登山中にやまびこを聞くために叫ぶ「ヤッホー」。この言葉の由来はなに?そしてやまびこはなぜ起こる?

登山中にやまびこを聞くために叫ぶ「ヤッホー」。この言葉の由来はなに?そしてやまびこはなぜ起こる?

登山の山頂などでついついやりたくなる「ヤッホー」は、かえってくるやまびこは神様や妖怪の仕業と昔はされており、まつわる話も多々あります。
ところで、なぜ「ヤッホー」と叫ぶのか、この言葉自体の語源についてはたくさんの説があります。

そこでここでは、「ヤッホー」という言葉がどのようにして使われ始めたのかについて、やまびこの原理と一緒に見ていきましょう。

「ヤッホー」に関する様々な由来の説

 

「ヤッホー」のはじまりに関してはいろいろな説があるので、まずは以下に諸説ある中からいくつかまとめてみましたのでご紹介します。

ドイツ語を由来とする説

「ヤッホー」はドイツ語の「johoo(ヨッホー)」から来たとする説があります。

このは「johoo」は、ドイツ語圏で登山者同士の合図や挨拶として使われる呼び声です。
山頂で上げる歓声などもこの言葉が使われることがあるんだとか。

そして、この「johoo」とドイツ人が言っているのを聞いたある日本人が、「ヤッホー」と聞き取り用いるようになったのが始まりとされます。
この「johoo」を由来とする説では昭和の初期に日本に伝わり、広く使われるようになったとされています。

英語圏の興奮時の歓声から来たとする説

「ヤッホー」は英語圏で興奮したときなどに巻き起こる歓声「yoo-hoo(ヨーホー)」から来ているという説もあります。

登山も長く険しい道を乗り越えて山頂に到達したとき、興奮が最高潮に達することも多く、その感情を表現した「yoo-hoo」を日本人が「ヤッホー」と聞き取り真似するようになり、次第にやまびこを聞く際の定番の言葉になったのだとか。

ヨーデルから

「ヤッホー」はヨーデルの「イヨッホホホー」から来たという説もあります。
ちなみに、ヨーデルとはアルプス地方に伝わる歌い方で、裏声を頻繁に織り交ぜるのが特徴の歌を指すことも多いです。

遠くにいる人への呼びかけが変化した説

「ヤッホー」は、単に遠くの人を呼ぶ「ほーい、ほーっ」から来ているという説もあります。

遭難者が度々出る山などでは「おーい、おーい」と呼ぶと遭難していると間違われてしまうこともため、このような言い方が増えたのだとか。
決して救助を求めているわけではないと表すために、別の言い方として「ヤッホー」が使われるようになったわけですね!

神様の名前を叫んだことを起源とする説

「ヤッホー」はドイツのキリスト教宣教師が高い山に登った際、あまりのつらさに神様の名前である「ヤハウェ」と叫んだのが変化したという説もあります。
ちなみに、ヤハウェとは旧約聖書に出てくる神の名前です。

山ではなく海上での掛け声を由来とする説

「ヤッホー」には山ではなく海を起源とする説もあります。
その昔、海の男たちが船上で網を巻いたり荷物を運んだりする際に「yo-heave-ho(ヨーヒーホー)」という掛け声を発していました。
この掛け声が明治以降に日本に入り、庶民の間でも使われるようになり、次第に山で叫ぶ際の定番になったのだとか。

この「yo-heave-ho」という掛け声は、日本語にすると「えんやこら」に近い用い方になるということになりますね!

やまびこはなぜ起こる?

 

「ヤッホー」と叫ぶと声がそのまま返ってくることをやまびこと言いますが、これはなぜ起こるのでしょうか?

主にやまびこは山や谷などの斜面に向かって音を発したとき、それが反響して遅れて返って来る現象を指します。
音や声は形のあるものではなく目に見えるものでもないのですが、波のような振動の一種であり、それが反対側の山や谷にぶつかることで返ってきます。

それがやまびこの正体なのです!

かつては神様や妖怪の仕業と考えられていた

古くは、やまびこを山の神が声や音を真似ていると信じられていたそうです。
たしかに自分が叫んだ言葉が時間差で響き返ってくるというのは理屈を知らないととても不思議ですよね。

日本では古くから「山彦」という山の神もしくは妖怪がいたと考えられてきました。
やまびこはその山彦が応えた声もしくは山彦が引き起こした現象と考えられていたのです。

かつて神様や妖怪が起こすと考えられていたやまびこ

 

やまびこの原理を知ってしまえば単純な仕組みです。
しかし、かつて日本人は神様や妖怪の仕業だと思っていたとされています。
ここからはそんな八百万の神様や妖怪がいると信じられてきた日本独自のやまびこの解釈についてご紹介します。

樹木に宿る「木霊」

やまびこは別名で木霊とも呼ばれています。

木霊とは樹木に宿る神様や精霊、もしくはそれらが宿った樹木のことを指します。
山彦の正体も、この神様にあると考えられていました。

この神様は山中を俊敏かつ自在に駆け回り、不思議な力を持っていたとされ、人間の声や音なども真似ることができたと信じられていたのだとか。

鳥取県に伝わる「呼子」

鳥取県には呼子というやまびこを引き起こす妖怪がいたとされています。
呼子は鳥取県に伝わる一本足の妖怪のことで、別名では山小僧などとも呼ばれて親しまれている妖怪です。

現地に伝わる話では、山彦はこの妖怪が元来仕事としてきたものだとされているそうです。

まとめ

「ヤッホー」の語源に関しては、登山者同士の挨拶や合図、興奮したときの叫び声だったりと諸説あります。
その他にもヨーデルやヤハウェなどから来たとする説もありますよ。

そして「ヤッホー」などの叫びに対して返ってくるやまびこは、古くは山の神様や妖怪などによるものと考えられていたそうです。


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