“命”を扱う水族館アクアマリンふくしまが行う震災伝承 「被災した水族館という認識はずっと続いている」 − インタビュー

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“命”を扱う水族館アクアマリンふくしまが行う震災伝承 「被災した水族館という認識はずっと続いている」 − インタビュー

東日本大震災から10年。

福島県いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」は被災し展示生物の9割を失うも、約4ヶ月後に営業再開を果たしました。

震災当時からアクアマリンふくしまに勤め、学校団体向けの体験プログラムを担当、現在も震災伝承のプログラムも行っている「命の教育グループ」村山裕子さんに、オンラインでインタビューを行いました。

3.11 被災した水族館

2011年3月11日午後、館内の実験室で解剖作業の手伝いを行っていた村山さん。

14:46、アクアマリンふくしまは震度6弱の揺れを観測。

薬剤やガラスなど危険物が並ぶ実験室にいた村山さんは、緊急地震速報を受けて外へ飛び出したといいます。

14:49、大津波警報が発令。

全員で敷地内の丘の上に走って避難しますが、丘の高さでは危険だということで、周囲で最も高かった建物であるアクアマリンふくしまの3階に戻りました。

来館者を含め人は無事でした。

他水族館の協力で海獣を避難

“命”を扱う水族館アクアマリンふくしまが行う震災伝承 「被災した水族館という認識はずっと続いている」 − インタビュー

アクアマリンふくしまは魚だけでなく海獣も飼育しています。

地震や津波の被害を受け、さらに放射能の問題も発生する中で、一部の職員が残り海獣類の避難を模索。

鴨川シーワールドが受け入れてくれることになりました。

しかし海獣を運ぶトラックなどは全て津波をかぶって動けなくなり、鴨川シーワールドが引き取りに出向く形で輸送。

3月16日、通常は4〜5時間で移動できるところを、倍の10時間をかけて鴨川シーワールドの職員が到着。

これを2往復して海獣類を避難させました。

このときは東京電力福島第一原子力発電所の水素爆発が起きた後。

「こちらに来るのも相当な不安があったんじゃないかと思います。そういった中でも、生き物のためにこちらに引き取りに来てくださった」(村山さん)

海獣類は鴨川シーワールドで預かられた他、鴨川シーワールド経由で葛西臨海水族園や新江ノ島水族館など他の水族館でも預かられたそうです。

他の施設に避難した生物は39種、227点に及びます。

9割の生物を失う「徐々に死んでいくのを見守るしかなかった」

“命”を扱う水族館アクアマリンふくしまが行う震災伝承 「被災した水族館という認識はずっと続いている」 − インタビュー

大きな余震も続く中、電気や水道も停止。

非常用発電機はありましたが、燃料に限りもあり、海獣を輸送するために他の水槽の水循環や水温調節に必要な電気を停止する選択を迫られました。

電気のない水槽では魚たちが「徐々に死んでいくのを見守るしかなかった」といいます。

津波で海に流されてしまった生物もおり、震災前の展示生物数750種20万点のうち、9割の生物が死滅してしまいました。

一部の職員は避難しましたが、残りの職員で液状化の泥かきや津波の後片付けなどの作業を行っていたそうです。

コロナで再び休館「10年前は前向きだった」

“命”を扱う水族館アクアマリンふくしまが行う震災伝承 「被災した水族館という認識はずっと続いている」 − インタビュー

震災から9年後、2020年4月には新型コロナウイルスの影響で再び1ヶ月の休館を余儀なくされました。

再開後も来館者数は2019年の5割程度しか戻っていません。

村山さんは「10年前は前向きだった」と語ります。

「オープンに向けてだんだん形も見えてくるし、お客様を迎えるためにこういうことをみんなで協力してやればいいんだという感じもあった」10年前に対して、コロナ禍は見通しが立たず「どうなっちゃうんだろうと休館している間も不安だった」そう。

それでも、2020年の休館時は職員も出勤し、生物のお世話を続けたほか、水槽のアクリルを磨くなど普段はできないことを行っていたそうです。

「命」を突きつけられたことで子供に伝わる

現在、学校団体向けの体験プログラムの一つとして、震災伝承活動も担当している村山さん。

震災当時の状況や、4ヶ月での再開に至るには色々な人の協力があったということを伝えています。

福島県内からの団体だけでなく、九州など県外からの高校生が多く訪れるそうです。

特に今年度は遠方への修学旅行を断念した学校などが訪れることもあるとのこと。

2020年9月には双葉町に「東日本大震災・原子力災害伝承館」がオープンしましたが、この施設と併せて学習する子供も多いそうです。

専門の伝承施設がある中で、水族館は「生き物を扱う施設」。

「普段あたりまえに見てる生き物の『命』を突然改めて突きつけられたので、子供たちも自分の身に置き換えながら話を聞いていただけるのかな」と、村山さん。

被災した水族館という認識はずっと続いている

“命”を扱う水族館アクアマリンふくしまが行う震災伝承 「被災した水族館という認識はずっと続いている」 − インタビュー

震災から10年、風評被害もあり入館者数は2019年度も震災前の6割程度に留まっています(2020年はそこから更に5割減)。

今でも震災伝承プログラムの要望は続いており、「被災した水族館という認識はずっと続いているという実感」を持っているそうです。

自身が水族館で被災したことから、「最初は話をしていると自分で感極まってしまったりして、何度も何度も思い出すのも結構辛いなと思っていた」という中で今回のインタビューにも答えていただいた村山さん。

「今でも『当時のことを勉強しているんです』とか『学校でまとめているんです』という話があるので、やれる限りは答えたいなと思っています」と、震災を伝承していく想いを語ってくださいました。

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