【自転車に乗って】アジア最高峰のレース! ジャパンカップ2012を観戦してきた!
【ジャパンカップとは!】
1990年にアルカンシェルを巡る世界選手権自転車競技大会が宇都宮で開催された事をきっかけに、
1992年から始まったサイクルロードレースのことですよ。 断じてお馬さんのレースじゃありません。
日本国内のレースで唯一チームランク最高のUCIプロチームカテゴリを招待出来るすっごいすっごいレースなのです。
どういうチームが来るのかと言えば、ツール・ド・フランスで優勝を競い合い、ステージ優勝なんてしちゃうなんて当たり前みたいな
世界最強レベルの選手達が日本にやってきてそれを生で見られるという大会なんです。
サイクルロードレース本場のヨーロッパには到底行くことが叶わないファン達にとっては、唯一テレビで見るような選手たちを
生で見られる機会と言っても過言ではないビックイベントなのです。
そんなビックイベントを今回は
金曜夜に行われたチームプレゼンテーション!
土曜に宇都宮駅前で行われたクリテリウム!
その夜に行われた増田選手のリクイガス電撃移籍会見!
の3本は仕事で行けなかった。
日曜日の古賀志林道での決戦! ジャパンカップレースをご紹介します!
【宇都宮までの移動手段はもちろん】
自転車乗りが自転車イベントを見に行くのに自転車以外の交通手段があるだろうか、いやありえ無い!
ということで当日の朝宇都宮に着くことを目標に仕事後の仮眠から目が覚めた後なので朝2時に家をスタート。
記者の住む東京から宇都宮に向かうルートで使うのは宇都宮まで一本で行けてしまう日本の大動脈のひとつ国道4号線です。
トラックの交通量が多い道路ですが、ほとんど平坦であり、なおかつ信号が少ない為巡航速度はかなりのスピードです。
茨木に入ったあたりから街灯が無くなり、闇夜の中を走るため自己アピール手段としてライトと赤色灯こそ命を繋ぐ生命線。
トラックの交通量が多いと書いた通り、そのおかげで路面コンディションはお世辞にも良いとは言えず、夜間では落下物に気がつくのが
とても難しいので、アピール用のライトとは別に250ルーメン相当の路面を数十メートル先までしっかりと照らせるライトを一本持つことを推奨致します。
車と遠くの町の明かりを眺めながら頻繁に途切れる街灯と手持ちの矮小なライトを頼りに走る様は中々旅めいた感じがします。
スタートすること3時間弱、70キロも走った頃には東の空が徐々に明るくなっていきます。
明るさが増していく中、周囲の畑や小さな町から立ち込めてくる朝もやの中を走るのは中々感慨深い体験となりました。
しかし明るくなって油断した頃にまさかのトラブルが発生致します。
油断した瞬間路面に落ちていた黒い物体を踏んでしまい前輪が一瞬にして音を立てながらパンクしてしまいました。
落下物を見てみればトラックのホイール止めと思われる巨大なナットでした。
パンクの種類はスネークバイト、リムうちパンクで見事に名前通り蛇に噛まれたような穴があいていました。
修理はめんどくさいのでチューブの交換をし一本だけ持ってきていたCO2ボンベで一気に膨らまし5分でパンク修理を完了し宇都宮へ再出発しました。
ですがこのトラブルはまだ終わっていませんでした。
【餃子だ! そして最大のピンチ】
家を出ること5時間半、コンビニ休憩1回で110キロを走りきり朝7時半頃に到着しました。
宇都宮に来た以上目指すはもちろん、餃子屋です!
宇都宮にきて餃子を食べない理由はない。
むしろ餃子食べるついでにジャパンカップへ来たようなもんだ!
