ロシアの次世代ロケット「アンガラA5」6年ぶり2回目の打ち上げ試験に成功

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ロシアの次世代ロケット「アンガラA5」6年ぶり2回目の打ち上げ試験に成功

 ロシア国防省とロスコスモスは、ロシアの次世代大型ロケット「アンガラA5」の2回目となる試験打ち上げが、プレセツク宇宙基地で2020年12月14日に実施され、成功したと発表しました。アンガラA5の試験打ち上げは、2014年12月23日の第1回に続くもので、これで2回連続の成功となりました。

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 アンガラはロシアの新しい大型ロケットで、アメリカのアトラスV、デルタIVと同じく、モジュール構造で幅広い打ち上げ需要に対応できる設計。ロケットの名称はバイカル湖を源流とし、シベリア南東部を流れるアンガラ川に由来します。

 アンガラ・シリーズは「ユニバーサル・ロケット・モジュール(URM)」と呼ばれる共通のモジュールを使用し、ペイロード重量に応じて複数本を組み合わせて使用します。現在もっとも打ち上げ能力の大きいアンガラA5では、1段目にURM-1を5本束ねて使用し、将来的には有人宇宙船打ち上げも視野に入れています。

 また、アンガラロケットの燃料(推進剤)と酸化剤は、現在ロシアの主力衛星打ち上げロケットであるプロトン-Mの有害な有機ヒドラジンと四酸化二窒素から、より安全性の高いケロシン(灯油系)と液体酸素に変更され、周辺への汚染が抑制されています。

 2014年以来となった今回の打ち上げ試験。今回は静止軌道へ投入する、人工衛星と同等の重量(2.4トン)を有するダミーのペイロードが搭載されてロールアウト。ディーゼル機関車が牽引する貨車に載せられ、発射場を目指します。

 ロケットを後方から見ると、全く同じURM-1のノズルが5つ。アンガラの特徴である、モジュラーシステムがよく分かります。

 プレセツク宇宙基地の第35射点に到着したアンガラA5は、ゆっくりと垂直に立てられていきます。ロケットは3段式で、1段目と2段目はモジュール式のURM-1とURM-2、そして今回3段目にはプロトンの上段にも使われるブリーズ-Mが使用されています。



 プレセツク宇宙基地はロシア国防省が管理する場所なので、ロケットの打ち上げと追跡管制はロシア航空宇宙軍が担当します。打ち上げ前の式典では、ロシア航空宇宙軍の司令官にアンガラA5の模型などがプレゼントされました。


 モスクワ時間の2020年12月14日8時50分。アンガラA5はプレセツク宇宙基地第35射点から打ち上げられました。降り積もった雪が巻き上げられ、辺りは雪煙に包まれます。

 打ち上げから12分28秒後、アンガラロケットの2段目(ロシアでの呼称は3段目)にあたるURM-2は、上段ステージのブリーズ-Mとダミー衛星を分離。アンガラロケットとしての打ち上げは成功しました。その後ブリーズ-Mにより、ダミー衛星は目標の静止軌道へ到達しています。

 これでアンガラロケットの打ち上げ試験は、2014年7月9日に実施された基本型(URM-1単独)のアンガラ1.2(約1.4トンのペイロードを載せた弾道飛行)、2014年12月23日のアンガラA5(2トンのペイロードを低軌道に投入)に続き、3回連続で成功したことになります。次回の打ち上げからは実際の衛星を載せたものとなり、2021年にプレセツク宇宙基地から、韓国の地球観測衛星KOMPSAT-6を搭載したアンガラA1.2が打ち上げられる予定です。

<出典・引用>
ロシア国防省 ニュースリリース
ロスコスモス ニュースリリース
Image:ロシア国防省/ロスコスモス

(咲村珠樹)

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