わずか50分間の出場、クールダウン時に負傷。セルヒオ・ラモスに訪れた危機

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わずか50分間の出場、クールダウン時に負傷。セルヒオ・ラモスに訪れた危機

コンディションに不安を抱えた状態でスペイン代表に招集され、出場したのは3試合中2試合、わずか50分間。しかも試合後のクールダウンで右ふくらはぎを負傷し、クラブでの重要な試合を欠場することに。セルヒオ・ラモスは今、大きな危機に直面している。

 セルヒオ・ラモスは今、キャリア最大の危機を迎えているのかもしれない。

 UEFAチャンピオンズリーグのリバプール戦とクラシコを直前にした3月31日、コソボ戦後の練習中に右ふくらはぎを負傷した。

 レアル・マドリーは欠場期間を明らかにしていないが、少なくとも4月6日と14日のリバプールとの2試合、その間の4月10日バルセロナ戦を欠場せざるを得ないことを、本人がSMS上で明らかにした。

 噂通り4月一杯出場できないとなると、チームはリーガとCLのタイトル争いを左右する重要な7、8試合をキャプテン抜きで戦うことになる。

体調は万全ではなかった

 そもそも、今回の代表招集には問題があった。

 2月の右足半月板の手術から早期回復した後、右足脛骨を打撲すると、招集直前のセルタ戦は大事を取って遠征に不参加。その流れで迎えたインターナショナルウィークは休養に最適だと思われたが、ルイス・エンリケ代表監督は彼を招集した。

 それなら体調は万全だったかと言うと、そうではなかった。初戦のギリシャ戦に先発すると、前半だけで交代。プレー中に負傷するようなシーンはなかったので、交代はルイス・エンリケとの「前半だけプレーさせる」という合意の上のプランであったことは明らかだ。

 次のジョージア戦は出場せず、最後のコソボ戦は終了間際の5分間だけ出て、その後のクールダウン中に負傷したというわけだ。

 手術したのが半月板で打撲が脛骨、そして今回がふくらはぎと、各ケガに直接の関係はないように見えるが、すべて同じ右足であり、古傷をかばいながらのプレーが次の負傷を招いた可能性はあるだろう。

 いずれにせよ、ケガがちだった体には休養が何よりの薬であったことは否定できない。実際、ジョージア戦は休んでいるのだから。

個人記録優先に批判の声も

 なぜ、出場にこだわったのか?
これはセルヒオ・ラモスの個人記録に関係がある。

 今回の2試合を加算して、彼の代表での出場試合数はちょうど180になった。エジプトのアハメド・ハッサンの持つ184の世界記録にあと4と迫っている。記録樹立に本人が執着していることは、東京オリンピック出場にも意欲を見せていることでも明らかだ。

 ルイス・エンリケはセルヒオ・ラモスを「すべての記録を破るに相応しい」としながらも、2試合で計50分間しかプレーをさせなかった点については「テクニカル的な判断だ」と言い張っている。

 だが、監督がセルヒオ・ラモスの代表キャップ数積み上げをサポートしたことは過去にもあり、9月のポルトガル戦では8分間、11月のオランダ戦では5分間だけ出場させて試合数を稼がせている。

 あの2試合は親善試合だったが、今回はカタールW杯出場を懸けた予選。そんな大事な場で代表の利益よりも個人の事情を優先させたことには批判の声が上がった。

 マラドーナの同僚としてアルゼンチン国旗を背負ったホルヘ・バルダーノは「代表はもっとシリアスなもの。全員が同じ条件下でプレーすべきだ」とキャプテンへの特別扱いに苦言を呈した。

記録更新は確実だが…

 現役バリバリのセルヒオ・ラモスが前人未到の記録を打ち立てるのは時間の問題だろう。EURO2020前の親善試合と本大会で追い抜けなければ、9月のW杯予選で確実に新記録を達成しているはず。

 代表監督としては、今回はセルヒオ・ラモスの代わりに例えばマリオ・エルモソ(アトレティコ・マドリー)を呼び、左SBと兼用で試してみることもできたはずだ。

 ギリシャに引き分け(1-1)、ジョージアに92分に勝ち越し(2-1)、コソボにも苦戦し(3-1)、辛うじて1位抜けの可能性を残したが、もしそうなっていなかったらルイス・エンリケの立場は一気に緊張感漂うものになっていただろう。監督もキャプテンも、大事な時期にあんなギャンブルを打つ必要はまったくなかった。

 35歳になったばかりのセルヒオ・ラモスは今季6回目の負傷で20試合を欠場済み。6月末に契約は終了するが、更新はまだなされていない。

 同じく6月末に自由契約になるバイエルンのアラバの加入が有力視されており、セルヒオ・ラモスの年俸がそのままアラバに渡る、という噂は時間が経つごとに現実味を増している。移籍情報専門サイト『トランスファーマルクト』によると、セルヒオ・ラモスの市場評価額は1400万ユーロまで下がっている。ここ3年で半額以下になった計算だ。

 4月1日、バルセロナの目抜き通りにセルヒオ・ラモスの写真と「また会えることを楽しみにしている」と書かれた巨大な横断幕が現れた。彼を主役とするドキュメンタリーのプロモーション用だった。

 文字はわざわざカタルーニャ語にしてあり、バルセロナのラポルタ会長の選挙キャンペーン用の横断幕を意識したものであることは明らかだが、カタルーニャのメディアからは文法上の誤りがある、と指摘されている。

 ドキュメンタリーのスタートはクラシコの前日、と綿密に計算されたキャンペーンだったが、肝心の本人が出場できないという可哀想な事態になってしまった。

 個人記録にしてもドキュメンタリーにしても、選手としての本分である「個人はチームのためにある」から外れたものだった、と今、指摘するのは酷だろうか?

Photos: Getty Images


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