とツイッターのフォロワーさんに教えていただいていた朝6時半からやっている宇都宮餃子館西口店へ駆け込みます。
これの為にコンビニ休憩では一本満足バー1本で私の「最近旦那が相手してくれなくなったのよね〜」とぼやく40代の主婦が覚え始めるような性的欲求不満に匹敵する空腹感を抑えて走ってきたのです。
ライスセットにお肉餃子とスタミナ健太餃子で1日観戦する体力を養います!
お肉餃子が個人的には大当たり。 この美味さは空腹だからというだけではないはずだ。
「全てを喰らい尽くしてやったわ」とクラウザーさんみたいなことを考えながら店を出てあらやだビックリ。
今度は後輪が何故かパンクしています。
どうやら先ほどのパンク時に後輪にもダメージが入っていたようで、偶然にもスローパンクで20キロ余りの距離を耐えて私を宇都宮駅まで送り届けてくれたらしい。
このガッツには記者を死んでも古賀志林道まで送り届けるという熱意がチューブから感じられ大いに感動をそそるも、その熱意を餃子に釣られて宇都宮駅に向かうといういわば古賀志林道と逆方向に走るという暴挙により台無しにしてしまいました。 私は悪くない。
前述した通り先ほど使ってしまった1本ポッキリのボンベとチューブ。
パンク修理セットはあった為、チューブを修理することは出来るもボンペが無い。
そう、ボンベ1本で足りるという浅はかな考えによりハンドポンプを持ってきていませんでした。
ロングライダーにあるまじき失態。
「ぐあ 後輪がパンクしてる! ボンベ使ってハンドポンプもない どうすんべ」
とツイッターでつぶやくぐらいには謎の余裕を発揮。
ツイッターをしてる人間は今起きた不幸をネタとしてつぶやきたがるという例に漏れないある意味見本的な行動でした。
この時間に自転車屋は開いていない。
レース開始は10時、この時点で時刻は8時10分、会場の宇都宮森林公園までおよそ10キロ。
駅からのリムジンバスに自転車乗せて乗れるか確認するか。
お金はかかるがタクシーという手もある。
などとぶつくさ考えていると先ほどの「例に漏れずにとった行動」が功を奏します。
なんとまったく初対面の宇都宮在住のフォロワーさんが「20分ほどで向かいます!」とまさかの申し出!
そして待つこと20分、颯爽と銀色のホンダ、ビートに乗って空気入れを持って助けに来てくれました。
宇都宮にウルルン滞在することわずか1時間で現地の人の温かみに触れ思わず涙が!
フォロワーさんもそのままジャパンカップの観戦に向かわれるのかと思いきや別件で今回は見に行けないということ。
他に用事があるというのにわざわざ車を飛ばしてやってきてくれるその男前っぷりに惚れました。
その節は大変お世話になりました!
【舞台は古賀志!いざジャパンカップへ!】
ツイッターでネット住民にリアルで助けてもらうという噂でしか聞かないようなウルルン体験を実体験し、
目指すは決戦の地、古賀志林道へ向かいます。
目的地が同じであろう多くの自転車乗りの人達と共に宇都宮駅から西へ真っ直ぐ向かうとサイクリングターミナルへの案内があるのですが、その周辺からすでに交通規制の準備が始まりその角にあるセブンイレブンには大量の自転車と自転車乗りが集まってきています。
そこを曲がると係員の方がいるため、その方の案内通りに迂回の道を通ってサイクリングターミナルへ向かえばそこが会場宇都宮森林公園です。
会場に所狭しと並ぶ自転車の数々!
かなりのパイプラックが用意されているにも関わらず、それでも足りずパイプの横に立てかけられ、それでも足りないと土手や駐輪場から出た壁まで自転車が至る所に並びます!
