仲間を守るために生死を賭けた戦いに挑む! 異色の青春×歴史作品『ブレイブ ‐群青戦記-』本広克行監督インタビュー

集英社「週刊ヤングジャンプ」で、異色の【部活×青春×歴史】作品として、 熱狂的なファンを獲得した人気コミック「群青戦記 グンジョーセンキ」が実写映画化! 高校生アスリートたちが、仲間を守るために生死を賭けた戦いの中で成長していく結束力のドラマと、 いまだ見たことのない高校生VS戦国武士という「異色」のアクションを熱く描く、 空前絶後のエンタメ超大作『ブレイブ ‐群青戦記-』が大ヒット上映中です。

自分に自信が持てない主人公の蒼に新田真剣佑、タイムスリップした先で出会う徳川家康に三浦春馬、強大なカリスマ織田信長役には、松山ケンイチ。蒼を支える幼なじみであるヒロイン・遥役に山崎紘菜と、豪華キャストが集結している本作。

本作の監督は、近作ではアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズをテレビアニメから劇場版まで総監督として務めて大ヒットシリーズに導き、実写作品でも 『亜人』(17)など多くの話題作を送り出している本広克行監督が務めます。今回は本広監督に、本作へのこだわり、キャスト陣への想いなどお話を伺いました!

――本作大変ドキドキしながら拝見させていただきました。高校生を演じた皆さんのお芝居が素晴らしくて、若いパワーをとても感じました。キャスティングへのこだわりを教えてください。

本広監督:候補として名前が挙がっている方には「全員に会わせてください」とお願いして、お会いしました。こうやって映画のキャスティングをする際に俳優さんとお会いすると、時々、無理をしているかな?と感じる方もいます。でも今回はすごかったですね。(役のイメージに合う)衣装を借りてきて、「空手部なんです!」って言って型を披露してくれたりとか。「お前それ嘘だろ?」と気付きながら、気合いを感じてその後アクションの稽古を経て、良い動きをしてくれて。

後はそれまでご一緒した、安心感のある方にお願いして。飯島寛騎は『チャンネルはそのまま!』で一緒になって、池田純矢は『曇天に笑う』『PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice』でお仕事しましたね。2人の様につながりがあって任せられる人にはお願いします、と依頼して。(渡邊)圭祐も昔から知っていて、久しぶりに会ったらすごく色っぽい俳優になっていて、絶対に圭祐にお願いしたい、と色々お願いさせてもらいました。

――皆さん、他の作品とは違う印象も受けましたし、とても素敵でした。三浦さん、松山さんのオーラもすごいですね。

本広監督:三浦さん、松山さんは僕よりも時代劇が詳しいので、頼りにしていました。大河ドラマとか時代劇作品をたくさんやっている方で、馬にも乗れて、ニューリーダーですよね。織田信長という誰もが知っているキャラクターをどう新しく演じられるかと考えた時に、松山さんが演じてくれる事によって策略家な部分が出たと思いますし、家康も春馬君の笑顔がすごく素敵で、感情的な家康も良いなと思ったんです。そういった演じ方については2人が自分でやってくれて、僕からは何も言っていません。

――アクションシーンも大迫力でしたが、皆さん苦労されたのではないでしょうか。

本広監督:最初から動ける子ももちろんトレーニングしますが、動けない子はアクション監督に徹底的にやられていました。圭祐なんかは特に長い武器を使うので大変だったと思うのですが、仮面ライダー出身の子ってすごいですね。すぐに習得していて。彼は他のキャストよりちょっと年上というのもあって、それが作品の雰囲気にも合っていたと思います。

――私はずっと文化系だったので、科学部の活躍には思わずアツくなりました!

本広監督:戦うだけではなくて、作戦を立てる人というのは絶対いたほうが良い、というのはプロデューサーの強い意見でした。濱田君が演じる吉元萬次郎が科学部でありながら率先して戦いに行くんです。その理由は多くは描かないですし、ここでは伏せておきますが、なぜ彼が行くのだろう、とかそういう細かい部分を皆で一生懸命考えて。面白かったですね。

――監督は原作のコミックをご覧になって、どんな部分に魅力を感じましたか?

本広監督:原作を読んだ時、面白かったのですが、描写がグロテスクだったので映画は難しいだろうなと思いました。やれてもR-18だろうと。その時に「ゾンビ映画はR-18にならないんだ」と思って、武士達をゾンビの様に表現しようと考えました。でもゾンビ映画と言っても『アイアムアヒーロー』などR指定の作品もたくさんあるし、色々考えて。グロい描写はなるべく映さない様に工夫して。そうして見せないシーンを撮っている事が逃げなのかな、とも悩んだのですが、多くの方に観ていただくにはその方が良いかなと。

――凄惨な描写の描き方が恐ろしかったので、R-15でも無いのが驚きました!

