在宅ワークで浮いた通勤時間はどう使う?夕方以降の生活リズムに変化

在宅ワークで浮いた通勤時間はどう使う?夕方以降の生活リズムが変化

旭化成ホームズのくらしノベーション研究所が、緊急事態宣言解除後の2020年9月に、在宅ワークにおけるくらしの現状について2回目の調査を行い、「在宅ワーク・夫と妻のニーズ」として報告書をまとめた。調査の結果では、週1回以上の在宅ワーカーが約8割を占め、在宅ワークが定着しているが、特に夕方以降の生活に変化が見られるという。どう変わったのだろうか。【今週の住活トピック】
調査報告「在宅ワーク・夫と妻のニーズ」/旭化成ホームズ

在宅ワーク日は、睡眠時間が長くなり、夕食時間が早くなる傾向

くらしノベーション研究所では、新型コロナウイルスの世界的感染拡大への対策として在宅ワークが急速に普及し、暮らしが「令和在宅ワークモデル」になったことに注目している。そこで、自社設計施工の住宅に住む、夫妻どちらかが在宅ワークをしている1492人に調査を行った。

緊急事態宣言解除後、感染拡大がひと段落した9月時点の在宅ワークの頻度を聞くと、次のようになった。この調査対象では少なくとも週に1日以上在宅ワークをしている人がほぼ8割に達している。

在宅ワークの頻度(出典/旭化成ホームズ「在宅ワーク・夫と妻のニーズ」調査報告書から転載)

在宅ワークの頻度(出典/旭化成ホームズ「在宅ワーク・夫と妻のニーズ」調査報告書から転載)

在宅ワークが今後も定着していることがうかがえる結果だ。となると、生活時間は変わるのだろうか?

通勤日と在宅ワーク日を比べると、在宅ワーク日は通勤時間が不要になる。その時間はどこにいくのだろうか?まず、起床時間が遅くなり、就寝時間は早くなり、その結果として睡眠時間が長くなっている。さらに、夕食の時間が早くなっている。同研究所では、夕食以降の生活時間の変化に注目している。

在宅ワークの頻度(出典/旭化成ホームズ「在宅ワーク・夫と妻のニーズ」調査報告書から転載)

在宅ワークの頻度(出典/旭化成ホームズ「在宅ワーク・夫と妻のニーズ」調査報告書から転載)

ほとんどの在宅ワーカーは、夕食前に仕事を終えているが、なかには夕食後に再び仕事する人もいる。仕事よりも家族との時間を重視する姿勢が、次の結果からもうかがえる。

「仕事が残っていても家族の夕食に合わせる」夫:62%、妻:66%
「夕食後にも在宅ワークをすることがある」 夫:58%、妻:57%

同研究所によると「長子が幼児、小学生の場合に夫の夕食時間の早まりが大きい」という。

在宅ワークで家族と時間を共有する機会が増えた

在宅ワークしている本人に、在宅ワークによる「機会」の増減を聞くと、夫・妻ともに「家族とのコミュニケーション」が最も増えたと回答した。次いで、夫は「家族一緒の夕食」と「通信販売の利用」、妻は「調理をする機会」と「家族一緒の夕食」が増えたとの回答が多かった。夫・妻ともに、家族と時間を共有する機会を増やしていることが分かる。

また、在宅ワークによる「不安」の増減を聞くと、夫・妻ともに「光熱費増の不安」が最も増えたと回答した。在宅時間が長くなれば、家で食事をする回数も増えるし、冷暖房機器や空気清浄機、PC等の端末機器などの使用時間も長くなる。光熱費の増加で家計が圧迫されることに不安を感じる、という構図だろう。

夫と妻で異なる在宅ワークを行う場所、それぞれのメリットは?

では、在宅ワークをどこで行っているのだろう。これについては、夫と妻の差が際立つ回答となった。

夫は「個室派」が約6割を占めたのに対して、妻は「LD(リビングダイニング)派」が7割以上を占めた。LDのどこで仕事をしているかというと、妻の5割近くがダイニングテーブルを使っており、それ以外の場所では、LDKの造り付けカウンターや書斎コーナーなどが挙がった。

また、夫がLDで仕事をするのは、共働きの場合が多く、妻が通勤している、どちらも在宅ワーク(同時に在宅ワークしているとは限らない)をしている場合は、「LD派」が4~5割に増加する。これに対して、妻が非就業(専業主婦)の夫の場合は、「個室派」が7割まで増加する。恐らく、妻が不在であればLDを専用できることが影響しているのだろう。

在宅ワーク時に一番使う場所(出典/旭化成ホームズ「在宅ワーク・夫と妻のニーズ」調査報告書から転載)

在宅ワーク時に一番使う場所(出典/旭化成ホームズ「在宅ワーク・夫と妻のニーズ」調査報告書から転載)

同研究所によると、LD派は、「仕事の合間に調理や洗濯などの家事ができる」を始めとして家事関連のメリットを挙げる人が個室派より多く、個室派は、「仕事に集中できる」ことを挙げる人がLD派より多いという。また、LD派ではほかにも、「日中は部屋が明るいから」、「机が広くてPCなどを置きやすいから」といった声もあった。

在宅ワークがきっかけで夫の家事時間が増加!?

在宅ワークによる夫の家事時間の増減を聞いたところ、家事時間が増えたという回答が多かった。特に、「若年層」(長子小学生以下、子がいない場合は40代以下)のほうが、「熟年層」(同中学生、50代以上)より「増えた」という回答が多い。さらに、夫の在宅ワーク場所が「LD派」のほうが、「個室派」より「増えた」という回答が多く、生活動線の中にあるLDで仕事をするほうが、家事参加が増える傾向にあるようだ。

夫の家事時間の増減(出典/旭化成ホームズ「調査報告:在宅ワーク・夫と妻のニーズ」リリースから転載)

夫の家事時間の増減(出典/旭化成ホームズ「調査報告:在宅ワーク・夫と妻のニーズ」リリースから転載)

在宅時間の増加で飼い犬の行動にも変化!?

話が変わるが、犬の情報サイト「INUNAVI」の「コロナ禍における愛犬の体調・態度の変化」調査によると、「コロナ禍で飼い主自身が家にいる時間が増えた」という回答は69.7%。一方で、愛犬のほうはというと、食欲や排便、睡眠の変化と比べて最も「変わった」という回答が多かったのが、「普段の行動の変化」(56.3%)だった。どう変わったかというと、ぶっちぎりのトップが「甘えん坊になった」だ。

コロナ禍の在宅時間の増加で、飼い犬ですら飼い主との関係に変化があったというのだから、家族間にも変化が生じるというのは納得できる。

さて、在宅ワークが今後も定着すると見られている。最近では、在宅ワークを前提として家を建てたり、買ったりする人が増える傾向にある。在宅ワークによって、家族と時間を共有する機会が増える一方で、光熱費増加の懸念や運動不足解消の必要性なども生じる。これからの住まい選びでは、在宅ワークの経験を活かして、快適な住まいの条件をよく考えてほしい。

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