スポーツ観戦に自転車でこんなに人が来るスポーツが果たして他にあるでしょうか。
自転車好きはスタンド使いのように惹かれ合うとはあながち的外れな例えでは無いのかもしれません。
スタート&ゴール前付近は既に多くの人がごった返しており、スプリントがよく見える位置はすでにVIP専用テントや運営テントが設けられている為陣取ることは難しい。
ということで目指すは勾配がキツく辛いこのレースの要とも言える古賀志林道へ。
(この圧倒的人ごみ)
(歩いて登るだけでも足が痛くなる急勾配が続く)
(ゴウンゴウンと音をたてながら走る痛チャリ。)
(キャリーミーではこの勾配は流石にきついのか手で押してます)
考えることはみんな一緒。
観戦するなら古賀志林道しかねぇ!と言わんばかりに多くの人が急勾配を歩いて、もしくは自転車で走って登って行きます。
そんな時けたたましい笛の音と共に先導車がクラクションを鳴らしてやってきます。
レースはすでに始まっていました!
その音を聞いた途端観客の皆さんは沿道により、やってくる選手たちを固唾を飲んで迎えます。
キ!
キッ!!
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
とか言ってたら去った。
は、は、は、はええええええ!!! なんだあれぇぇぇー!!
プロ選手たちの登りとは思えないその速さに感動しました。
しびれますねぇー この速さ! テレビで見るのと生では迫力が違います。
コースは同一のルートを10周回ののち最終周回だけ古賀市林道を超えてからゴールに向かうまでのルートに変更があるだけの為、
選手達はまたやってくるのでは待つもよし移動するもよしとなっています。
ならば待つよりまた登っていろんな姿を見ようということで移動をしながら観戦します。
道中にはファンの人が描いたカッコイイ横断幕が掲げられています。
真ん中の見切れてる人は別府選手だ。
ヘリからの空撮もあり、その映像はゴール付近と駐輪場にある巨大ビジョンに映し出されるという徹底ぶり。
近年ジャパンカップではすっかりお馴染みの痛チャリの壁!
毎年この壁には大量の痛チャリが並んでおり、道行く人が写真を撮って歩いていました。
実は選手たちもジャパンカップ前日は宇都宮の町を割とふつ〜にウロウロしている為、毎年この自転車を街中で
見かけて写真をホームページやツイッターに公開するという事が起きています。
今年も昨年の覇者でありクリテリウムで見事にずっこけたネイサン・ハースが痛チャリとツーショットを決める写真が
ツイッターで回ってきました。
こんな小さな少年が選手達を苦しめている古賀市林道を大人よりも速い驚きの速さでスイスイと登って行きます。
お世辞も冗談もぬきで一切ふらつくこともなくクランクをグングン回しありえない速さで、誇張なしに目ん玉が飛び出る速さでした。
その少年の頑張りを道行く観衆の人たちがみんな「アレアレ!!」 「頑張れ!」 「いけぇー!」と歓声を送ります。
このファンの皆さんのノリの良さときたら無い!
胸の踊るような歓声を受けた少年はまるでプロ選手になったような気分だったに違いありません。
しかしこの子の自転車をよくよく見てみると、電動アルテグラがついているという恐怖の新事実が発覚!
ツイッターの皆さんに「この子はこの辺りでは有名な自転車好きの父親を持つ少年」ということで、
すでに名前の知れた一端のレーサーのようです。
お父さん、10歳ぐらいの少年に与える自転車にしては少々本気過ぎませんかね!
ですがあのポテンシャルを見せつけられては将来に期待せずにはいられませんね。
レースに欠かせない物と言えばサポートカーです。
マヴィックのニュートラルカーや、
選手達のすぐ後には各チームのサポートカーが追いかけ、中から無線で支持を飛ばします。
サポートカーの上には各チームのスペアバイクも載っています。
どれをとっても50万程度じゃとても手が出ない高級車ばかりです。
先導車には金色の蝶ネクタイをつけたおっさんが身を乗り出し観客たちを盛り上げ、
(実はこの面白ろおじさん世界選手権10連覇の中野浩一だったことが判明。)
スポンサーグッズや応援グッズを大量にばらまいて観客たちのテンションにさらに油を注いでいきます!
