成功するより挑戦することが大事『おもいで写眞』主演・深川麻衣さん×熊澤尚人監督インタビュー

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成功するより挑戦することが大事『おもいで写眞』主演・深川麻衣さん×熊澤尚人監督インタビュー

東京で夢破れて帰郷した主人公の結子がそれぞれの思い出溢れる場所で写真を撮る「おもいで写真」を撮り始め、お年寄りたちの日々を少しずつ輝かせ、自分自身も成長していく。富山を舞台にした映画『おもいで写眞』が公開されます。主人公の結子を演じた深川麻衣さん、熊澤尚人監督に撮影を振り返って語っていただきました。

<作品概要>
主演は、『パンとバスと2度目のハツコイ』で、第10回TAMA映画賞最優秀新進女優賞を受賞し、その後も『愛がなんだ』『空母いぶき』など話題作への出演が続く深川麻衣。嘘にまつわる切ない記憶から、不器用なほど真っすぐに生きてきた結子を、透明感あふれる強い眼差しで演じた。
さらに、高良健吾、香里奈、井浦新ら実力派と、吉行和子、古谷一行と日本映画の歴史を作ってきた名優たちが物語に深みを与える。
監督は、『おと・な・り』『君に届け』『ユリゴコロ』の熊澤尚人。人間の心の機微をすくい取り、高く評価されてきた手腕で、今の時代にこそ必要な世代を超えた人と人との触れ合いをオリジナル脚本で描く。
なお、本作は主演の深川麻衣所属の芸能プロダクション・株式会社テンカラットの25周年企画作品。富山県及び県内各市の協力のもと、オール富山ロケで撮影された。

<あらすじ>
たった一人の家族だった祖母が亡くなり、メイクアップアーティストになる夢にも破れ、東京から富山へと帰ってきた音更結子(深川麻衣)。祖母の遺影がピンボケだったことに悔しい思いをした結子は、町役場で働く幼なじみの星野一郎(高良健吾)から頼まれた、お年寄りの遺影写真を撮る仕事を引き受ける。初めは皆「縁起でもない」と嫌がったが、思い出の場所で写真を撮るという企画に変えると、たちまち人気を呼ぶ。
ところが、あるお年寄りの思い出が嘘だったとわかり、その後も謎に包まれた夫婦や、過去の秘密を抱えた男性からの依頼が舞い込む。怒って笑って時に涙しながら成長してゆく結子の毎日は、想像もしなかったドラマを奏でてゆく。

主演を果たせたのは事務所の先輩が見守っていてくれたから

――熊澤監督が9年前に書かれたオリジナルストーリーが原作とのこと。写真を通して人と人とが繋がり、結子が成長していく物語はどこから着想を得たのか、教えていただけますか。
熊澤:親が70代になり、心配になることが多くなった時期に、お年寄りが「縁起でもない」といって遺影写真を撮りたがらないため、いざ必要になったときに集合写真を引き伸ばすしかないことが多い状況を知りました。では、お年寄りは一体どういう写真だったら撮ってもいいと言ってくれるのか。自分なりに考え始めたのが最初の着想ですね。それをベースにシナリオを書きました。

©「おもいで写眞」製作委員会

――本作は主演の深川麻衣さんが所属する芸能プロダクション・株式会社テンカラットの25周年企画作品でもありますね。
熊澤:実は最初からテンカラットさんの25周年企画作品だったわけではありません。日本の映画界ではオリジナルシナリオで映画を作るのはなかなか厳しい状況です。僕が書いたシナリオを知り合いのプロデューサーに見せると「面白いねと」言ってくださる方はけっこういたのですが、企画の成立まではなかなか進まなかったのです。
紆余曲折あって随分経った頃、演技ワークショップで深川さんとご一緒しました。そのとき深川さんはすごく芯が強い人だと感じ、この物語の主人公の結子も芯が強いキャラなので、「この人が結子をやったら面白いんじゃないか」と思ったのです。そこでテンカラットさんに「深川麻衣さん主演でいかがでしょうか」とお願いにあがったら、「ちょうど25周年なので、ぜひやりましょう」と企画が成立したのです。

