“東映版スパイダーマン”制作のドキュメンタリー『マーベル 616』監督に聞く「低予算でこれだけクリエイティブな物を作った事に感激したんだ」
マーベル・ユニバースが文化的、社会的、歴史的に、我々に与える影響と、日常生活と交差する瞬間を探るアンソロジー・ドキュメンタリー・シリーズ『マーベル616』が、現在「Disney+」にて独占配信中です。
各エピソードはそれぞれ違う監督によって製作され、個性溢れる多様な作品が、いかに我々の生活に影響を与えているかを物語っています。「シーズン1」には、なんと『東映版スパイダーマン』にフューチャー! 1978年に東映が制作した特撮ドラマの制作秘話や、与えた影響をデヴィッド・ゲルブ監督が紡いでいきます。デヴィッド・ゲルブ監督は「すきやばし次郎」のドキュメンタリー『二郎は鮨の夢を見る』(2011)を監督するなど大の日本好き。リモートインタビューで様々なお話を伺いました。
――本作大変楽しく拝見させていただきました。私はしっかり『東映版スパイダーマン』を観た事が無かったので、人間が体を張ったスタントなど驚く事もたくさんありました。
デヴィッド・ゲルブ監督:僕も日本のスパイダーマン、東映版スパイダーマンも存在はもちろん知っていたのだけど、本作に携わることで初めて観たんだ! 「ドキュメンタリーを制作しないか」とマーベル側から話をもらって、色々と計画しているうちにアメリカや世界中のマーベルファンが知らないマーベル・コミックのトピックを扱いたいと思うようになった。そんな中、「日本版スパイダーマン」を扱おうという案が上がり、間違いなくこれは私自身が手がけるべきだと思ったんです(笑)。僕は日本のカルチャーや日本が大好きだからね。
――デヴィッドさんは日本の寿司店をテーマにしたドキュメンタリー『二郎は鮨の夢を見る』も手がけられていますが、どういうきっかけで日本の文化に触れられたのですか?
デヴィッド・ゲルブ監督:実は父が小澤征爾さんのマネージャーだったんです。父の仕事にくっついて子どもの頃、日本に来ました。まずは日本の風景やフードが好きになって、それから漫画、アニメ、特にゴレンジャーなどの特撮が大好きになりました。その後アメリカでも『パワーレンジャー』(※日本の特撮テレビドラマシリーズ「スーパー戦隊シリーズ」の英語版ローカライズ)も見ていて好きだったり、影響を受けているんだ。
――『マーベル616』は、東映版スパイダーマンの当時のキャストさんやスタッフさんが登場する、資料としてもとても貴重な内容になっていますね。
デヴィッド・ゲルブ監督:本作を作る際に、全エピソードを見て、アクションはクールだし、笑えるところもあるし、素晴らしいエンタテインメントだと感動したんだ。低予算にも関わらず、これだけクリエイティブな物を作った事に感激して、まずは作品そのものよりもこの作品を作った製作陣に興味を持ったんだ。「東映版スパイダーマンを作った人たちを取り上げたい」と思った。それで日本に飛んで当時のスタッフやキャストに会いました。
――皆さん、本当に生き生きと当時のお話を語っていらっしゃったのが印象的でした。
デヴィッド・ゲルブ監督:僕もそれがとても印象的でした。スパイダーマンのアクションを担当した金田監督、商品化するためにレオパルドンを考案した村上さんの話を聞いても、人生をかけた作品だったのだなと感動したんです。
――改めて、東映版スパイダーマンにどの様な魅力を感じましたか?
デヴィッド・ゲルブ監督:ポーズやアクションの、スパイダーマンらしい部分は変えていないんですよね。そこは担保した上で「その国に受け入れられるスパイダーマンを作る」というのはとても良いローカライズだと思いました。東映のスパイダーマンのおかげでスパイダーマンを知った日本人の方も多いわけですから。そして、キャラクターが“親愛なる隣人”のスパイダーマンというのが良いですよね。僕たちと同じ様な悩みを持っている親しみやすい彼だったからこそ、多くの人に愛されるのだと思います。
――本当にその通りですね。本作を観て、また他の『スパイダーマン』シリーズを観て、とスパイダーマンを満喫したくなります! 最後に作品のお話と離れてしまうのですが、今監督がハマっている日本のコンテンツはありますか?
デヴィッド・ゲルブ監督:浦沢直樹作品が大好きで、今『MONSTER』を読んでいるよ! 『20世紀少年』も大好きなのだけど、本当にクリエイティブな作品だよね。
――わあ、装丁もカッコいいですね!今日は楽しいお話をありがとうございました!
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