自発的に操作法をおぼえるアルゴリズム誕生! 制御AI「Smart MPC」とは
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さまざまなビジネスの場面で「AI」や「機械学習」といった言葉を聞くようになった昨今。AIシステム開発のProxima Technologyは、従来手法の課題を劇的に克服することを可能にする、非常に少ないデータ(体験)から操作法を学習できる制御AI「Smart MPC」を開発しました。
従来のPID制御には欠点が
制御AIである「Smart MPC」開発の背景は、現在多くのプラントや機械で活用される「PID制御」には問題が多かったことでした。Proxima Technologyの担当者は「PIDは比較的直観的で現場の作業者にとっても調整が可能である一方で、いくつかの欠点を持ちます」と述べています。
では、具体的に「PID制御」の欠点とはどのようなものなのでしょうか。同社によると「むだ時間に弱くオーバーシュートやハンチングが起きやすい」「SISO(一入力一出力)系しか扱えない」「拘束条件が扱えない」「最適化できない」などが挙げられます。
これらは制御システムの開発を著しく難しており、場合によっては致命的な問題とも考えられます。特に、PIDのパラメータの調整だけでも、多くの時間を浪費してしまうといった状況が各所で見られるそう。
「むだ時間」に強い新手法を開発
これらの課題を解決するために開発されたのが、「Smart MPC」。MPCとは、Model Predictive Controlの略称で、一般的に「モデル予測制御」と呼ばれる制御法と機械学習を組み合わせることにより、上記で挙げた従来方法の欠点を一気に解決。
具体的な「Smart MPC」の特徴としては、「むだ時間に強い」ことが挙げられます。つまり、未来の状態(予測)に基づいた適切なフィードバック制御が可能。さらに「学習が早く、安定している」ことも大きな利点。たとえ少数データであったとしても学習が可能であり、学習結果も安定しています。 同社によると「学習も簡単で、パラメータの調整の手間も非常に少ない」そうです。
また見逃せない点として「計算量が小さい」ことも挙げられます。驚くことに、制御対象によってはRaspberry PiのCPUでも動くほど軽量だそうです。自ら成長し、どんどん賢くなる独自の制御AI「Smart MPC」でロボットアームの制御がこれから一気に加速するのでしょうか。
(文・Takeuchi)
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