成功するより挑戦することが大事『おもいで写眞』主演・深川麻衣さん×熊澤尚人監督インタビュー

©「おもいで写眞」製作委員会

――深川さんは事務所の大事な作品で主役を演じることになって、どんなお気持ちでしたか。
深川:ワークショップで素の自分を見て、こういう役ができるんじゃないかと思ってくださったのがうれしいです。どういうところでそう思ってくださったのか、後で聞いてみようと思います(笑)。
事務所の大事な作品で主役に選ばれたことについては“自分でいいのかな”というプレッシャーはありました。しかし、事務所の大先輩の方々とご一緒させていただく機会はあまりないので、純粋に楽しみな気持ちが大きかったですね。
高良健吾さん、香里奈さん、井浦新さんはお会いしたことはあったものの、一緒にお芝居させていただくのは初めてでした。今回の作品で自分としては表現の仕方をチャレンジしたので、同じ事務所の先輩の方々が見守ってくださっているのがとても心強かったです。
完成した作品を初めて見たとき、エンドロールに「テンカラット25周年記念作品」と出て、その後に自分の名前がいちばん最初に出てきたのを見て、身が引き締まる思いでした。

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©「おもいで写眞」製作委員会

――監督としては同じ事務所の俳優さんが大勢出演しているのはいかがですか。
熊澤:井浦さんたちが事務所の先輩として、深川さんをとても大事に見守っているのを感じましたが、監督としては、普段の現場と変わらないですね。井浦新さんとは『君に届け』でがっつりやっていましたし、高良健吾くんはデビューしたときから知っていて、すごく信頼していましたから、ぜひ一緒に仕事をしたかったのです。

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©「おもいで写眞」製作委員会

――深川さんは脚本を読んで、結子という役をすぐに理解できましたか。また、役作りはどのようにされましたか。
深川:結子には自分と違うところや自分にはない考え方をすることがありましたが、似ているところもたくさんあったのですとんと受け入れられました。
役作りに関しては、クランクイン前にスタッフさんも含めてみんなで食事に行ったとき、監督から「結子は一緒に作っていくから、何でも話してね」と声をかけてくださったのがすごくうれしくて、今でもはっきり覚えています。本読みなどの準備の段階でいろいろお話していただきました。
ただ、結子を演じるにあたって、カメラやメイク、手話など事前に準備していくことは多かったです。自分は普段、メイクをしてもらって、撮っていただく側です。そのときのことを思い出して、活かしてみました。

 

熊澤:深川さんは強さを内に秘めていますが、結子は内に秘めずにバンバン出してしまう。その違いに苦労されたと思います。でも深川さん自身はへこたれない。僕が何度もNGで撮り直しをお願いしましたが、絶対にめげないで誠実に何度もやり直してくれました。

見えないところを想像する力が思いやりに繋がっていく

――劇中で吉行和子さん演じる和子さんが結子に「成功するより挑戦することが大事」と言っていました。いい言葉ですね。
熊澤:多分、過去に誰かから言われた言葉だと思うのですが、そういう風に生きたいなと僕自身が思っています。それでシナリオを書いたときにそのセリフを入れました。結子は東京から夢破れて帰ってきましたが、成功できる人よりも、思うとおりにならない人の方が多い。結果ではなく、どう生きるかが大切だと、思うことが実生活でも多いです。挑戦することの大切さは今のような時代だからこそ伝えるべきだと僕自身が考えているので、結子を応援する和子さんにどうしても言わせたかったのです。

成功するより挑戦することが大事『おもいで写眞』主演・深川麻衣さん×熊澤尚人監督インタビュー

©「おもいで写眞」製作委員会

――深川さんはこの言葉を聞いて、どう思いましたか。
深川:成功体験や美談はわかりやすいし、人から褒められたり、成功したらうれしいですが、私の場合はうまくいかなかったり失敗したりしたときの悔しい気持ちが次にがんばる原動力やバネになっていることが多い気がします。和子さんの言葉でそれを思い出しました。

