ブラック・破産者でもOK!「海外クレジットカード取得詐欺」の手口

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どうも特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。

Webなどをみていると、よく《金融ブラックや自己破産者でも作れる! 無審査で国際クレジットカードが取得可能!》という広告が飛びこんできますよね。これは日本国内でクレジットカードを作ることができない金融ブラック(滞納、自己破産、債務整理などをしている)の人でも海外のクレジットカードであれば作れるという情報です。

実は、この広告、多重債務のある人は本当に気をつけなければいけない詐欺。今回は、海外クレカとはなんなのか海外クレカを取り次ぐ業者がどのように儲けるのかの手口を、元取次業者の田山氏(仮名/44歳)に聞いてみました。

案内書には“借入枠付き国際カード”の記載が……

丸野(以下、丸)「どうやると、金融ブラックの人がクレジットカードを作れるんですか?」

田山氏「まず私たちは広告を打ちます。よく見かけるでしょ? 《審査機関が違うからカードが作れる》という広告。その広告に踊らされた金融関係でブラックになってしまった人間が案内書を請求します。それを取り寄せると、VISAやMasterの《クレジットカード取得代行案内》が届くんです。そこには“250万円借入枠付国際カード”という記載が……

丸「えっ! 審査機関が海外だとまたお金が借り入れできるんですか?

田山氏「まぁまぁ、続きの話を聞いてください。借金で苦しんだ末に金融ブラックになっている人間は、低利で250万円の借り入れができるので、飛び跳ねて喜びますよね。そこでまた金が借りられるのであれば、私たち取次会社に数万円支払ってもラッキーなわけです

丸「ええ」

田山氏「しっかりと元が取れると思いきや、海外のクレジットカードというのは日本のクレジットカードとはまったくの別物なんですよね。まぁクレジットカードなので、作れば使って買い物をすることはできるんですが、ショッピング枠はクレジットカードを作るために作った海外口座の預金額の範囲なんです

丸「それでは、借入枠とはいいませんよね。ある意味、デビットカードと同じじゃないですか

田山氏「まぁ、そうなりますね。案内書にある“250万円借入枠付”というのは、ウチが誘い水で勝手に記載したものですから……

カードを作るためには高いハードルと費用がかかる

丸「でも、そんなに簡単に海外のクレジットカードって作れるものなんですか?

田山氏「一度、香港やシンガポールなどの国に入国しないと作ることはできませんね。年々厳しくなっていっているので。それに、英語などの語学力や日本との銀行取引ルールが違いますから」

丸「それは、サポートしてもらえるんですか?

田山氏「サポートはしますが、途中でみんな諦めます。でも、先払いで費用をもらい、次々と費用をせしめていくので、風俗店の“タケノコ剥ぎ(少しずつ身ぐるみをはがしていく詐欺商法)”と同じ手法ですね」

丸「まずはどんな費用を取られるんでしょうか?」

田山氏「カード取次費用が6万円。それが振り込まれると、サポート費用8万円、海外渡航費用、さらに宿泊費用がかかると伝えます。それが20万円程度でしょうか。全部支払える人間なんていませんよ。だって、借金まみれの金融ブラックなんですから」

丸「まぁ支払えないですよね、総額34万円もの金額なんて……

口座を作りたい客が諦めれば詐欺ではない

田山氏「最近では厳しくなって、“居住者以外は開設できない”と断られたりします。その場合は別支店での開設。比較的、日本人に甘い支店もあるんですよ。アカウント(口座)、オープン(開設)、デポジット(預金)とか最低限の用語を押さえなくちゃいけないし、挨拶、質問も覚えれなければいけないので、大変です。そこまでやって、ようやく開設できるわけです」

丸「諦めちゃいますね、僕なら

田山氏「そうなんです。諦めさせるんです。そうすれば、ウチはクレカを作るためにちゃんとフォローもした、と言い訳できますから」

丸「詐欺ではなくなると……

田山氏「そういうことです。しかも、口座開設でクレジットカードを作ることができたとしても、半年以上取引をしないと口座がロックされてしまいます。そのために、わざわざ、数ヵ月に一度、コンビニで少額引き出したりしないといけないと。しかも、口座には預ける金なんかはない、というわけです。日本の銀行と違い、残高が一定以下になってしまうと、マンスリーフィー(月額費用)も発生。まず、金融ブラックの人間は口座を維持することすらできませんし、夢は見ないことですね

こういった海外クレジットカードで多重債務者を陥れる詐欺手口

あなたがもし、ブラックでもクレジットカードを作りたい、自己破産しているけどカードが欲しいという方であっても、本当にそのカードが使えるものなのかを注意してください。

(C)写真AC

(執筆者: 丸野裕行)

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