【映画『ミナリ』】今年も韓国系映画がアカデミー賞を席巻する!?移民一家の波乱と希望の物語

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【映画『ミナリ』】今年も韓国系映画がアカデミー賞を席巻する!?移民一家の波乱と希望の物語

1980年代のアメリカを舞台に、新天地を求めて荒れた土地に移住してきた韓国人一家の姿を描いた『ミナリ』(3月19日公開)。さまざまな出来事に翻弄されながらも懸命に生きる彼らの生活を淡々と、しかしユーモアと緊張感を漂わせながらつづり、「小津映画のよう」といった高い評価を得ている。この話題作についてご紹介!

『ミナリ』あらすじ(ネタバレなし)

【映画『ミナリ』】今年も韓国系映画がアカデミー賞を席巻する!?移民一家の波乱と希望の物語

©2020 A24 DISTRIBUTION, LLC All Rights Reserved.

1980年代、アメリカ南部・アーカンソー州。韓国系移民のジェイコブ(スティーヴン・ユァン)は、一から農地を開拓して韓国野菜を栽培し大農園主になるという一攫千金の夢を実現させようと、オーザーク高原にある田舎町に引っ越してきた。彼が連れてきたのは、妻モニカ(ハン・イェリ)と2人の子供たち、しっかり者の姉アン(ノエル・ケイト・チョー)と、心臓疾患を抱えているが好奇心旺盛な弟のデビッド(アラン・キム)。
いつまでも少年の心を持つジェイコブの冒険に付き合わされた形のモニカは、誰も買わないという荒れ果てた土地と“新居”となるボロボロのトレーラーハウスを見て冷ややかな気分になっていたが、子供たちはそんな土地にも希望を見つけていく。農場が軌道に乗るまで、夫妻は近くの孵卵場でヒヨコの雌雄の選別作業で収入を得ることにする。
やがて、夫妻が韓国から呼び寄せたモニカの母スンジャ(ユン・ヨジョン)が、一家と同居することになった。仕事が忙しい自分たちに代わって子供たちの世話をしてもらうためだった。スンジャは極度の毒舌家で破天荒な生き方を貫いていて、初めて会った子供たちは戸惑いを隠せない。だが、どこか憎めないところもあるスンジャは、次第に一家の大切な一員になっていく。
やがて、雇い入れた地元の男ポール(ウィル・パットン)の努力のおかげで、農園では徐々に作物が育ってきた。だが、地下水が枯れるなどのトラブルを通して、ジェイコブとモニカの間の溝は次第に深まっていく。一方、デビッドはいたずらをきっかけにスンジャと不思議な絆で結ばれ始めていた。スンジャが蒔いた種から育ってきたミナリ(セリ)に、彼らは一縷の希望を見出していた。
しかし、農園と一家に、相次いで思わぬ不幸な出来事が起こる。それでも、ジェイコブは諦めるどころかむしろ意欲を燃やし、すべてを犠牲にする勢いでさらに農場経営を進めていく。だがついに、一家にとって最悪の事態が起きてしまう…。

家族の悲喜劇を誇張せず描く演出が光る

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家族にはお構いなしで自分の夢に向かって暴走する父親、それを案ずる母親、口は悪いが人間味あふれる祖母、状況の深刻さに気付かず日々の生活を楽しむ子供たち…。洋の東西を問わず、いろいろな映画やドラマに登場する設定を集めたような主人公一家。と書けば新味がない映画と思われそうだが、実際の映画を観てみればそんな不安は吹き飛ぶ。いくらでもドラマチックに盛り上げることができそうなこの設定による物語が、不必要に煽ることなく抑え気味のタッチで描かれているため、むしろ観客はそのリアルな息遣いにグイグイと引っ張られて、映画に見入ってしまうのだ。これはまさしく小津安二郎も使っていた手法であり、冒頭で触れた「小津映画的」という賛辞もそこから生まれたものだろうということは容易に想像がつく。
この映画は、リー・アイザック・チョンが自身の少年時代の体験を基にして脚本を執筆、自ら監督したものだという。それだけに、登場するエピソードは丁寧に描かれている一方で、不自然な誇張もされていない。真摯で誠実な姿勢は、圧巻のクライマックスで大きな感動へと見事に昇華されている。彼の作品では本作が初めて日本で劇場公開される長編映画となるが、あの『君の名は。』(2016)のハリウッドでの実写リメイク版の監督に決定している。今後の活躍が期待されているハリウッドの注目株だ。
出演者も、『バーニング 劇場版』(2018)のユァン、『海にかかる霧』(2014)のハン、芸能生活50年の大ベテランであるユンという実力派の韓国俳優たちが作品を引っ張っていく中、子役二人の演技も絶賛されている。特に弟役のキムの好演は高い評価を受けている。

【映画『ミナリ』】今年も韓国系映画がアカデミー賞を席巻する!?移民一家の波乱と希望の物語

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「あの」二社が手を結んだ、賞レース席巻も納得の作品

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この映画は、2000年代に入ってからの映画賞レースをにぎわせる作品を発表し続けている二つのプロダクション、「A24」と「プランBエンターテインメント」が共同で製作した作品だ。と聞くと、本作の評価が高いことを納得する映画ファンも多いだろう。
A24は、『ルーム』(2015)『ミッドサマー』(2019)など、シリアスなヒューマンドラマから異色のホラーまで幅広いジャンルの作品を発表している。しかも、それらの多くが映画賞を多数獲得している。
ブラッド・ピットが主宰するプランBは、『ワールド・ウォーZ』(2013)などのピットの主演作はもちろん、『チャーリーとチョコレート工場』(2005)や『キック・アス』シリーズ (2010~13)といった娯楽系作品から、『グローリー/明日への行進』(2014)や『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015)といった社会派系の作品まで幅広く手がけている。そして、こちらも『ディパーテッド』(2006)や『それでも夜は明ける』(2013)などアカデミー作品賞を獲得した作品を多数生み出しているが、その中の一本がA24との初タッグとなった『ムーンライト』(2016)だ。
まさに、映画界に旋風を巻き起こしている両社のコラボである本作も、すでにサンダンス映画祭をはじめ各国で数多くの映画賞を獲得しているが、その多くが作品賞と脚本賞、そして助演女優賞(ユン・ヨジョン)だ。
2021年のアカデミー賞授賞式は新型コロナウイルスの影響で2ヶ月延期されたため、ノミネート作品も2月現在まだ発表されていない。しかし、A24とプランBの再タッグという『ムーンライト』からの流れと、昨年大きな話題となった『パラサイト 半地下の家族』(2019)に続く「韓国系映画」というつながりから、本作は作品賞の最有力候補の一本という意見が多い。
賞レースの有力候補という話題性を抜きにしても、人間ドラマの秀作としてぜひ押さえておきたい傑作だ。

映画『ミナリ』公式サイト


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