テーマで歩く山の旅 #15 裏高尾の定番トレイルで低山縦走

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テーマで歩く山の旅 #15 裏高尾の定番トレイルで低山縦走

週末はどの山に行こうかな――。 高嶺の頂や秘境の道で非日常を味わう登山も好きですが、山里の歴史文化を探究するフィールドワーク的な山旅はもっと好きです。登山と“テーマ”を掛け合わせて、超個人的な視点と偏愛で楽しんだ山旅の思い出を、ちょっとずつ綴っていきます。

低い山をつなげて歩く楽しさ

裏高尾の定番トレイル

ビールを飲みながら地図を眺めている時間がとても好きで、山と山をどうつなげて歩こうか、山と街は結べそうか、山から海には行けそうか……と、そんなことばかり考えています。つまり山と山、山と街、山と海の位置関係や地形、距離感と高度差、そしてそれらをつなぐ新旧の道の有無を、地図の中に見出す作業が楽しくて。

これまでに数えきれないほどの低山や古道を歩いているし(これからも歩くけど)、寄り道した集落や、山とセットで楽しんだまち歩きまで含めると、地図はマーキングしたピンでびっしりと埋まってしまいます。それを全体的に俯瞰して眺めたり、ある特定の地域・山域にフォーカスして観察したり……。すると、ちょっとしたコース設計の法則性や、自分の歩き旅の傾向のようなものに気がつくわけです。

いつもの道を歩く“ルーティン”で、自分のOKを確かめていく

裏高尾の定番トレイル 低山縦走

ぼくの場合、日帰りで低山縦走をする時は10時間以内に行動を終えられる15~25kmくらいの距離でコース設計しています。ちょっと山歩きから離れている時のリハビリ登山を兼ねることもあるし、なんらかの目的に向けたトレーニングハイクにすることもあったり。道中の山小屋や下山後の温泉に寄り道することもあれば、ただただ黙々と歩くだけのこともありで。

そんな時のために、気が向いたら足を運ぶマイホームマウンテン、もっと言うと「いつもの道」をいくつか持っておくのが◎です。山の予定がない朝でも、窓の外に青空を認めた途端ギアが入ることもありますよね。そんな時には素直に気持ちに従って、いつものザックにいつもの道具といつもの行動食を入れて、いつもの道を歩くわけです。歩くコースも、歩くペースも、いつもと変わらず。言うなれば、ルーティンです。

これをやりながら気がついたことは、こうしたルーティンによって“いつもの自分”を取り戻している、ということ。いつもと同じことを、いつもと同じようにできているか。その確認作業によって、自分の中にあるスイッチのようなものを確かめているのかもしれません。そして、そういう日はだいたい早朝から行動しているため、夜の寝つきはめちゃめちゃ早い。ちょっとズレた生活のリズムも、これ一発で整ってしまいます。

ああ、ルーティンの効能の大きさたるや。

藤野駅から高尾駅まで、およそ25kmのチューニングハイク

裏高尾の定番トレイル 低山縦走 陣馬山

たとえば東京近郊なら、藤野駅をスタートして高尾駅でゴールする、およそ25kmのミドルトレイルはなかなか好みのトレイルです。その間には人気低山の陣馬山と高尾山があり、それらを繋げる奥高尾縦走路の一区画を縦走します。ここでミソなのはバスは使わずに「駅から駅まで」を歩くということ。これならば電車で完結することができるわけです。

休憩や写真撮影で足を止める時間を含めると、駅から駅までの設定時間は7~8時間というところでしょうか。もちろん健脚のハイカーなら、それ以上の早いペースで歩けるでしょう。たくさんのハイカーとトレイルランナーが共存する、整備の行き届いた歩きやすいコースです。

裏高尾の定番トレイル 低山縦走 陣馬山裏高尾の定番トレイル 低山縦走 陣馬山

重めのザックを背負って歩くトレーニングコースにも向いているので、アルプスしか行かないという方や夏山縦走する方の調整コースとしても◎です。ハイカーが多く、道はよく踏まれ、道標もしっかりある定番の縦走コースなので、初めて低山縦走に挑戦したい方やいつもより長めの山歩きをしてみたい方にも、もちろんおすすめ。

裏高尾の定番トレイル 低山縦走 陣馬山裏高尾の定番トレイル 低山縦走 陣馬山

しかし、ともすれば「低山だし」と言われてしまう山だとしても、長い時間を山中で過ごせばリスクは高まっていくというもの。登山道の状態、天候の急変、自分の体調と装備の具合などなど、想定外の事態に遭遇してしまう可能性は、レベルの高低に関わらず誰にでも起こりうることです。事前の準備と現地情報の収集は怠らないようにしたいところ。

とはいえ、とらえ方を変えれば、低山縦走は初心者にとってはレベル向上になりますし、中・上級者にとってはオフシーズンのトレーニングにもなります。だから、身近な低山をいくつかつなげて歩きごたえのあるコースを編み、自分の登山の総合力を定着させていくことは、悪くない習慣だと思うのです。継続は力なり。

ぼくも夏山シーズンが近づく前に、重い荷物を背負って低山を歩いています。しかしその度に、まずは重い身体そのものをなんとかしろ、とも思うわけです。今夜も地図をつまみにビールを飲んでしまったので……。

文と写真:大内 征(低山トラベラー/山旅文筆家)
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大内 征さんの記事

過去の「テーマで歩く山の旅」、大内征さんの書籍「低山手帖」を以下で紹介しています。気になる方は是非チェックしてみてください。


山旅旅
低山トラベラー 大内征『テーマで歩く山の旅』
https://yamatabitabi.com/archives/tag/low_mountains/
日本トレッキング協会 理事、低山トラベラー/山旅文筆家の大内征のコラム。土地の歴史や物語を辿って各地の低山を歩き、自然の営み・人の営みに触れながら日本のローカルの面白さを探究。山旅旅ではテーマで歩く山の旅と題して、登山と“テーマ”を掛け合わせて、大内征的な視点と偏愛で楽しんだ山旅の思い出を、ちょっとずつ綴っています。

山歩きをこれから楽しもうと思っている人、秋冬に登山回数が減ってしまう人に是非ともおすすめしたい書籍、『低山手帖』。山登りのイメージが覆ること間違いなしです。『低山手帖』の著者 大内征さん低山トラベラー・山旅文筆家の大内征(おおうち・せい)さんを知ったのは読売新聞に掲載されていた『低山手帖』という書籍に関する大内征さんへのインタビュー記事だった。そこには低山里山で発見することのできる、歴史小説や神話・民話の舞台となった山のこと。更には人の営みに密接に関わる日常的な側面がふんだんに低山にはあり、そ…
【レビュー】低山手帖-低山歩きは知的な大冒険 – 山旅旅

大内 征さんの書籍

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