その雰囲気や言葉選びに支持の声! 「愛と恋には決定的な違いがある」という図書委員女子の相手をする男子のマンガがこの上なく文学してた

本や図書館を題材とした物語にはいつの時代も一定数の支持があるように感じますが、ぎどれさん(@gidre_)がTwitterに公開しているマンガ『図書室』では、図書委員をしている男子と女子の会話がゆっくりとした空気の中で紡がれています。

「愛と恋には決定的な違いがあると思うんだよ」と言う沖凪さん。「草野君はどう思う?」と聞かれ、「沖凪は、よく小難しいことを言う」としながら「それが自分に酔うために組まれた言葉の羅列でなく、僕よりも遥かに深い思案から生まれていることは、図書委員として一緒に仕事をしているだけで十分わかる」と考えています。

「…僕でもわかるように説明してもらえると嬉しい」と返す草野君に、「恋はただの感情でしかない。だって、どんなに大きな恋でもそれは生殖本能という基盤の上に成り立っている欲求に過ぎないから。でも私はね、愛はこの世界の全てを内包していると思うの。つまり恋と愛は同列に語れるものではなくて、恋はあくまで愛の一部にすぎないんだよ」と沖凪さんは話します。細目で微笑をたたえて楽しそうに語るあたりが大人びています。

「…なるほど。わからないでもない」と視線を本に落とす草野君。「僕にとって大事なのは会話の中身などではなく、彼女とここで話している時間だった」といい、「雪の降り出しそうな灰色の雲が広がっていた。澄んだ楽器の音が聴こえた。運動部のかけ声がグラウンドに響いていた。暖房の効いた図書室は心地よかった」と回想。「沖凪が小説を書いたらきっと売れるだろうね。言葉の選び方が綺麗だから」と評する草野君に、「それは嬉しいけど、私小説家なんてならないよ?」と返す沖凪さんに「やりたいこと、もう決まってるの?」と尋ねると……。

「やりたいこと」と目を泳がせて、「…まずは好きな人の好きな人になりたい、かな」と口元を本で隠す沖凪さん。「…沖凪らしい言い方だ」と言ったのは、「好きな人がいるんだ?と聞かなかったのは、単純に、彼女が好きな人を聞けるほどの度胸がなかったからだ」と考える草野君。

「草野君はやりたいこと決まってるの?」と聞かれ、やはり視線を逸して「まずは…行きたい大学の合格者になりたい、かな」と言うと、「あ、私の言い方真似した!」と茶化すように言う沖凪さん。

「草野君、反則でーす」と嬉しそうに笑う沖凪さん。「僕は彼女みたいに自分らしい言葉なんて持ってない。もしも自分の言葉を見つけてしまったら、その中身の無さに嫌気が差してしまうだろう。自分と彼女しかいない図書室の中で、彼女の言葉と笑顔に埋もれて消えてしまえるのなら、むしろその方が幸せだ」というモノローグでこの話は締められています。

「穏やかな漫画を描きたいと思った」というぎどれさんのマンガには、「雰囲気が好き」「言葉選びが好き」という反応のほか、沖凪さんの「考え方がとても好き」という声も寄せられていました。

図書委員になるということは二人とも読書が好きなのだと考えられますが、女子が理知的で男子が感受性が高いというあたりにキモがありそう。沖凪さんが好きな人は誰なのか、想像が膨らむストーリーといえるのではないでしょうか。

※画像はTwitterより
https://twitter.com/gidre_ [リンク]

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ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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