『劇場版BEM~BECOME HUMAN~』宮田俊哉さんインタビュー「アニメファンのレベルが一個上がりました」

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いよいよ10月2日より全国公開となる『劇場版BEM~BECOME HUMAN~』。『妖怪人間ベム』生誕50周年を記念して、原作の持つ設定やメッセージ性を残しつつも全く新しい解釈を施し舞台設定やキャラクターを大胆に変更し、2019年に制作・放送された完全新作TVアニメ『BEM』の劇場版です。

本作で、ベムの親友で物語の鍵を握る「バージェス」を演じるのがKis-My-Ft2の宮田俊哉さん。大のアニメ好きである宮田さんが「僕が演じてきた中で一番軽薄だと言ってもいいぐらいに軽薄で、しかも実はある秘密が……というキャラクターです」と語る重要人物。どの様に声の演技に向き合ったのか、お話を伺いました。

――本作には主演の小西克幸さんをはじめ、大変豪華なキャストさん達が集結されています。今回ご自身も参加されて、声優さんに改めて感じた思いを教えてください。

宮田:ちょっとすごすぎるラインナップですよね……! アニメ界のオリンピックみたいな(笑)。水樹奈々さんが収録される時に見学させていただいて、ガヤ(不特定多数の人がいる場面)の収録に参加したのですが、ヘッドホンで声を聞いていると、僕がこれまでドラマや舞台で経験させていただいたお芝居と全く違って。「どうしよう」って逆に思っちゃったんです。とにかく技術がすごすぎて、僕なりに色々準備してきたつもりでいたものも迷ってしまって。そこは監督さんに「こういう表現の仕方の方が伝わるかもね」等アドバイスいただきながら。「言い回しひとつでこんなに変わるんだ」と驚きましたし、声だけの演技ってこんなに難しいんだと、改めて声優さんたちにリスペクトです。

――その素晴らしいメンツの中に宮田さんも入られて、実感としてはいかがですか?

宮田:僕、もともとアニメがすごく好きなので、オファーをいただいて嬉しかったのですが、「無理無理、僕みたいなど素人には無理だよ!」って思ったんですね。「自分がアニメの中に入る?!」ってとても嬉しくて、でもだからこそ怖かったというか。やばいやばいやばい!ってずっとソワソワしていました。先ほど話したガヤの収録した時も、完全にファンが1人紛れ込んだみたいになっちゃって(笑)。

――メンバーの皆さんの反応はいかがでしたか?

宮田:決まってすぐ皆に言ったんですよ。「みんなー!今度俺さ、声優の仕事させてもらうんだ!」って。メンバーもおめでとう!って祝福してくれて。二階堂とか「絶対観に行くわ」って言ってくれて。玉森は以前、洋画の日本語吹替を担当していましたけど、今回自分がこうしてアフレコを体験して、「玉森もこんな気持ちで頑張っていたのかな」とも思いました。ムビチケを買って、メンバー全員にプレゼントしたいと思います!

――私も、宮田さんのバージェスを聞かせていただいて、本当に見事なお芝居でしたし、迫力もすごかったです。

宮田:本当ですか!ありがとうございます。決められた時間の中に声を入れるというのが本当に難しくて、最初戸惑ってしまっていたんですが、奈々様が……、あ、水樹さんが(笑)おっしゃっていたんですけど、「(指示が)出ている時間は好きにやっていいんですよ」と言っていて、さすがレジェンドは違うなと勉強になりました。

【動画】『劇場版BEM~BECOME HUMAN~』一部本編映像~日常編~
https://www.youtube.com/watch?v=AzdKogY-Buc [リンク]

――ご自身でどの様な練習をされましたか?

宮田:練習はめちゃくちゃしました。近所迷惑になるんじゃないかってくらい、バージェスと戦ってましたね(笑)。今回参加させていただくにあたって、誰かの真似をしたくなかったんです。それだったらその方がやればいいじゃん、という話ですし、自分の表現出来る幅で、自分が出来る「バージェス」を作ろうと思ったんですね。それで一ヶ月半くらいレッスンに通って。僕的には一ヶ月半しか出来なかったのですが……。年末の時期で、キスマイの仕事もパンパンにつまっていて、収録などが終わった後、23時くらいから浪川大輔さんに個人的に教わっていました。「夜遅くにすみません、浪川先生よろしくお願いします!」って感じで。浪川さんに教えていただくことによって、自分一人じゃなくて浪川さんの事も背負っているというか、先生のためにも頑張ります!!という気持ちでいました(笑)。

バージェスというキャラクターは、最初は明るい奴で、だんだん「何か知っているな」と展開していければ良いなと思いました。それが出来ているか、まだ自分では不安な部分もあるのですが。

――『妖怪人間ベム』という作品が50年愛されている事も本当にすごいなあと思うのですが、宮田さんはこれまでシリーズ作品をご覧になっていましたか?