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©「おもいで写眞」製作委員会

――美咲が結子に「見えんけどそこにあるもの」はきっとあると話していましたが、これも心に響く言葉ですね。
熊澤:僕は見えなくても実は背後にあったり、想像できたりすることを大切にしながら生きてきました。人は目に見えることだけに右往左往しがちですが、そうじゃない部分が見られるようになるには想像力が必要。それは相手を思いやることに繋がっていく。そのことが伝わる映画を作りたいと思って、このセリフを取り入れました。
映画をご覧になったみなさんもそういうことを意識されると、人生が楽しくなってくるんじゃないかと思います。

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©「おもいで写眞」製作委員会

――もし、お二人がおもいで写真を撮るとしたら、どんなところで撮りたいですか。
深川:私は静岡出身で、実家は田んぼに囲まれています。玄関を開けてすぐに見える景色が物心ついた頃から変わらない。原風景ですね。青々とした田んぼに風が吹くとさーっとなびく感じがきれいで、帰省するたびに写真を撮ってしまいます。ですから、私がおもいで写真を撮るとしたら、青々とした田んぼを背景に撮りたい。そこが自分らしいと思います。

 

熊澤:自分のこととして考えると、ちょっと難しいですね(笑)。僕は実家が公団のアパートだったんですよ。大学で東京に出てくるまで住んでいましたが、そこですかね。
それがあるから今回の話を団地で撮影したし、映画の中で団地で写真を撮る人が出て来るのですが、それはひょっとすると自分を投影していたのかもしれませんね。

 

(取材・文:ほりきみき)

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©「おもいで写眞」製作委員会

<プロフィール>

深川麻衣
1991年3月29日生まれ、静岡県出身。
2011~2016年に乃木坂46のメンバーとして活動。卒業後は女優として活躍。今泉力哉監督の『パンとバスと2度目のハツコイ』(18)に主演し、TAMA映画賞最優秀新進女優賞を受賞。主な出演作は、連続テレビ小説「まんぷく」(19/NHK)、TVドラマ「日本ボロ宿紀行」(19/TX)、「まだ結婚できない男」(19/KTV・CX)、映画『愛がなんだ』(19)、『空母いぶき』(19)、『水曜日が消えた』(20)など。

熊澤尚人
名古屋市出身。1994年、『りべらる』がPFFに入選。2004年、短編『Birthday』でポルト国際映画祭最優秀監督賞を受賞。2005年、自身のオリジナル脚本による、蒼井優主演『ニライカナイからの手紙』で商業監長編デビュー。代表作は、2006年『虹の女神』、2009年『おと・な・り』、2010年『君に届け』、2014年『近キョリ恋愛』、2017年『心が叫びたがってるんだ。』など。2017年の『ユリゴコロ』では殺人シーンも交えた人間の深層心理に肉薄。2018年の『ごっこ』は「映画芸術」においてベスト6位に選出されるなど、これまでのフィルモグラフィーのイメージを覆す新境地を見せ、新たな代表作となった。

『おもいで写眞』

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©「おもいで写眞」製作委員会

出演:深川麻衣、高良健吾、香里奈、井浦新、古谷一行、吉行和子
監督:熊澤尚人
原作:『おもいで写眞』熊澤尚人(幻冬舎文庫)
脚本:熊澤尚人、まなべゆきこ
主題歌:安田レイ「amber」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
撮影:月永雄太 
照明:尾下栄治 
美術:稲垣尚夫 
録音:田中博信 反町憲人
音響効果:柴崎憲治 
装飾:遠藤剛
ヘアメイク:持丸あかね 
スタイリスト:神恵美 
写真:千葉高広
配給:イオンエンターテイメント
©「おもいで写眞」製作委員会
2021年1月29日(金)全国公開

映画『おもいで写眞』公式サイト。


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