国際宇宙ステーションで続くわずかな空気漏れ、漏洩箇所がロシア区画のモジュールに絞り込まれる

国際宇宙ステーションのロシア区画。青いソーラーパネルを左右に大きく広げているモジュールが「ズヴェズダ」(Credit: ROSCOSMOS)
ロシアの国営宇宙公社ロスコスモスは国際宇宙ステーション(ISS)で去年から続く空気漏れについて、漏洩箇所がロシア区画のサービスモジュール「ズヴェズダ」に絞り込まれたことを明らかにしました。
高度約400kmの地球低軌道を周回するISSでは宇宙飛行士が生活したり実験を行ったりするモジュールは1気圧に与圧されていますが、船外活動時のハッチ開閉や二酸化炭素の排気などでわずかながらも空気が失われており、補給船によって随時補給されています。
ところが2019年9月、ただちに危険につながるほどではないものの、通常のペースをわずかに上回る勢いで空気が失われていることが明らかになりました。漏洩への対処は宇宙船の発着や船外活動などが相次いだことで遅れていましたが、モジュールを隔てるハッチをすべて閉鎖し、どのモジュールから空気が漏れているのかを特定するための作業が今年の8月と9月の週末を利用して2回行われました。
現在ISSに滞在している第63次長期滞在クルーの3名はハッチが閉じられている間、生命維持機能を備えていて、いざという場合は「ソユーズ」宇宙船にすぐ乗り込むこともできるズヴェズダで週末を過ごしていましたが、結果的に空気漏れはそのズヴェズダで起きていたことになります。
ズヴェズダは1998年11月に建設が始まったISSでも早い段階で結合されたモジュールで、2020年7月で打ち上げから20年を迎えています。もともとは旧ソ連/ロシアで運用されていた宇宙ステーション「ミール」のコアモジュールのバックアップとして作られたもので、モジュールの構造が組み立てられてからはすでに35年の歳月が経っています。
ロスコスモスによると、空気漏れはズヴェズダを構成する3つの与圧区画のうち一番後ろの移送チャンバーで起きているところまで絞り込まれたとのことで、今後は超音波検出器を使って漏洩箇所をピンポイントで特定する作業が進められる予定です。
Image Credit: ROSCOSMOS
Source: ROSCOSMOS / NASM
文/松村武宏
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