宮田:本当の最初の作品は、50年前となると生まれる遥か前なので観ていないのですが、再放送では観たことがあったかもしれません。後は亀梨くんが実写でやられていたドラマも観たし、この劇場版の前のテレビアニメシリーズは、バージェス役をいただく前から元々観ていて。もう一回見直したら、やっぱり面白いな〜!と思ったのですが、ダメだダメだ、面白いって思っているだけじゃダメだぞって思って。セリフの言い方とか表現に注目してさらに見直したりして。

俺だけかもしれないのですが、子供の頃の感想って「怖い」だったんですよ。でも大人になった今になって観ると泣ける話なんですよね。観る年齢によって感想が変わっていく、話の深さを感じられる様になるというのは素敵な作品だなと思います。

『妖怪人間ベム』というと、「はやく人間になりたい」というセリフが印象的だと思いますが、本作はもう出てきた時から人間の生活をしています。最初は、どういうこと?!って疑問でいっぱいなのですが、その疑問がどんどん回収されていく所が面白いなと思いました。ぜひ注目してください。

――また新しい『妖怪人間ベム』のお話を楽しむ事が出来そうですね! 改めて、アニメの魅力について、宮田さんが感じられた事を教えてください。

宮田:どんなに素晴らしい役者さんやハリウッドの技術でも、ドラマや映画で作れないのがアニメの魅力だと思います。いくら現実離れしていても許される所が好きなんです。ここ数年、異世界転生ものが人気だと思うのですが、現実では絶対ありえないけど、技術を持ったスタッフさんとキャストさんによって、素晴らしい物語になるという。

バージェスを演じた時に、バージェスを作っているのは俺だけじゃない、キャラクターを作ってくれた方がいて、動かしてくれた方がいて、俺がやってるのは声だけなんだけど、だからこそ自分1人の責任じゃないというか。たくさんの人でバージェスを作っている、と思ったら、今までアニメを観ていてモブキャラだと思っていたキャラでさえも、感情移入出来るなって思ったんです。なので今は全員が主役に見えるというか、今回の経験がきっかけでアニメの見方が変わりましたね。アニメファンのレベルが一個上がった感じです(笑)。

――素晴らしいお考えだと思います。アニメファンのレベルが一個上がった、というのも最高です(笑)。また声優にチャレンジしてみたいですか?

宮田:またお話いただけたら頑張りたいなともちろん思っているんですけど、何か自分の声って恥ずかしくなっちゃうんですよね。なんだろうこれ、不思議な感覚で、バージェスじゃなくて自分の声に聞こえちゃうんです。最初ってみんなこんな感じなのかなあ?って思ったり。また機会をいただけるなら、もちろん全力で挑みます。浪川先生のお力も借りて! あと今回こうして声優をやらせてもらって、小西先生とのつながりも出来たので!

――私も宮田さんの声優のお仕事、とても楽しみにしております!今日は楽しいお話をありがとうございました。

【動画】『劇場版BEM~BECOME HUMAN~』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=nqBT4lRiXdA [リンク]

【動画】『劇場版BEM~BECOME HUMAN~』キャラクターPV~バージェス編~
https://www.youtube.com/watch?v=aC83Ye3SGXM [リンク]

【ストーリー】
壮麗と退廃、繁栄と貧窮が運河を隔てて共存する都市「リブラシティ」。若き女性刑事・ソニアは、街で頻発する不可思議な事件を追う中で、“ベム・ベラ・ベロ”と呼ばれる 3 人と出会う。醜い姿に変身する彼らはやがて妖怪人間と名付けられ、事件の容疑者として追われることとなるが、彼らこそが事件を解決し人々を助けているのだった。すべては「人間になりたい」という願いを叶えるため。
Dr.リサイクルにより異能力を与えられた怪人たち、腐敗した警察、街を裏で支配する「見えざる議会」、そして、その首魁であるもう1人の妖怪人間・ベガと対峙するベムたち。人間の差別意識の象徴ともいえる運河の橋を破壊するほどの激闘の結果、ベムたちはリブラシティを守り、姿を消したのだった……。
それから2年。ベムの行方を探し続けていたソニアは目撃情報を元に「ドラコ・ケミカル」という製薬会社を訪れる。そこで出会ったのはベムに瓜二つの人間“ベルム・アイズバーグ”だった。

【スタッフ】
監督:博史池畠 (『キラッとプリ☆チャン』、『魔法陣グルグル』、『宇宙戦艦ティラミス』監督)
脚本:冨岡淳広 (『イナズマイレブン』シリーズ、『ポケットモンスター』シリーズ、シリーズ構成、『ONE PIECE STAMPEDE』脚本)
キャラクター原案:村田蓮爾 (『LAST EXILE』、『ID-0』キャラクター原案、『シャングリ・ラ』キャラクターデザイン)
キャラクターデザイン:松本美乃 (『純潔のマリア』、『進撃!巨人中学校』作画監督)
アニメーション制作:Production I.G(『攻殻機動隊』シリーズ、『黑子のバスケ』シリーズ、『ハイキュー!』シリーズ、『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズ)
【キャスト】
ベム:小⻄克幸
ベラ:M・A・O
ベロ:小野賢章
バージェス:宮田俊哉(Kis-My-Ft2)
公式サイト:https://newbem.jp/2020_mv/[リンク]
公式 Twitter:@newbem2019
製作:劇場版 BEM 製作委員会

(C)ADK EM/劇場版 BEM 製作委員会

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藤本エリ

映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。猫と男性声優が好きです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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