」――その第三の路が明らかになったのは2020年12月のこと。JR西日本和歌山支社と各市町村の誘致活動が実を結び、2021年7月16日~12月22日にかけて、京都~新宮間を結ぶ「紀南銀河」が運行されることになりました。

行程は下りが 21時15分 京都発 翌9時37分 新宮着 の夜行、上りが 12時 新宮発 22時24分 京都着の昼行。途中停車駅では列車を下りて観光したり、ちょっとした食事を楽しめるよう余裕のあるダイヤが組まれています。観光列車ではおなじみの地元の方々によるお出迎え、景観の良い場所での運転停車などもあり、長時間の列車旅を楽しみたい方には最適の選択肢たり得る長距離列車と言えます。

「WEST EXPRESS 銀河」紀南コース運転日カレンダー(画像:JR西日本)

今回は7月3日から4日にかけて行われた報道陣向けの試乗会時の情報を元に、京都から新宮へ向かう「紀南への旅」(下り夜行)の見所を時系列に沿ってご紹介いたします。乗車前の予習に、あるいは10月以降出発分の「WEST EXPRESS 銀河」紀南コース申込の参考に、ご覧いただけますと幸いです。

※「WEST EXPRESS 銀河」紀南コース10月~12月出発の応募受付は7月16日(金)16時開始予定です。詳細はJRおでかけネット内「『WEST EXPRESS 銀河』特設サイト」からリンクする日本旅行の専用ホームページをご確認ください。

21時15分、京都発

「WEST EXPRESS 銀河」新宮への旅は京都駅31番線から始まります。出発時刻のおよそ20分ほど前に、夏の夜に溶け込むような瑠璃紺の車体が京都駅ホームへやってきました。

今回はマスコミ向けということで、117系を瑠璃紺に蘇らせたデザイナー・川西康之さんも登場

「WEST EXPRESS 銀河」は117系電車を改造したJR西日本の長距離列車。117系は今年3月に定期運行から退いた185系(特急「踊り子」など)の兄貴分とも言える形式で、JR西日本の顔「新快速」などで運用されていました。車体そのものは40年物ですが、現代の技術で手を加えたことで内外装を一新、コンプレッサーに手を加えるなどして低騒音化も施され、素敵な列車として生まれ変わりました。

夜の「WEST EXPRESS 銀河」普通座席の様子
夜の「WEST EXPRESS 銀河」フリースペース「明星」
夜の「WEST EXPRESS 銀河」2号車 普通車指定席 「クシェット」(女性席)

車内に立ち入るのはデビュー前の報道公開時(2020年1月)以来のことでしたが、当時とは内装がいくらか異なっていました。すでに乗車経験のある方はご存知かと思いますが、まず目につくのは新型コロナウイルス感染症への対策です。机上のパーテーションや椅子の表面などに「WEST EXPRESS 銀河」らしいデザインが施されています。また車内各所に消毒用アルコールも設置され、この状況下における安全な旅への意識を感じます。

ソーシャルディスタンスの確保を促す「距離」の図柄も「WEST EXPRESS 銀河」全体のデザインと調和する
4号車 フリースペース「遊星」のパーティション(撮影は朝方)

昼と夜とではまるで顔が違う、というのも「WEST EXPRESS 銀河」の特徴だと感じました。新宮行きの夜行では和歌山を発つ午前1時〜6時ごろまで車内の照明を一部落とすのですが、暗い座席から眺めるフリースペースの間接照明、117系の走行音、流れ行く車窓の夜が「夜行の旅」を感じさせてくれるのです。

アナウンスも粋なもので、落ち着いた声音で大阪環状線60周年などの時事ネタも織り交ぜながら沿線の名所を案内していきます。一時停車を終えて「お待たせいたしました、旅を再開いたします」と案内されると、顔には出なくとも夜行の旅に対するトキめきを感じます。

23時42分、和歌山着 夜食にラーメンを

和歌山駅に到着した「WEST EXPRESS 銀河」

京都から新大阪、天王寺、日根野を経て23時42分頃に和歌山へ到着します。駅の発車標には「WEST EXPRESS 銀河」と旅人を歓迎するメッセージが流れていました。ひょっとしたら実際の運行時には文面が変わっているかもしれませんが、試乗会時に表示された内容は次のようなものでした。

