新型クロスオーバーEV「日産 アリア」をバーチャル体験 デジタルはリアルを超えられるか!?

昨年7月に世界に向けて発表された、新型クロスオーバーEV「日産 アリア」。未発売モデルにも関わらず、早くもその魅力を「体験」することができる。この場を提供しているのが、デジタル上の会員限定サイト「クラブアリア」だ。

「日産アリア」ってどんなクルマ?

「日産 アリア」はSUV型の100%電気自動車。「英知を宿るモンスター」のコンセプトのもと、日産が培ってきた電気自動車のノウハウと最新のコネクテッド技術を融合させたクロスオーバーEVだ。

▲「日産アリアlimited」のお披露目会。今冬の発売開始に向け、同日より予約受付がスタートした。

6月4日の「日産アリア limited」発表会で、星野朝子副社長は「日産 アリア」を「日産インテリジェントモビリティの真髄」と表現した。

▲「limited」専用ボディーカラーは2色。

実際、「プロパイロット2.0」や「プロパイロット・リモート・パーキング」など、最先端の運転支援技術を標準搭載した「limited」は、知れば知るほどワクワクするような「次世代感」満載の仕様となっている。

▲「limited」標準装備の「プロパイロット 2.0」は、高速道路本線での運転を支援。同一車線内においてはハンズオフドライブも可能。

▲「limited」標準装備の「プロパイロット・リモート・パーキング」。車外からキー操作で駐車スペースからの出し入れができる。

高精細3Dで満足度の高いバーチャル体験を!

「アリア」への期待を醸成しているのはクルマの性能ばかりではない。検討にはじまり、予約から納車、そして納車後もずっと「ワクワクを提供してくれそう」という気持ちにさせるのが、冒頭で述べた「日産 アリア」の専用メンバーズ会員「クラブアリア」だ。

「クラブアリア」の専用サイトが面白いのは、通常の会員サイトであるような「情報」だけではなく、デジタル上での「体験」を提供している点にある。なかでも注目したいのが「バーチャルアリア」だ。

高精細3D画像を使い、あらゆる角度からアリアの細部を確認することができる。ドアの開閉やライトの点灯はもちろん、イグニッションキーを押して立ち上がりの挙動を確かめたり、背景を変えることも可能だ。

▲バーチャルアリアで見るエクステリア。背景を変えて、昼夜の光量変化による見え方の違いも確認できる(出典:クラブアリア)。

▲バーチャルアリアで見るインテリア。各種機能もチェックできる(出典:クラブアリア)。

ボディカラーやグレードを選択して自分仕様の「バーチャルアリア」をつくったら、スマホを使ったARコンテンツを利用して目の前に出現させることも可能。これにより自宅の駐車場や周辺の街並みでの見え方が確認できる。また近日中にバーチャル試乗も楽しめるようになるという。

ここまでくると「リアルな体験」でできることを「デジタルな体験」が超える、というまさかの事態に。購買を検討するために必要不可欠な技術であるかは別として、新しい形の「体験」としては、遊び心が感じられて申し分ない。

人によっては販売員が隣にいる展示車の試乗体験よりも、じっくり時間をかけて「アリア」の世界にひたることができるだろう。

オンライン契約システムも完備。新車もネットで買う時代!?

もうひとつ特筆したいのが、オンライン上で決済まで完結できるということ。契約書のアップロードや、電子署名にも対応し、一度も店舗を訪れることなく新車を購入できるのだ。

「クラブアリア」のコンセプトは「時間や場所にとらわれない購入体験」だという。自分のペースで検討したい。販売店に行かずに体感したい。すべての契約プロセスをオンラインで完結したい。他業界がこうした声に応えてきたように、車業界もデジタル購買という時代の潮流に乗ったかたちだ。

一方で「クラブアリア」は、試乗体験会などリアルな場での各種イベントも開催する。オフラインとオンラインをまたがる、さまざまなコンテンツを提供するハブとなるのだ。

また今年3月には、ブランド体験型の5店舗を本格始動させた日産。ここに配置された「日産ブランドクルー」はセールスを行わず、先進技術の体験を提供。通常店舗では味わえない60分以上の長時間試乗ができるという。

▲先進技術体験の提供を行う「日産ブランドクルー」。セールスを行わないため「売らない店員」として話題を呼んだ。現在は「スカイライン」「日産リーフ」などの試乗が可能。

どんなに技術が発達しても、デジタル上でその走りを体感することは難しい。特にガソリン車からEVへの乗り換えともなれば、やはり実車を試したいというのが本音だ。店舗が淘汰されていくのではなく、オンラインとリアルとが両輪となって新しい時代を歩んでいく。「クラブアリア」や「日産ブランドクルー」はそのひとつの道筋なのかもしれない。

先日、政府はEV充電スタンドの数を2030年までに現在の約5倍にあたる15万基に増やすなど、新たな目標を設ける方針を固めた。

クルマや社会がめまぐるしく変化するなか、購買行動が変化するのも至極当然の話だ。電気自動車のパイオニアとして、これまでも充電インフラ拡充などEVの普及に向けて包括的に取り組んできた日産。EV発展の未来とともに、デジタルマーケティングのあり方にも注目していきたい。

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