誰も逆らえない!? 加藤浩次氏の主張に引きずられる『スッキリ』のコロナ報道 ホリエモン問題も「餃子屋を擁護」?

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誰も逆らえない!? 加藤浩次氏の主張に引きずられる『スッキリ』のコロナ報道 ホリエモン問題も「餃子屋を擁護」?

新型コロナ感染で政府が緊急事態宣言を出してから半年。いまもコロナ報道は続くが、大きく取り上げてきたテレビのワイドショーでは番組によって切り込み方が違っていた。日本テレビ系の「スッキリ」では、司会を務める加藤浩次氏が主張する持論にコメンテーターが同意する展開が目立っている。

ワイドショーのキャスターやコメンテーターの発言機能について、成城大教授だった川上善郎氏と石山玲子氏がまとめた論考(2007年)がある。それによると、視聴者に対する機能として、ある出来事に対し善悪を判定する「代理賞罰機能」、視聴者の感情をあおる「情動増幅機能」、視聴者に代わって感情を表現する「代理感情表出機能」がある、と指摘する。

加藤氏の司会については、代理賞罰機能を前面に出した例が目立つように、筆者には思えた。

10月5日には、「マスク不着用の方お断り」の広島県尾道市のギョーザ店に、マスクをしていなかった知人を含め3人で入店した

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堀江貴文氏がマスク着用についてのやり取りをめぐるトラブルを9月22日にSNSで公表したあと、嫌がらせ電話が相次いで休店となった一件が取り上げられた。

加藤氏は「お店は断ることもできる。堀江さんも文句を言っても入らなければいい話」と言うと、コメンテーターのタレント榊原郁恵氏は「お店のルールだったら理解して入るべき」、サブ司会者の近藤春菜氏も「あとから(SNSに)書くのもいかがなものか」と続いた。

8月25日の放送では、東京都世田谷区が約4億円をかけ介護施設や保育所、幼稚園の職員ら約2万人にクラスター(感染者集団)化対策としてPCR検査をすることに対し、結果が出るまでに時間がかかるという専門家の意見を踏まえ、「それだけかかるなら全く意味がないと思う」と持論を展開した、とスポーツ紙などで報じられた。

世田谷区は複数人の検体を混ぜまとめて検査する「プール方式」を導入。検査結果で出るまでに「2、3日とはいかない」との指摘を受け、加藤氏は「3、4日以上かかるなら、結果が出るまでの4日でかかる可能性がある。感染したあとに陰性が出て何の意味があるのか」と疑問を呈したという。

緊急事態宣言が出されたあと朝のワイドショーでは、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」のコメンテーターやゲストがPCR検査の拡充を訴えていたのに対し、「スッキリ」では逆の立場からの発言が目立っていた。例えば、5月8日放送では、加藤氏が「日本は死者数が少なくすんでいます」と述べたあと、ゲスト出演していた佐藤昭裕氏(日本感染学会専門医)が「(日本は)対策としてうまくいっていた。PCR検査は希望する人が受けられなかった問題はあったが、いまは第2波に備えるべき時期」、コメンテーターの菊地幸夫弁護士は「全員に検査するのは無理。重症化する人に絞るべき」と主張した。

「スッキリ」では司会の加藤氏が持論を話したあと、ゲストやコメンテーターが追従する例が目立つ。加藤氏がコメンテーターらの意見を聞いたうえでまとめるのではなく、番組の流れを自らがつくろうという進行が通常のパターンとなっている。「スッキリ」では違う意見の持ち主が主張を闘わせるケースは少ない。番組を主導する加藤氏の持論に対し反対意見がぶつけられても一回で終わることが多い。このため、異なる立場から議論を深めていくことになかなかつながらない。

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いわゆる「夜の街」での感染が増えていた6月5日の放送で、新宿エリアを特集した回はその典型例だった。加藤氏は「グッとしめちゃった方がいいのでないですか、夜の街」と問いかけると、佐藤昭裕氏は「その通りです。3密を避けるのが重要です」と応じた。さらに、加藤氏が「取り締まった方がいいのでは。大阪は抑え込んでいる」と続けたのに対し、佐藤氏は「おっしゃる通り。絶対数を抑えないと」と賛同した。

「加藤氏の持論に沿った番組の展開が目立つのでは」との取材に対し、日本テレビの「スッキリ」担当者は「番組では、日々議論しながら様々な情報や多様な意見を紹介するよう心がけております」と言っている。(文◎川本裕司・朝日新聞社会部)

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TABLOとは アメリカが生んだ、偉大な古典ミステリーの大家レイモンド・チャンドラー作品の主人公フィリップ・マーロウの有名なセリフがあります。 「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」 人が生きていく上で、「優しさ」こそ最も大切なものであることを端的に表現した言葉です。優しさとは「人を思いやる気持ち」であり「想像力を働かせること」です。弱者の立場に立つ想像力。 「人に優しく」 これは報道する側にも言えることだと思います。 現在、ヘイトニュース、ヘイト発言、フェイクニュースがネットの普及に従い、増大しており、報道関係者の間では深刻な問題となっています。そこには「人に優しく」という考えが存在していません。 なぜ、ヘイト(差別)ニュースがはびこるのか。「相手はどういう感情を抱くのか」という想像力の欠如がなせる業です。ヘイトによって、人は人に憎悪し、戦争が起き、傷ましい結果をもたらし、人類は反省し、「差別をしてはならない」ということを学んだはずです。 しかし、またもヘイトニュースがはびこる世の中になっています。人種差別だけではありません、LGBT差別、女性差別、職業差別等々、依然としてなくなっていないのだな、ということは心ある人ならネットの言論にはびこっていることに気づいているはずです。本サイトはこのヘイトに対して徹頭徹尾、対峙するものです。

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