「企画自体には問題がなかったと認識しています」 批判殺到『ラブタイツキャンペーン』のアツギに中止の理由を聞いてみた

レッグウェアなどを展開しているアツギが2020年11月2日の「タイツの日」に合わせてTwitterで実施した『ラブタイツキャンペーン』に、「女性の性的消費」「着る側ではなく見る側目線」といった批判がネット上で殺到。翌日3日にはキャンペーンの中止と、関連ツイートの削除、公式アカウント(@ATSUGI_jp)からの新規ツイートを当面休止ことを発表しています。

このキャンペーンでは、複数のイラストレーターが「#ラブタイツ」「#PR」のハッシュタグを入れて、タイツを履いた女子のイラストを投稿。その多くがフォロワーを多数抱える人気のクリエイターで、Twitterで各ファンへの露出や拡散を狙ったものですが、中にはスカートを上げようとする仕草をしているイラストもあり、「性的」という印象を持ったネットユーザーも少なくなかったことを示しています。

同社の「ラブタイツキャンペーンに関するお詫びとご報告」によると、「本来であれば、“すべての女性の「美」と「快適」に貢献したい”という弊社のビジョンを一人でも多くのお客様へ知っていただきたいという思いのキャンペーン施策であり、タイツのある生活シーンを想起していただきタイツとファッションを楽しんでいただきたいという企画趣旨であったにも関わらず、弊社内における確認体制やモラル意識の甘さにより、現在アツギ製品をお使いいただいております多くのお客様の期待を大きく裏切る結果となってしまいましたことを深く反省しております」といい、「昨日配信いただきましたイラストの中で、イラストレーターのコメントへの監修漏れがあり、意にそぐわないコメント及び作品内容での配信となった 2作品に関しましては、昨日のうちに削除しております」とした上で、「本キャンペーンにご協力いただいております、イラストレーターの方々に配信いただきましたイラストにつきましては、全て事前に弊社で監修しており、イラストレーターの方々に非は一切ございません」と責任を明確にしています。

アツギに電話取材したところ、企画の実施に至ったプロセスについては「コメントを差し控えさせて頂きます」としつつ、「企画自体には問題がなかったと認識しています」と述べ、「弊社のソーシャルメディアポリシーに抵触する部分があり、確認体制やモラルに問題があったと判断し、中止にさせて頂きました」といいます。

同社のソーシャルメディアポリシーでは、「法令やアツギが定めた内部規定を遵守し、良識ある社会人として健全な社会常識から逸脱した行動がないよう常に意識した情報発信を行います」「個人の発信が当社の評価になり得ることを理解し、相手の発言を傾聴する姿勢を持ち、責任ある行動を常に意識します」としている一方で、各アカウントについて「ソーシャルメディアにおいてアツギグループ社員が発信する情報のすべてが、必ずしもアツギグループの公式見解を表しているものではありません」としており、公式Twitterアカウントについては「ソーシャルメディアの特性上、公式サイトの表現よりやわらかい表現で発信や対応をする場合がございます」とされていました。

今回の休止に関しては、「タイツのイラストを描いた」ということ自体以上に、公式アカウントが一部のイラストレーターの作品集についてのRTや、Twitter上でのコミュニケーションが反感を招いたように感じられます。今後の企業アカウントのあり方について改めて考えさせられる機会になったのではないでしょうか。

ソーシャルメディアポリシー(アツギ)
https://www.atsugi.co.jp/socialmedia.html [リンク]

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ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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