ちなみに記者も今回レースに出場しているアメリカのジェリベリーサイクリングのスポンサーがばらまいている雨をゲット!
さっそくもぐもぐ。 フレーバーな味わいと色合いはとってもアメリカン!
香料が効きすぎて口と鼻の中いっぱいに広がる入浴剤の香り。
そうこうしてる間も選手たちはぐるぐると走ってやってきます。
この写真は初山翔手とこの日3回中2回の山岳賞を勝ち取った中根英登選手二人のデッドヒートシーン。
ユライ・サガンとジュリアン・ディーンとジョナサン・カントウェルのケツ。
苦しそうな小森亮平選手。
集団からちょっと遅れて一生懸命追いかけるルーク・オカーピー。
走る我らが福島晋一おにーちゃん選手!
そして参加してないけど観客にアピールしながら登ってきたその弟福島こ〜じさん!
古賀志林道の苦しい登りを終えて下りにはいる六峰 亘選手
最終周回でゴールを目指すブリアン・ヴァントボルグとネイサン・ハース。
2度目の山岳賞を我が物とした中根英登選手。
キングオブマウンテンを決める古賀志林道の頂上には沿道だけではなく土手にまで登る人が出るほどの超満員!
やはりこれを見ずにジャパンカップは語れないと言わんばかりの大観衆でした。
会場には出場選手以外にも弱虫ペダルの作者渡辺航先生や、今回はチームの都合上参加していないはずの新城幸也選手まで普通に会場をうろついていて目撃してとてもビックリしました。
つまりこの日の会場には海外で活躍する今をときめく日本人選手がみんないた事になります。
濃すぎる! なんだこれ!
レースの結果はリクイガス・キャノンデールのみんな大好きイヴァン・バッソおじさんが優勝を飾りました。
レース中の中継では集団から遅れている!という案内があり、「あぁこりゃぁリクイガスだめかな〜」と最終周回より少し早目にゴール手前300m地点で張っていたら今年ツール・ド・フランスで初出場にして3勝するという大暴れをしたスロバキアチャンピオンジャージにゼッケン1をつけた怪童ペーター・サガンがゆっくりとつかれた顔でスーと通過していくじゃあ〜りませんか!
いきなり出てきた生サガンに写真を撮ることも忘れ一体何が起きたのか急いで中継を確認したところ、
なんとサガンがバッソを鬼引きして集団に追いつけるよう徹底的なアシストをしたとのこと!
その甲斐もあってか強敵ダニエル・マーティンをゴール手前30mでまくり勝利をもぎ取るという勝利を手にしたのです!
熱すぎる! そしてそんな勝利の舞台の裏側を垣間見えたことがたまらなく嬉しい!
熱い興奮と嬉し楽しい思い出を手に入れジャパンカップは無事閉幕致しました。
年に一度の大興奮なお祭りでした。
生で見ることにより選手と観客がもっとも近いスポーツという言葉を肌で感じることができました。
それは物理的な距離はもちろんなのですが、互いに雰囲気を盛り上げていく様こそがそれなんだと思います。
選手達がやってくるまでは退屈なんじゃないの?という不安も吹き飛ばしてしまうほど観客たちの熱気には
楽しさが大いに掻き立てられました。
なんてたって選手がいなくたってもやたら凄い子供や悪魔おじさんのコスプレや痛チャリ軍団に普通に歩き回っている有名人などなどネタに困らないほど観客が濃いので歩いて回ってるだけでもまったく飽きません。
ロードレース観戦をしたことがない自転車に興味がない人たちにもきっと肌でこの面白さを感じてもらえると思います。
興味が沸いたら来年10月には是非宇都宮へどうぞ!
ツイッターアカウント:miagi1552
※この記事はGAGAZINEさんよりご寄稿いただいたものです
ウェブサイト: http://gaagle.jp/gagazine/
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