子どものやる気アップ!保護者のための「共感型コミュニケーション」のススメ

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子どものやる気アップ!保護者のための「共感型コミュニケーション」のススメ

進級したのに、子どもがのんびりしていて、ついイライラしてしまう。

そろそろやる気をだしてほしいのに、自主的に勉強してくれない。

高校生の保護者の悩みは尽きませんよね。

そこで、ガミガミママを克服して現在は親業インストラクターとして活躍する生駒章子先生に、子どもにやる気をだしてもらうためのコミュニケーションのコツをうかがいました。

さらに、実際に悩みや困りごとを抱えている高校生の保護者たちの体験談も聞いてみましたので、参考にしてはいかがでしょうか。

アドバイスをくれるのは
生駒章子先生

生駒章子先生
臨床心理学者トマス・ゴードンが創始した「親業」(親教育プログラム)のインストラクター。
ファミリーワークス合同会社・代表。

子どもとより良い関係がつくりたいと望む保護者・子育て支援者を対象に、講座、ワークショップを提供。
講演会などと合わせ、年間1000人以上に良い親子関係のつくり方のヒントを伝えている。
自身も大学生の息子と高校生の娘の母。

親業訓練インストラクター/姿勢教育指導士/ELM(アドラー勇気づけリーダー)/こども支援士/埼玉県家庭教育アドバイザー/さいたま市親の学習ファシリテーター/(森田ゆり)気持ちのワークショップファシリテーター

高校生の保護者207人に聞いた!育児の悩みや困りごと

子どものやる気アップ!保護者のための「共感型コミュニケーション」のススメ

スタディサプリ編集部が高校生の保護者207人にアンケート調査をしたところ、上記のような結果になりました。

「やる気がないように見えて心配」「進学や進路について考えていないのでは…?」という声が多いようです。

どのような状況なのか、保護者のリアルな声を詳しく見てみましょう。

<<Q. 高校生の保護者の悩みや困りごとは?>>

【Real Voice】困ってます…

「学校から帰ってくると、定位置に座り、寝る時間まで携帯電話をいじっている。食事中も手放さない。テスト前の夜でも、携帯電話をいじりながら教科書を見ている」(44歳・女性・宮城県)

「在宅勤務が多くなり、子どもと話す機会が増えたので、将来のことも会話の中でそれとなく聞いてみるが、はぐらかされて、しっかりとした答えがない」(49歳・男性・大阪府)

「もっと効率よく勉強すれば成績が上がると思うのに、親の意見は素直に聞いてくれないので残念だ」(51歳・男性・福岡県)

「注意すると、理屈で言い返してくるようになった」(41歳・女性・群馬県)

「学校のことを聞いても、全く返事もしないし、『別に』『知らない』と答えるばかり。休日は家でゴロゴロしている」(52歳・女性・埼玉県)

自主性はコミュニケーションからつくられる

子どものためを思ったアドバイスが悪循環に!?

子どもにもっとやる気をだしてほしい、自主性をもってほしいと思っているけれど、うまく伝えるのが難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。

心配するあまり詮索したり、感情的な言い方をしてしまい、ますます子どもが言うことを聞かなくなるような悪循環に陥ってしまうケースもあるかもしれません。

親業インストラクターの生駒先生によると、子どもの自主性を引き出すには、まずこのような悪循環な状態を見直すことが先決だと言います。

【from生駒先生】

「中学生の頃までと同じように接しているのに、高校生になってから子どもの反応が違ってきた、注意しても聞いてくれなくなった、反抗される、と悩み始める保護者は少なくないと思います。

高校生は自分探しをしながら大人に近づく時期であり、物事を客観的にとらえられる反面『保護者から自立したい』『保護者には言われたくない』という気持ちが芽生えてくる年齢だと言われています。

保護者としては良かれと思って言ったアドバイスですが、子どもからすると、『あなた、そんなんじゃダメよ』『私の言うことを聞いておけばいいの』というように、自分を否定されたような気持ちになることがあるのかもしれません。

