【レビュー】井筒監督最新作、現代に突きつける昭和アウトローのパワフルな生き様―『無頼』

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【レビュー】井筒監督最新作、現代に突きつける昭和アウトローのパワフルな生き様―『無頼』

井筒和幸監督の最新作は、戦後の昭和をエネルギッシュに生き抜いた1人の極道の男の物語。

高度経済成長期、バブル、物理的な豊かさと欲望に向かって資本主義がひたすらに突き進んでいた時代に、その男は貧しい境遇から抜け出すために躊躇せずに裏の世界に身を投じていく。

【レビュー】井筒監督最新作、現代に突きつける昭和アウトローのパワフルな生き様―『無頼』

主演を務めるのはEXILEの松本利夫、これに柳ゆり奈、中村達也など個性的なキャストがしっかりとその脇を固める。

無骨で人間味ある主人公を演じた松本利夫の極道像がなかなかに新鮮で、物語は最後まで求心力を失わない。

姐さん役の柳ゆり奈の自然な演技も素晴らしい。

生き馬の目を抜く社会・時代を駆け抜いた男の側にそれを支える女あり。

これもまた昭和という激動の時代の1つの側面かもしれない。

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他にも沢山のキャストが主に極道、弁護士、活動家役で出演しているが、皆生き生きと昭和という時代の勢いと熱を体現している。

井筒監督も「アウトロー社会という今の社会から排除されたものを通して昭和史を逆照射してみたかった」といったことを述べているが、表の昭和史の出来事が主にTVを通して描かれるシーンも多く、その際の登場人物たちのリアクションが面白い。

これは極道の人間たちが『ゴッドファーザー』『仁義なき戦い』に言及するシーンについても同じだ。

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時代の流れそのものがもう1人の主人公のように見えてくる点は井筒版『フォレスト・ガンプ』のようだ。

もっとも、井筒監督がこれまで一貫して撮り続けてきたのは時代のアウトローだ。

この裏の昭和史とも言うべき贅沢な群像劇は、「アウトローが持つ生命力」に対する井筒監督の熱い想いに溢れた、まさに集大成的な作品と言えるのではないだろうか。

 

『無頼』

■監督:井筒和幸
■出演::松本利夫(EXILE) 柳ゆり菜  中村達也  ラサール石井  小木茂光  升毅 木下ほうか
■主題歌:泉谷しげる「春夏秋冬〜無頼バージョン」

Ⓒ2020「無頼」製作委員会/チッチオフィルム

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