【歓迎 和み・和らぐ・和歌山へようこそ。多くの温泉やグルメ、世界遺産の熊野古道など、和歌山にはたくさんの魅力が詰まっています。おもてなし第一弾は、「和歌山ラーメン」です(ラーメンの記号4つ)「傾いているラーメン屋」として、メディアに多く取り上げられ、地元に愛される「まる豊」。これからの長旅に備え、細麺に豚骨醤油スープがよく絡んだマイルドな味わいの「まる豊」の和歌山ラーメンをごゆっくりご堪能ください。West express 銀河は、魅力溢れる紀南エリアへと皆様をご案内いたします。朝日が差し込む頃、本州最南端の串本では、カツオを使ったタタキ丼が楽しめる「漁師の朝ごはん」をご用意しております。「はたやま」や「太公望列車」を彷彿とさせる和歌山での夜行列車の旅をどうぞお楽しみください。】

この絵文字がユニーク

長いよ!と思わず呟いてしまうほどの気合の入った歓迎メッセージですが、和歌山での停車時間も負けず劣らず長い。出発時間は午前1時ですから、80分弱停車することになります。この時間を楽しめるよう用意されたおもてなしが、先の発車標にも出てきた「まる豊」のラーメン。

傾いたラーメン屋「まる豊」和歌山ラーメンの有名店です

「まる豊」はかつて地盤沈下により店全体が傾いたラーメン屋として知られていましたが、2017年に現在地へ移転してからは、あくまでデザインとして「傾き」を取り入れたお店として営業しています。

豚骨醤油の和歌山ラーメン

いただくのはシンプルな豚骨醤油ラーメンで、細麺といい具材のチョイスといい、どことなくデパートのレストランで食べる懐かしの味を思い出します。写真では若干分かりづらいですが、中が半熟の味玉じゃなくてゆで卵の輪切りだったりするのが「分かっている」チョイスですね。

夜行列車の旅で夜食にラーメンを提供するというのはあまりにも顧客のニーズを理解し過ぎているムーブであり、JR西日本もまた悪魔的な誘惑を用意したものだと感心します。確かに「夜食」のラーメンはお世辞にも身体に良いとは言えませんが、夜行列車の旅でそんな細かいことを気にするのは野暮というもの。美味しくいただきましょう。

ラーメンをご一緒させていただいたとあるライターさんは胃薬を持参していたそうで、消化器官に自信のない方は各自そうした対策を取るといいでしょう。なお、和歌山駅と「まる豊」の間にはセブンイレブンがあり、飲料その他不足したものは列車に戻る前に購入できます。

午前1時、和歌山発 消灯

デッキから撮影した消灯後の2号車 座席の様子

先に述べた通り、午前1時に和歌山駅を出発すると「WEST EXPRESS 銀河」の車内照明が落とされ就寝モードへ入ります。次に車外へ出られるのは6時4分 串本駅着のタイミングですから、就寝時間はおよそ5時間ほど。2号車(普通車指定席)などは上の写真のように足元の照明だけ灯るようになっていますが、デッキやフリースペースは夜間も明るいままです。

1号車 グリーン車指定席「ファーストシート」は向かい合う二つの座席を倒し、寝そべって夜を過ごせる仕組みです

記者はリクライニング座席で一夜を明かしましたが、ゆっくり走ることもあってか揺れも気になりませんでした。走行音に関しては、「WEST EXPRESS 銀河」登場前に「117系の爆音で眠れないのでは」「そもそも夜眠りたい人がWE銀河に乗るのか?」といった声も散見されたのですが、ご心配なく。不安なら耳栓でも持参すればいいかな、という程度です。前の座席との間隔(シートピッチ)も広いためリクライニングを倒す罪悪感もありません。夜行バスに慣れた人が眠れない要素は一つもないと言って差し支えないでしょう。

どちらかといえば「夜行列車の旅」「午前零時の夜食ラーメン」といった要素が重なって興奮で眠れない方が多いのでは、と思います。そんなときはフリースペースへ足を運んだり、じっと夜の車窓を眺めているのがいいでしょう。記者はしばらくの間、カーテンと窓の間に身を潜らせていました。和歌山駅の発車標でも触れられていた「はたやま」や「太公望列車」運行時も、そんな風に夜を過ごした方はいたのでしょうか。