普段だったら特に問題ない会話でも、どちらかがイライラしているなど、お互いの関係が良くないときに言ってしまうと、子どものやる気が失せたり、反抗的な態度になって、さらに関係を悪化させることもあるのです。」

共感力が好循環なコミュニケーションを生み出す

では、子どもの自主性を引き出す、よいコミュニケーション、好循環なコミュニケーションとはどんなものなのでしょうか。

大切にすべきは子どもに寄り添い、共感する姿勢だと生駒先生は言います。

【from生駒先生】

「例えば、テストの結果が悪くて、『もう勉強なんかしたくないよ』と落ち込む子どもに対して、何と言って声をかけますか?

『もっと勉強しなさい』『ちゃんと勉強しないと大学に受からないよ』と叱ったり、『結果は出なかったけど頑張っていたと思うわよ』『次はきっと良い点が取れるから頑張ろう』と励ましたりする方もいるでしょうか。

これらは決して間違っているわけではありません。

しかし、子どもが困っているとき、嫌だなと思っているときに言ってしまうと、子どもは自分の話を聞いてもらった感じがしなくなり、否定された気持ちになって、心を閉ざしてしまうこともあるのです。

『共感』と『同意』を混同しがちですが、実は大きく異なります。

『勉強したくない』と子どもが言ったとき、『そう勉強したくないよね』と答えるのは同意。

『今回もうちょっとイケると思ってたのにダメだったから、勉強やる気なくなっちゃうんだね』と子どもの気持ちを確認するのが共感です。

子どもが言っていることを自分も同じように感じるのは同意で、子どもが思っていることを確かめていくのが共感と言えるでしょう。

子どもの意見に賛成できないと考えていたとしても、共感して話を聞くことはできるわけです。

このように、子どもの思いを確認することで、子どもは自分の話を聞いてもらえた、受け入れてもらえたという気持ちになります。

ひとりの人として認められているという安心感や自信が自主性につながっていくと考えられます。」

自主性を育てる「共感型コミュニケーション」の3つのコツ

コツ1:コミュニケーションのしかたを変える

子どものやる気アップ!保護者のための「共感型コミュニケーション」のススメ
子どものやる気アップ!保護者のための「共感型コミュニケーション」のススメ

例えば、子どもはスマートフォンばかりいじっているとき、あなたはどう対応していますか?

「共感型コミュニケーション」ができるようになるコツとして、まずは「コミュニケーションのしかたを変える」ことが有効だと生駒先生は言います。

【from生駒先生】

「子どもがダラダラしていると、つい怒りたくなることもあるかもしれませんが、頭ごなしに非難されると、『今やめようと思ったのに、言われたから勉強やる気なくした』と逆効果になってしまう可能性も。

まずは、イライラする気持ちをグッと抑え、子どもが機嫌良さそうなタイミングを見計らって、平常心で話しかけてみてはいかがでしょうか。

『お母さんも高校生のときは深夜ラジオばかり聴いていて、朝起きれなくて……』などと体験談を話してみるのもよい方法です。

これは、直接言葉にしなくても、自分も昔はそうだったから、今のあなたの気持ちも理解できるよという共感を示すことに繋がります。

子どもは、保護者も自分と同じだったんだと親近感を持ち、話を聞いてみようと思うはずです。」

次に、保護者のみなさんに、コミュニケーションで心がけていることを聞いてみました。

話しかけるときのタイミングや話し方にも工夫がみられるようです。

<<Q. 子どもに保護者の意見を伝えるとき、心がけていることは?>>

【Real Voice】失敗しました…

「そんな様子じゃ無理というようなことをダメ出ししてしまった。学校で嫌な思いをして帰宅したときだったため、傷ついたようです」(47歳・女性・神奈川県)

「本人は頑張ったみたいだが、そのわりに点数が低かった時に、やり方が悪い!集中できていない!と強く言ったら、悔しかったのか、無言のまま別室に行ってしまった」(42歳・女性・和歌山県)

「感情的になって叱ってしまった。怒りすぎて、頭が痛くなった。子供も怒って、壁に穴を開けてしまい、部屋をリフォームすることになった」(51歳・女性・大阪府)

「本来とは関係ない過去のことを持ち出して、注意したことがある。何を注意されているのか、私も何を注意しているのかわからなくなってしまった」(48歳・女性・岐阜県)

【Real Voice】これで成功!

