COBOLの残滓

COBOLの残滓

今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

COBOLの残滓

しかし、銀行、保険会社、製造業、小売チェーン、医療機関といった大企業のミッションクリティカルなシステムは依然として大昔にCOBOLで書かれたコードによって運営されている。多くの企業はこれらのシステムを何度も入れ替えようとしたが、システムが全体が巨大で複雑な上、重要なビジネス・プロセスに統合されていること、また問題なく動いていることからこうした取り組みの多くは失敗した。

ITWORLDの記事によると、こうしたCOBOLで書かれたシステムを支えてきた団塊世代プログラマの引退が近づいているという

「70~80年代のCOBOLシステムを支えたプログラマの引退が近づいているが、システムは動き続ける」 2013年02月15日 『スラッシュドット・ジャパン デベロッパー』
http://developers.slashdot.jp/story/13/02/15/0739203/

ほぅ。俺は幸いCOBOLを扱ったことないが。PL/Iはあるけど。開発システムがそもそも専用端末という耐え難いものだった。キーボードの配列からして俺にしてみれば違和感ありまくりだったし。ということで一度やったら懲りて、次からはあらゆる手をつくして逃げまわったのであった。あれほど本気で逃げた仕事も珍しい。

   *   *   *

10年位前に某金融機関のシステム更新でCOBOLの部分を追っかけた事があるが、ぶっちゃけこんな感じ。
「やってることは判るがやってる意図が分からない」
で、いろんなところを訪ねてまわると、「ああ、それは○○の××さんに聞けば判るよ」と。
タクシー飛ばしていくと、遙かな昔の会議の席上でのやりとりで○○さんの顔を立てる為に云々ってアンドキュメントな事が理由だったと…。
仕様じゃ無いけどしょうがないからみたいな。
そんなんばっかり。

そうそう。こういう「何のためにこの処理が入ってるのかわからない」というのが、困るんだよね~。取り除いていいものなのか。近代的な道路のど真ん中に残った御神木のようなもの。邪魔なんだけど誰も怖くて切り倒せない。

で、若かりし頃、そういう箇所を躊躇なくスパスパ切っていったので、俺にいじらせると、修正を頼んだ箇所でなく、他のところにバグが出ると大好評だった(笑)。心の底から涙を流して喜んでいただいた。

だって、誰かがやるしかないじゃん。削除してみないとわかんないんだよ、こういうのは。虎の尻尾があったら、走って行って、思いっきりギュッと踏みつけるの!いつまでもそこにあったらうっとうしいじゃん。

俺はみんなのために、あえて汚れ役をやってたんだぜ?削除していいか確認すると、必ずダメって言われるから、内緒で削除だ。削除削除削除無駄無駄無駄ー!おい、なんで迷惑そうな目で見るんだよ…。俺はみんなのために…。

時は流れ、当時の自分とそっくりな新人が入ってくると、あー、むかしの俺ってこんなにウザかったのか、と。もうね、ウザ過ぎ。因果応報。めぐる因果は糸車。怒るに怒れないつーか。

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空想科学読本の著者の柳田理科雄が何かの本でこんなことを書いていた。伝統技術(刀鍛冶かなにかだったと思うが詳しくは忘れた)の継承者がみな高齢化してしまい、このままでは技術が絶えてしまうという。

その話を聞いて「後継者を早く呼びかけて募集しなければ」という柳田理科雄に、「技術を伝えるには20年かかる。いまからじゃ、もう間に合わない」と。絶滅するのがわかっていても、時期を逸してしまうと、もう手の打ちようがないわけだ。

いや、COBOLなんて絶滅してもらって結構なんだけどね。そういえばK&R時代のC言語(プロトタイプ宣言がない頃のC言語)って、もう絶滅したのだろうか。俺が最後に見た頃のgccのソースとかには、まだ残っていた気がするが。

PCのBIOS廃止の流れも、もう16bitの8086のアセンブラを書ける技術者や開発ツールがなくなってきたというのが一番切実な理由だそうだし。考えてみれば1981年に登場したIBM-PCの残骸を引きずっていたわけで、30年以上まえの技術。ここに来てようやくUEFIへの移行が進んできた。それと同時にデスクトップPCの時代の終わりが見えてきたというのも皮肉なことだ。

執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年02月27日時点のものです。

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