129億年前の暗く小さな銀河の姿が重力レンズ効果により明らかになる

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129億年前の暗く小さな銀河の姿が重力レンズ効果により明らかになる

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡によって観測された銀河団「RXCJ0600-2007」の画像にアルマ望遠鏡によって観測された129億年前の暗く小さな銀河「RXCJ0600-z6」の画像を合成した画像。RXCJ0600-z6は、赤く着色されていますが、重力レンズ効果によって、3つ以上に分裂して見えています。(Image Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Fujimoto et al., NASA/ESA Hubble Space Telescope)】

国立天文台、アルマ望遠鏡などは4月22日、重力レンズ効果を使って129億年前の暗く小さな銀河「RXCJ0600-z6」の観測に成功したと発表しました。研究チームによれば、RXCJ0600-z6は回転しており、RXCJ0600-z6ような宇宙が誕生してから9億年ほどの初期の小さな銀河が回転しているのが確認されたのはこれが初めてになるといいます。

■重力レンズ効果を使って129億年前の暗く小さい銀河の観測に成功!

宇宙は今から138億年前にビックバンによって誕生しましたが、その数億年後には、小さな銀河がつくられ始めました。この時期の銀河の姿を明らかにすることは、銀河がどのようにして形成されたのか、解明していくうえで、とても重要なのですが、この時期の銀河は暗く小さいために観測がとても難しいのです。

そこで、登場するのが重力レンズ効果です。

アインシュタインの一般相対性理論によれば、銀河団などの重い天体の周りでは、時空が歪むために、そこにあたかもレンズが存在するかのような効果が生じ、その重い天体の背後にある天体(光源)の光(電磁波)が、増光したり、拡大したり、複数の像を結んだりすることがあります。これが重力レンズ効果です。

研究チームは、アルマ望遠鏡を使い、95時間かけて、このような重力レンズ効果が生じている33個の銀河団の中心部分を徹底的に調べました。

その結果、宇宙が誕生してから9億年後の暗く小さな銀河「RXCJ0600-z6」の観測に成功しました。その後の詳しい分析により、RXCJ0600-z6は、重力レンズ効果によって、増光され、最大で約160倍にも拡大されていたことが解りました。

ただ、その一方で、RXCJ0600-z6の姿は、重力レンズ効果によって、3つ以上に分裂してしまっていました。

■ハッブル宇宙望遠鏡の観測データなどを使ってRXCJ0600-z6の元の姿を復元!

【▲ 復元されたRXCJ0600-z6の画像。(Image Credit:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Fujimoto et al., NASA/ESA Hubble Space Telescope)】

重力レンズ効果によって、光源の像が複数に分裂してみえるのは、銀河団などの重い天体の質量の分布が偏っているために、時空の歪み方が場所によってバラバラなためです。逆に言えば、銀河団などの重い天体の質量の分布が解れば、逆算して、光源の元の姿を復元できるということになります。

そこで、研究チームは、ハッブル宇宙望遠鏡や南天天文台のVLT(Very Large Telescope)の観測データ、重力レンズ効果を精密に計算できる理論モデルなどを駆使して、ついにRXCJ0600-z6の本来の姿の復元に成功しました。

これによって、RXCJ0600-z6は、その質量は私達の天の川銀河の1/100ほどしかないものの、私達の天の川銀河と同様に回転していることがわかりました。RXCJ0600-z6のような、宇宙が誕生してからわずか9億年後の初期の小さな銀河が回転しているのが明らかになったのはこれが初めてとなります。

RXCJ0600-z6は2021年後半に打ち上げが予定されているNASAの次世代宇宙望遠鏡ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による観測が予定されています。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使えば、恒星の分布や恒星が誕生する現場などを観測することができるために、研究チームではとても楽しみにしています。

 

Image Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Fujimoto et al., NASA/ESA Hubble Space Telescope/ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Fujimoto et al., NASA/ESA Hubble Space Telescope
Source: 国立天文台/アルマ望遠鏡/論文
文/飯銅重幸


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