本広監督:そう言っていただけると工夫が報われた気がして嬉しいです。本当はGを目指したんですけどね(笑)。

――監督は後進の育成に熱心だと思うのですが、本作でもたくさんの若いスタッフを起用したそうですね。

本広監督:若い世代のスタッフ達に大きい映画、ビッグバジェットのまわしかたを体験していただきたくて、助監督、インターン含めたくさんの若いスタッフに関わってもらっています。その分、経費のかかる地方に行くのは抑えて、出来るだけ緑山近辺で撮影しました。そうすると、自宅から通えるのでたくさんの方が手伝ってくれて、機材のメーカーさん達も来てくださったりして、みんなで大きい映画を作るという事を味わってもらって。

そうやってスタッフの継承はやっていきたいと思いますし、やってきた事なのですが、たくさん優秀な方が育って、僕よりも売れている方たくさんいると思います(笑)。『踊る大捜査線』も巨大な映画だったのですが、助監督だけでもたくさんいて、皆さん大活躍していますしね。

――素晴らしい継承ですね。

本広監督:そうやってスタッフの継承はもちろん、俳優の継承もありましたね。舞台「地球ゴージャス」で春馬君が演じていた役柄を真剣佑が引き継いで、真剣佑も改めて役者を続けたいと思ったんですって。色々な場所で継承が起こっていた作品だと思います。

――本作が高校を舞台にした作品ということで、監督の高校時代はどんな学生でしたか?

本広監督:色々な事が中途半端だったと思います。部活やってもそこそこ、勉強がすごく出来たわけでもないですし、田舎だったのでロードショーも三ヶ月遅れで、ビデオ屋さんで古い作品を借りて観て、のんびり過ごしていました。何になりたいか、とかも考えていなかったです。理系だったので工業系の学校に行こうと受験勉強をしたのですが、交通事故に遭ってしまって。入院して、友達がお見舞いに来てくれるのですが、エロ本とかたくさん持ってきてくれるんですね(笑)。その中に『キネマ旬報』があって、「今村昌平監督が映画学校を作る」という記事があって、「やっぱり俺も映画作りたいな」と思ってお金貯めて東京に出て。だからきっかけはフワフワってした感じなんです。高校の時、文化祭の実行委員は3年やっていて、「文化祭でどうお金儲けするか」とか、そんな事ばっかり考えていましたね(笑)。

――なかなか高校生では考えつかない発想力ですね!(笑)

本広監督:今思えば、人を集めて何かをする天才だったのかもしれません(笑)。

――夢ややりたい事があって、でも少し悩んでしまっている。そんな若い世代の皆さんにアドバイスをするとしたらいかがですか?

本広監督:月並みな言葉になってしまいますが、「やりたい」って思ったことはあきらめないってことが大事だと思います。僕もツテも無く東京にきて、何度かクビになりましたけど、クビになっても次に行こうっていう精神で仕事をしてきて。そうすると、ある時、ピッタリくる仕事とピッタリくる上司に出会えたんですよね。その職場では、よく弱音を吐いていました。「明日の現場、こんなに朝早くて無理です」とか(笑)。辛いと感じたことはすぐに言って、伝えて、そうすると周りの先輩たちがフォローしてくれるので、それを見て学べますし。大変だな、疲れたなと思っても周りに相談して、自分が出来ることは精一杯やろうと頑張れました。

今の若い皆さんの方が優秀だと思うんです。色々と器用だなと思いますし、情報を探す能力もすごいですし。

僕が23歳くらいの頃に書いてボツになった企画書とかを見ていると、今だったらいけるなと思うこともあります。8K対応の企画とかもあって(笑)。若い時の発想力って、自分が見ても新鮮だなと感心することもあるので、ボツになったり、通らなかったり叶わなかったりする事はたくさんあると思うのですが、やりたいと思った事は諦めないで欲しいなって思ったりしますね。

――素敵なお言葉をありがとうございます!本作でも諦めない気持ちが強く描かれていたので、読者の方にも映画と一緒に監督の言葉を味わっていただけたら嬉しいです。今日はありがとうございました!

【動画】映画『ブレイブ -群青戦記-』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=GnU8O8F1QIk

『ブレイブ -群青戦記-』
全国東宝系にて大ヒット上映中
(C)2021「ブレイブ -群青戦記-」製作委員会
(C)笠原真樹/集英社
監督:本広克行
原作:笠原真樹「群青戦記 グンジョーセンキ」(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
脚本:山浦雅大 山本 透 音楽:菅野祐悟

出演: 新田真剣佑
山崎紘菜 鈴木伸之 ・ 渡邊圭祐 濱田龍臣 鈴木仁 飯島寛騎 福山翔大
水谷果穂 宮下かな子 市川知宏 ・ 高橋光臣/ 三浦春馬 ・ 松山ケンイチ

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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