悲願叶ったり! ギター・マガジン6月号は マイブラのケヴィン・シールズ大特集
ただいま絶賛発売中のギター・マガジン2021年6月号は、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズを大特集。本人全面協力のもと、計106ページの保存版と言える1冊が完成しました。本特集の裏話や読みどころを担当編集がご紹介!
1991年、ロック史に残る名盤『loveless』を作り上げ、シューゲイザーの代表格としてその名を馳せるマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン。その中心人物であるケヴィン・シールズへの長時間インタビューが、本誌の歴史上初めて実現しました。長年、その時々の編集者が何度もオファーしては断られていた鬼才ケヴィンへの初取材が、ついに……。興奮のあまり、「もう表紙ですよ! 表紙以外ないっす!」と編集長にやや前のめりな懇願をしたところ、すんなりOK! こうして本特集が誕生しました。
レーベルの担当者さん曰く、「インタビュー時間は原則60分。でも、表紙で100ページ級の特集だとは伝えてあるから、もしかしたら時間をオーバーしても大丈夫かも」とのこと。そこで、ここぞとばかりに大量の質問を用意して本番に臨みました。すると! 「時間なんて気にすることはない」、「まだ聞き足りないことはないか?」と終始歓迎ムードで、秘蔵の情報を洗いざらい話してくれたのです。さらには、「あとでギターやエフェクターの写真、チューニングのデータを送るよ(※彼は変則チューニングの使い手)」と、本特集のためだけに素材提供までしてくれることに。編集部の特集にかけるボルテージはどんどん上がっていくのでした。
その他、盟友であるサーストン・ムーア(ソニック・ユース/現在は活動停止中)やJ・マスキス(ダイナソーJr.)といった面々への新規インタビューにも成功し、周辺の関係者からの協力でライブ機材写真も大量に入手。かくして、取れ高充分、どんと胸を張れるケヴィン・シールズ特集が完成しました。
さて、せっかくのガジェット通信への寄稿ということで、本特集にかける思いについて少し、勝手ながら綴らせていただきます。
ギター・マガジンといえば長年、エリック・クラプトンやジミー・ペイジ、ジミヘンなど往年のロック・ギター・ヒーローが頻繁に表紙を飾る雑誌でした。今でもそのイメージをお持ちの方は多いでしょう。反面、ケヴィン・シールズを始めとするオルタナ・ギタリストを表紙にするにはちょっと……というムードがかつては漂っていたように思います。もちろん、ギター・フェチの集団であるギタマガ編集部ですから、いつの時代も彼らのギター・サウンドの凄みは重々承知です。でも当時はまだ大フィーチャーできなかった。
専門誌たるもの、ギターがうまい人を取り上げるのが正義なわけで、演奏技術でオルタナ勢とジミヘンたちを天秤にかけたらそれはかないません。あと単純に、クラプトンやジミヘンを表紙にしたほうが売れたのです。……しかし、時代は変わる。雑誌のあり方もギターの存在意義も、昔とは違います。今ではマイブラ風のノイジーな轟音なんて、直系のオルタナ・バンドではないポップスやエレクトロなど、いろんなところで耳にしませんか? つまり、オルタナなサウンドは今や「Alternative(本流ではない、の意)」ではなく、もはやギターの代表的な表現手段のひとつになったのです。そしてその表現におけるある種の頂点が、今回の主役=ケヴィン・シールズではないでしょうか。
彼は、ジミヘンやクラプトンほどの地位はない。派手なギター・ソロも弾きません。でもケヴィンという人は、とことんまでギター・サウンドを突き詰め、極上のノイズ・ギターを鳴らす才能に長けています。『loveless』を聴けばわかるように、彼のノイズは不快なそれ(黒板を引っかいた音だとか、工事の騒音とか)とは違い、カラフルで心地良い。ノイズなのに、どういうわけか美しいのです。そもそもギターって一般的に、ペダルやアンプで歪ませた音、つまりノイジーなサウンドが代名詞の楽器ですよね? そう考えると、ケヴィン・シールズはエレキ・ギターの一番いいところを引き出した天才なのでは? だからこんなにも大きな影響を与えたのでは? そして今や、ジミヘンとかクラプトンにも引けを取らない偉大なギター・ヒーローなんじゃないか? こんな問いかけを、全面肯定したのが本特集です。
長々とすみませんが、マイブラを知らない人や興味がない方にもぜひ、この機会に本特集を読んでもらい、彼らの音楽に触れて頂ければうれしいです。そして近い未来、ケヴィン・シールズのサウンドからなんらかの形で影響を受け、新たな音楽が生まれる……なんて奇跡が起こったら最高ですね!
まずは入門編! 月刊マイブラ・ジャーナル
マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、およびケヴィン・シールズって何がすごいの? まずは入門として、彼とバンドの魅力を語るうえではずせないトピックをまとめてみました。「『loveless』で大金を使いすぎてレーベルをつぶしかけた」、「ライブで耳栓を配るほどの大音量へのこだわり」、など有名な逸話も。
保存版25,000字インタビュー。 ケヴィン・シールズ、すべてを語る───。
ついに叶ったケヴィン本人へのロング・インタビュー。当初の約束をはるかに超える約3時間(25,000字)の取材に成功。見どころは、かの名盤『loveless』の本人による全曲解説。しかも本人が撮影して送ってくれた機材写真付き。これは本誌でしか読めませんよ!
ほぼ全作品を大ボリュームで紹介!
彼らのほぼ全作品のディスクを徹底紹介! このたびリイシューされた主要4作品(『Isn’t Anything』、『loveless』、『m b v』、『ep’s 1988-1991』)は全曲解説も収録しています。ココを読めばマイブラの活動ぶりがほぼほぼ把握できるはず!
本人直伝チューニングで紐解く名曲解析!
独自の変則チューニングを多用するがゆえ、正確なコピーが困難とされるケヴィン・シールズのギター・プレイ。しかしこのたび、本人の厚意により秘蔵の公式チューニング・データをもらうことができました。それをもとに、名曲のギター・ワークを譜面で解説します。
謎に包まれた愛用機材を網羅!
ここからは愛用機材紹介。これまで彼の機材については不明点が多かったですが、今回の特集に際し、ケヴィン本人や複数の関係者が撮影した多数の写真で濃厚に解説!
盟友たちからの愛あるコメント
同時期に活躍し、互いにリスペクトし合う同胞たちからの取り下ろしインタビューにも成功。4月号の主役だったサーストン・ムーアとJ・マスキス(ダイナソーJr.)がケヴィンを熱く語ります!
国内ギタリストが語るケヴィンの魅力
ここ日本を拠点にするギタリストたちにケヴィン・シールズの凄みを語ってもらいました。SUGIZO、Takaakira’Taka’Goto(MONO)、永井聖一(相対性理論)、タテミツヲ(ex.コクトー・ツインズ)が登場!
『ギター・マガジン 2021年6月号』
定価 880円(本体800円+税10%)
2021年5月13日発売
https://www.rittor-music.co.jp/magazine/detail/3121111002/
(執筆者: リットーミュージックと立東舎の中の人)
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