午前6時4分 串本駅着 朝食と絶景でおもてなし

クシェットの窓からのぞく「本州最南端の駅」という看板

午前6時過4分、「WEST EXPRESS 銀河」は本州最南端の串本駅へ到着しました。出発は8時ということで停車時間は2時間弱。串本駅では二つのおもてなしが用意されていました。大小の奇岩が一直線に並ぶ「橋杭岩」の鑑賞と、レストラン空海で提供される『漁師の朝ごはん』です。

看板には「吉野熊野国立公園 ここは 串本 橋杭岩」と記されている
南紀熊野ジオパークガイドさんがご案内

国の名勝天然記念物にも指定されている「橋杭岩」は、梅雨時ということもあり神秘的な雰囲気を醸し出していました。日の出の素晴らしさでも有名で、夏の6時台はすでに明るくなっていますが、11月頃になると串本駅到着時と日の出時刻が重なります。秋から冬にかけての「WEST EXPRESS 銀河」の旅で期待したい観光スポットです。

朝食はレストラン空海の「漁師の朝ごはん」

朝食は地元レストランでいただく「漁師の朝ごはん」――お品書きには「カツオのたたき丼」とありましたが、実際にはカツオのたたきとご飯は分けて提供されていました。写真左上の竹の小鉢に入っているのは「トコブシ」という地元の貝で、同じく地元の食材を使った「亀の手味噌汁」と一緒にいただきます。

みそ汁の具「亀の手」

見た目は特撮映画に出てくる怪獣の足のようですが、これがみそ汁の具「亀の手」です。分類としては甲殻類で、和歌山だけでなく高知や愛媛など四国でも食されているそう。提供された「亀の手」には切れ目が入っており、二つに割って中身をいただくようになっています。お味はなかなか。良い出汁が取れるそうで、みそ汁の具にぴったりです。

橋杭岩と漁師の朝ごはんを堪能したら、再び串本駅へ。報道公開時の発車標には「試運転」と表示されていました。

実際の運行時には「銀河」の名が刻まれるのだろうか

9時37分、新宮着で夜行の旅はおしまい

「WEST EXPRESS 銀河」の窓から見える紀伊半島の海も別格 できれば晴れた日に見たい

8時に串本を発車すると、一時間ほどで紀伊勝浦へ。停車時間は5分ほどですが、紀伊勝浦では「勝浦の鮪」缶詰3種、熊野七宝きくらげの販売等が行われます。これは中行・夜行どちらでも実施されるもので、女性専用席の方には熊野の香り漂うアロマスプレーのプレゼントも。

南紀のリゾートといえば「白浜」が有名ですが、和歌山の海はどれも綺麗なもので、朝日も上ったこの時間帯は座席やデッキ、フリースペースで沿線の風景を眺めるのがおすすめです。夜行の紀南行きにおいて、「WEST EXPRESS 銀河」の大きな窓が生きる絶好のタイミングと言えるでしょう。

そうして9時37分、「WEST EXPRESS 銀河」は新宮へ到着しました。南紀コース下り夜行の終着駅にして、JR西日本とJR東海の境界駅です。

駅でのお出迎えの様子も見事なもので、駅構内では地酒や特産品の物販が盛んに行われていました。地域の活性化を目指す地元大学生らの姿もあり、また別室では比丘尼姿の語り部による「熊野曼荼羅絵解き」の実演も行われました。

新宮に着いて感じたのは地元の熱意の高さ。JR西日本和歌山支社によれば「山陰コースが動き始めた頃から地元の方の関心が高く、何とか和歌山に呼べないかということで少しずつ話をいただいていた」とのことで、この半年間のチャンスを確実に地域振興につなげていこうという意志を感じます。

新宮駅ロータリーにも「WEST EXPRESS 銀河」のロゴが

「WEST EXPRESS 銀河」は元より「移動そのものを楽しむ」のがコンセプトの列車です。他の県内観光地への導線については旅行者自身に委ねており、明確には案内していません。和歌山には他にも熊野古道や那智の滝など有名な観光スポットがあり、新宮から更に足を伸ばすのも自由です。

新宮から引き返してアドベンチャーワールドへ行くも良し、鉄道ファンなら紀州鉄道に乗りに行ったり、新宮から「ワイドビュー南紀」に乗車するもよし。楽しみ方は無限大です。今や貴重な夜行列車の旅、自身の手で最高の旅を作りましょう。

新宮駅に停車する「パンダくろしお」 粘れば銀河との並びも撮れるかも?

文/写真:一橋正浩


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