「命令口調でなく、提案に聞こえるように心がけている。少しずつではあるが、聞いてくれるようになったと思う」(49歳・男性・福岡)

「機嫌が悪いときや、忙しくしているときは、なるべく避けて、自然体で話せるときに話をします」(41歳・女性・奈良)

「自分の体験談として、おもしろく話すことや、深刻にならない感じの話し方で伝える」(55歳・女性・千葉)

「子どもの意見を尊重したうえで、親の意見を伝える。子どもは子どもの意見を持ってるので、どう考えても間違ってることだけは、ちゃんと伝える」(46歳・女性・大阪)

「どう思う?と聞いてまず本人の考えを聞いてから、それもいいね。こんな方法もあるけどと提案する」(50歳・女性・大阪府)

「自分の子ども時代の経験、失敗談など話すと、興味深いようです。とりわけ成功体験よりも失敗談のほうが良いような気がします」(47歳・女性・神奈川)

<<Q. 子どもの本音を聞き出すために心がけていることは? >>


【Real Voice】失敗しました…

「あー言えばこー言うで、我慢できず頭にきて言い返したら泣いて黙りこくった。もう少し辛抱強く聞いてあげても良かったかもしれない」(47歳・女性・北海道)

「進路を決める時期になって、『そろそろ進路決めないといけないけどどうするの』と話したところ、『ちゃんと考えてるし、うるせー』と話を終わりにされてしまった」(44歳・女性・宮城県)

「『楽な方法ばかりとろうとするから、失敗するんだよ』と言ったら、子どもはムッとして黙り、自室へ行きました」(45歳・女性・埼玉県)

【Real Voice】これで成功!

「否定しないことを心がけている。ある程度は大人なので、何でもなにか理由があってやっているはず」(47歳・男性・東京都)

「こちらの意見を押しつけたり、結論を決めつけたりするのではなく、疑問符で聞いています。聞いたこと以外のことも話してくれています」(49歳・女性・岡山県)

「子どもが困っているときに、できるだけ親身に相談するようにしている」(61歳・男性・神奈川県)

「子どもの話を最後まで遮らず、きちんと聞く。すると、ゆっくりだけど安心して話をしてくれる」(55歳・男性・高知県)

「話したいけど話しても解決しないと思っていることもあると思うので、こちらから話すきっかけをつくる。それでも話したくないことは無理に聞かない。私から『今日こんな嫌なことがあったんだよ』と子ども目線で愚痴を言うと、『私もね……』と話し始めることもある」(40歳・女性・広島県)

コツ2:環境を変える

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子どものやる気をうまく引き出すには、環境を変える提案をしてみることも、ひとつの方法だと生駒先生は言います。


【from生駒先生】

「子どもの状況をよく見ずに、『〇〇しなさい!』と命令したり、注意をしても、なかなか聞いてもらえないことがあるでしょう。

一度子どもに共感して、子どもの立場で何か困っていることはないかという視点でよく考えてみると、何か気づくことがあるかもしれません。

例えば、勉強机が散らかっていて集中できないとか、勉強机が狭くて参考書が置けないなどの問題があれば、リビングのテーブルを勧めてみるなど、環境の変化を提案してみてはいかがでしょう。

子どもは自分の思いをわかってくれていると感じ、提案を受け入れやすくなると思います。

もし、どうしても怒鳴ってしまいそうになったら、保護者自身が別の部屋へ行って、自分の気持ちを落ちつかせる、という方法もよいと思います。」

次に、保護者のみなさんが、勉強のやる気がない子どもに対してどんな声がけをしているのか紹介します。

<<Q. 子どものやる気が見られないときどうする?>>


【Real Voice】失敗しました…

「やらないと後で悪い結果になることを伝えるが、あまり響かない。」(49歳・女性・東京都)

