「いい先生」「表情を見てるのが素敵」 心が読める少女と声が出せない少女に向き合う担任のマンガが優しさに満ちていた

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『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)連載中で、2020年11月6日に第2巻が刊行された矢村いちさん(@yamuraichi)のマンガ『声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている』。Twitterで公開されている『とある生徒の話』では、失声症で声の出すことができない真白音と、心を読むことができる心崎菊乃の担任の真田先生視点のお話になっています。

※参考記事 「やさしい世界」「自分もできたら」 声のだせない少女が行動できない少女と出会うマンガが心暖まる話だった
https://otajo.jp/93610 [リンク]

「プリントの提出ってまだ間に合う?」と期限を破って聞いてきた菊乃に対して、「敬語」と注意する真田先生。「生意気な生徒だ」と内心思っています。菊乃は「先週のプリントって提出はまだ間に合うでしょうか?」と棒読みで言い直して「休んで出せなかった音の分も」と付け加え、音もスケッチブックで「おねがいします」と伝えます。

同僚の先生に「心崎さんって人間関係に難アリって感じだったのに変わったんですね」と言われて「そう思います?」と返した真田先生。「だってほら職員室にくる時よく失声症の生徒と一緒じゃないですか」という指摘に、「まぁ真白さん一人だと…」と職員室のドアの前でおどおどしてしまう姿を想像します。

「…真白さんのためだったりして。…まぁどーだろ」と思いつつ、「対策を考えるか…」となった真田先生。雨の窓の外に、一緒に傘に入っている菊乃と音の姿を目にしてたところに、「それにしても災難ですね。失声症の生徒といい手間のかかる生徒を受け持って」と言われますが……。

「ありがとう」と伝える音と照れている菊乃を見て、「…そんなことないですし」と口元に笑みを浮かべた真田先生。「いい生徒ですよ」と言うのでした。

第1巻に収録された『最低な教師の話』で、教師と生徒の間に埋まらない溝があると思っていたところ、音を担任として受け持つようになり、わかり合おうとする姿勢が描かれた真田先生。矢村さんによると「高校時代は教師から見たら不良的な生徒ですが、芯があって根底が誠実な人ですね。大人になっても真面目という感じではないですが、誠実な根底は変わってない人です」といいます。

「今回は心崎さんの変化と、悲しいけれど一定数はいるであろう真白さんたちへの否定的な人を描きました」という矢村さんは、投稿に「若干躊躇いました」とのこと。ですが、「否定的な目を向ける周囲を完全に描かないで排除するのはどうなんだろう……と思いました」といいます。読者からは、同僚の先生に対して辛辣な声も上がっていましたが、真田先生に「生徒と向き合って良い先生」「心崎さんの表情を見てるのが素敵」といった反応が寄せられており、「心崎さんや先生たちについて、深く自分のことのような視点で考えて頂いている意見などがあってありがたいです」とコメントしてくれました。

2巻ではお互いに下の名前で呼び合うようになった音と菊乃。矢村さんは「記事やフライヤーなどで取り上げていたいただけることがあってありがたい限りです。Twitter版でも心崎さんと真白さんの名前で呼びがかけるようになったので嬉しいです」といいます。ゆっくりながら段々と周囲の空気も変わりつつある『声カノ』の今後の展開からも目を離さないようにしたいところです。

※画像はTwitterより
https://twitter.com/yamuraichi [リンク]

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ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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