「携帯を取り上げた。すごい口論になったわけではないが、自らやる気にならなければ意味がなかったと思う」(48歳・女性・神奈川県)

「本人はやってるつもりだった時に、スマホを触っているので大丈夫なのかと注意したら、さっきまで勉強してて休憩だ!と怒ってきた」(49歳・女性・愛知県)

「『勉強しないと大学どこにも受からないよ』と言ってしまい、お母さんには関係ないと言われ、家を出て友達の家に行ってしまった」(35歳・女性・山口県)

【Real Voice】これで成功!

「タイミングを見て 冗談まじりだったり やんわりと 短く注意しています。自分でもまずいと思うようで急に勉強しだします。」(49歳・女性・岡山)

「テスト前に目標を聞き、達成したら一緒に決めた希望を叶えてあげる。」(46歳・女性・東京都)

「環境を変える提案をする。喫茶店や図書館などを利用して勉強していたようです。」(49歳・女性・北海道)

「自分でどうしたらいいか考える機会を与える。」(45歳・女性・岡山県)

「なぜやる気にならないのか、聞いてみる。体調が悪いなら休んだ方が良いと思うし、勉強する意義を見出せないなら話し合う。」(52歳・女性・埼玉県)

「やる気が起こらないときは、散歩に行こうなどと気分転換の提案をする」(52歳・女性・埼玉県)

「やる気がないときはゴロゴロしているので、「動かないと痩せないよー」と、少し冗談交じりのように声をかける。そうすると娘もそれほど嫌な顔をしない。」(58歳・女性・東京都)

コツ3:自分自身の考え方を変える

高校生の時期は、子ども自身も成長し、どんどん自主性が育っていく時期。

子どもの成長に合わせて、保護者自身も何かしらの変化が求められるときなのかもしれません。

「自分と子どもは別の価値観をもつ人間同士」という視点で考えると、保護者の役割が見えてくると生駒先生は言います


【from生駒先生】

「子どもがいつまでも行動しないと、この子の将来はどうなるんだろう…などと不安を感じることもあるかもしれませんが、子どもは保護者が思っている以上にいろいろ考えているものです。

だた、まだ大人ほど表現が上手ではなく、うまく伝えられないこともあるので、保護者が共感して子どもの思いを聞いてあげることが大切になります。

子どもはモヤモヤを聞いてもらえると、思考が整理され、自分の悩みを自分で眺められるようになります。

そこから考えが発展し、悩んでいたことの解決策を自分で考えるようにもなります。

例え失敗したとしてもそこから学び、それを繰り返していくことで、自主性が育まれていくのです。

自分が介入することですぐに解決してあげたいと思いが先走ってしまいそうなときは、主役はあくまでも子ども、保護者は思考の整理のお手伝いをすると視点を変えてみてはいかがでしょうか。」

問題を解決したり、進むべき方向性を決めるのはあくまでも子どもで、保護者はサポート役に回る。

心がどんどん成長している高校生の今こそ、自主性を育てるチャンスなのかもしれません。

子どもの成長につながり、保護者の不安も軽減される「共感型コミュニケーション」、試してみてはいかがでしょうか。


from スタサプ編集部
子どもの意見に「同意」なんかできない、と思っていた保護者の方も、「共感」して話を聞くことなら、今日からでも始められそうですね。

まずは、子どもが興味ありそうな話題を見つけて、話しかけてみることから試してみてはいかがでしょうか。

「ウザい」と言われたら、いったん引き下がって、機嫌が良さそうなときに再チャレンジ!

ちょっとしたタイミングや気の持ちようで、良いコミュニケーションができるようになると思いますよ。

取材・文/やまだみちこ 監修/生駒章子 イラスト/小迎裕美子 デザイン/桜田もも 構成/寺崎彩乃(本誌)
※記事内のデータ及びコメントは、2021年3月、高校生の保護者207名へのアンケート調査によるものです


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